読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

王国の絶対的カリスマ、第一王子リチャード。2人の弟王子を溺愛する彼は、兄上至上主義で苦労性な次男ジェームスと、やんちゃな末っ子フィリップに支えられ、次期国王と名高い。だが、正統な王位継承者だけが手にできる証、「ロイヤル・シーズ」が消えるという前代未聞の事件が発生! なぜか、東の島国ニホンから種の目撃情報が入り、お忍びで旅立つことに!?
ちょっとキケンな兄弟愛で、最強の世直しミッション開始!!(裏表紙より)
ビーンズ文庫創刊10周年の記念の小説。収録作品が雑誌やWEB初出のものなので、短編が複数収録されていて、ドラマ台本みたいな台詞のみの話もあったりなどして、なかなか変則的な本だ……と思いました。
ビーンズ王国の三王子が、王位継承に必要な「ロイヤル・シーズ」が欠片となって飛び散った先、東の島国ニホンに旅立つ! というお話がメインなのですが、この一冊で完結していません。ロイヤル・シーズ探索の短編の間に、全然本編と関係のない短編が挟まっているという。
短編の主な語り手は末っ子フィリップ。兄たちがロイヤル・シーズを探している中、彼だけ学校に通わされるのですが、短編なのが惜しいなあ! 王子様が留学して学園ものやるっておいしいのに!
三兄弟がみんな揃って兄弟だいすき! みたいな人たちで、男きょうだいがきゃっきゃしているのが好きな方は多分面白く読めると思います。非常にキャラ小説でありました。
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忽然と出現した修行僧の屍、山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」……。箱根に起きる奇怪な事象に魅入られた者——骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で仏弟子たちが次々と無惨に殺されていく。謎の巨刹=明慧寺に封じ込められた動機と妄執に、さしもの京極堂が苦闘する、シリーズ第四弾!(裏表紙より)
本文1341ページ。分厚い。読み応えあったー。
記録に存在しない謎の明慧寺と、そこに集った謎の修行僧たち。禅と悟り。複数の事件が重なって、かなりややこしいはずなのに、分かりやすくて面白かった。禅についてはさっぱり分かっていないけれど、もしかしたら分かっているけれど言葉にできないという状態なだけなのかもしれない。これは四作目で、前作から少し話を引っ張ってきているけれど、説明が必要なところだけしかしていなくともちゃんと読めるのが本当にすごいな。
異界的でもあり、現実的でもあり。なんだか淵に立っていたような気がするな。みんなちゃんと人間なんだけれど、みんなどこかしら人でないような部分を抱えていて。うまく言えないけれど、面白かった。

“しきしまの やまとのくには ことだまの たすくるくにぞ まさきくありこそ”
はるかな昔、人は喜びや悲しみの思いを美しいリズムにのせて、口ずさんだ…それが和歌。
思いのこもった和歌を、神としてまつるヨロズバ神社で、静枝は不思議な少年と出会う。
少年の名前は、マコマ。
千年も前の世界から来たという。
「ほっとけない。」
静枝は、マコマのもとに通い始める…。
千年の時をこえた、不思議な恋の物語。(裏表紙より)
小学五年生の少女が、神社で平安時代の少年と出会う。万葉集の知識のある少年は、静枝の日常の中にある小さな謎を、歌をもって解決する……という、ちいさなちいさなミステリー集。連作短編です。
静枝の悩みがリアルだなあ。恋ってなに、好きな人がいて当たり前とかいらいらする、お母さんもお姉ちゃんも私の話を聞いてくれない……うーん、身に覚えがありすぎる。
和歌を使った事件解決は面白いな! と思いました。児童向けなのでかなり柔らかい話が多いですが、連作短編というところがいい空気だ。
静枝が、絶対に逃げ出すことのできない問題というものに向き合おうとするところが、とてもいい。逃げて、いやだと内心で叫ぶけれど、最後には向き合わなくちゃと前を向くそのしなやかさ。
続きがあるみたいなので読みたいなあ!

サジェ——妾妃ギュイハムに毒を盛ったという理由で再び投獄されたカリエ。処刑を前に王子バルアンに直訴する機会を得たのだが、バルアンは、カリエの話などろくに聞かず、それどころか、エディアルドとの密通の疑いを調べるために、カリエを抱こうとする!! 鳥肌をたてるほど抵抗するカリエ。冤罪を証明し、処刑を免れるためには、カリエはバルアンを受け入れるしかないのだが……!?(カバー折り返しより)
砂の覇王第3巻。再び投獄されたカリエは、バルアンに直訴の機会を得る。一方、ルトヴィアのドミトリアスは即位を控え、皇后・皇妃問題に答えを出す。
この、会議のシーンが! 鳥肌もので、すごい好きなんですけど!
会議のすさまじい腹の探り合いはもちろん、改革派の王子の知性と、深く恨みを抱いた傀儡となっていた皇帝の姿が見えた瞬間、宮廷という恐ろしいものの影を見たように思えて、ぞくっとしてしまった。

王宮の凶手集団「北斗」の首領は、北斗七星第七星、凶星「破軍」と呼ばれる二十歳にも満たない少女・揺光。
自らの手を血で染める運命を呪う彼女が、一人の女の子として愛してしまったのは敵国の公子だった。
だが、父である王の命令は彼の処刑!!
瑞々しい感性で描く、心ふるえるラブファンタジー。
二〇〇八年下期、ホワイトハート新人賞受賞作!(裏表紙より)
確か、作者さんが当時14歳での受賞で、話題になった作品だったはず。筆者紹介ががががが。アリプロとサンホラ好きだとか公言しちゃうのか!笑
公主でありながら暗殺者として活動している公主と、偶然出会った敵国の公子とのラブロマンス……というには、ちょっと話が薄い感じがするのですが、「えっそこでそうなるの!?」というびっくり展開がくるのがある意味面白かったです。公子を殺せと命じられた、その後にその話がくるのか!? とすげーびっくりしてもうた。
でも14歳でここまでちゃんとお話が書けるのはすごいと思いますが、やはりちょっと未熟な印象でした。頑張れー!

「誓います——俺の女王陛下。永遠に、あなたと共に」……舞台は、世紀の博覧会を控えたコローニアへ! ウィルとアンジェリンは兄弟のふりをして市街に潜伏し、新政府とリナルドの動向を探ることに。来るべき決戦に備え、“毒舌幽霊執事”エルネストの復活の儀式も行われるのだが……? 故国のために世界征服を夢見る少女と、私欲のために世界を壊そうとする男。双方の想いをのせ、絢爛たる大博覧会は開幕する——!!
白金の王女と黄金の騎士——究極に想いあうふたりがたどり着く、理想の王国とは!?(裏表紙より)
アルケミストの誓約の後編。スチームパンクといえば、博覧会!(という偏見)のもとにわくわくと読みました。蒸気演算機なる怪しげな機械も登場してくううっとなる。
エルネストがかっこよすぎる。愛が深すぎて怖い気もしますが、とても綺麗で、本当に優しい人だと思います。作中、「友達」という言葉がキーワードになっていますが、そうか、ウィルとエルネストも友達だったんだなあ……と思うと、じわっとしました。孤独で、さびしくて、一人きりで生きてきた人たちが、世界の綺麗な様子や人の思いに触れる話が、本当に好きだ。そういう結びつきが、栗原さんのお話で描かれるのが本当に好きだ。
つーか、ウィルは六年も待ったの……?(爆笑) 本当に誠実なやつだな! いとしいぞ!
面白かったです。

「——私が世界を征服したら、あなたは私の《騎士》になってくれるか?」
世界を揺るがした大戦争から2年。かつてコローニアの英雄と称えられ、いまは中立国で若隠居を決め込んでいるウィルのもとに、少々危険そうな依頼が舞いこんだ。海岸で出会った依頼人——アンジェリンは、白梟を連れた自称・天才錬金術師という怪しい美少女。おまけに、やたら美形で毒舌な執事の幽霊がまとわりついていて……!?
“元英雄”と“亡国の王女”。ふたりの運命が交わり、輝かしき王国の物語は動き始めた!!(裏表紙より)
前後編の前編。人間ではない《騎士》というサイボーグっぽいものである大戦の英雄と、世間知らずながらも実は錬金術の天才だという王女、そして幽霊となってまで彼女の側にいる従僕。錬金術と蒸気と数秘術のある世界での、三人の物語。
世界観が好きだ! スチームパンク! なんだろう、わくわくするよ! 誇りや魔法が失われつつある世界で、それでもそれらを握りしめている彼らのかっこいいこと!
王女アンジェリンがかわいい! まっすぐすぎてちょっと心配ですが、エルネストが好きになるのも分かる気がする。この人には汚していけない何かがあって、大切にしたいという気持ち。

デイジー・ローズはお気に入りの薔薇園で3人の天使に出逢った。菫の瞳と輝く銀の髪の、すさまじく丁寧で礼儀正しい天使。宝石のような緑の瞳と太陽の光を浴び黄金に光る髪で、恐ろしく口も態度も悪い天使。そしてもうひとり、黒い天使に——
『デルフィニア戦記』『スカーレット・ウィザード』シリーズの著者が新たに送る待望の新作!(裏表紙より)
再読。初読当時はデル戦を読み終えた頃で、スカウィの内容をまったく知らなかったのでさっぱりで、それでも二三巻読んだんですが、やっぱり意味が分からなくて諦めた覚えがあります。今回はデル戦もスカウィも分かるので、面白く読みました。時間を置くと感じ方が変わるなあ。
ボーナストラックといった感じのお話で、ちょっとパロディみたいなお話です。スカウィの世界に、デル戦の金銀黒天使と暗殺者二人が少年になって生活していたら? みたいな。
ここにどうクーア夫妻が絡むのかが楽しみです。

ルポ&エッセイ集。日本のネオカルチャー(辻村さん定義で、日本の〈今〉を象徴する、おもしろいもの、かわいいもの、おいしいもの、へんなもの、そんなもの全部)についての取材した内容と、辻村さんのエッセイ、小説や映画の感想、そしてショートショートが収録されています。
辻村さんの、アンソロに収録されていた「七胴落とし」が読みたかったので嬉しかった。
他に収録されているどの話も、全体的にまろやかで優しく、鋭さこそなかったものの、丁寧に大切な「何か」をすくいあげているような印象を受けました。
辻村さんとドラえもん映画の話はすごくよかった。たくさんの思い出と結びついている、少し特別な日々のこと。じわっと自分のことを考えて、私にもそういう記憶があるな、ということがすごく嬉しくなった。