読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

“1年の記念日”をテーマにWebサイト「最前線」にて期間限定公開されたカレンダー小説を満を持して星海社FICTIONS化。
ご存じ「とある飛空士」シリーズ・犬村小六の初短編『月のかわいい一側面』(十五夜(9月13日))。
短編小説の名手・渡辺浩弐の『親愛なるお母さまへ』(敬老の日(9月17日))。
ひきこもり世代のトップランナー・滝本竜彦の『おじいちゃんの小説塾』(塾の日(10月9日))。
恋愛小説の次代を担う、紅玉いづきの『青春離婚』(いい夫婦の日(11月22日))。
現代SF小説界の新鋭・泉和良の『下界のヒカリ』(大晦日(12月31日))。
全5篇を収録した下巻。(裏表紙より)
ウェブで「青春離婚」を読んで、やっぱり手元に欲しくなったので。
「月のかわいい一側面」は、そうか現代でいうとやっぱり彼らはフリーターになってしまうのかと噴き出しつつも、現代の十五夜という話でかわいらしくて面白かった。
「親愛なるお母さまへ」はこのダークさがたまらん。むくいをうけろ! という話が好きなのかもしれない。親も人、子も人だ。
「おじいちゃんの小説塾」。引きこもりの祖父(誕生日の推定がちょうど私ら世代)というのがリアリティありすぎてうっとなる。どこに落とすのかなーと思ったらそうきたか!
「青春離婚」。離婚しよう? と言う女の子が最初に印象的すぎて、ウェブ公開時に一気読みしました。高校生として優しい部分と苦しい部分が描かれていて、読んでいてたくさんぎゅうっとなって、このお話の空気が本当に好きです。HEROさんのコミカライズも毎月楽しみで読んでいて、やっぱりコミックスを買ってしまった。
「下界のヒカリ」の、大晦日でもやっぱりだめ人間であるところに共感を覚えました! そうして立ち上がるときのかっこよさがいいなあ! 大晦日らしい出発の話でした。なんだかこの話に出てくる人みんなを応援したくなる。
PR

「……死が二人を分かつまで」クレアの誓いの言葉が静かなチャペルに響いた。
奇しくも、そこは200年後に彼女とフランクが結婚式を挙げるチャペルだった。
こうしてクレアは、18世紀のスコットランドで若き戦士ジェイミーの妻となった。
極悪非道なイングランド軍大尉ランダルから逃れる手段としての結婚だったが、ジェイミーの魅力には抗しがたいものがあり、クレアにとっては心安らぐ日々がつづいた。だが、ある日ジェイミーの言いつけにそむいてストーン・サークルへ向かったばかりに、彼女はとうとうランダルの掌中に!(裏表紙より)
アウトランダーシリーズの二巻目。クレアが結婚式前日に呑んだくれてブラックアウト、というところからの続き。
やりすぎです!笑 この本の半分くらいいちゃこらしている。一巻は状況に慣れるまでが大変で色恋沙汰なんて二の次だったのに、二巻はこれでもかと夫婦のシーンがありすぎで笑ってしまった。仲睦まじいのは何よりなんですが、鞭打ちのシーンがあるとは思わず(性的な意味ではなくておしおき)、ただヒロインが甘やかされて大事にされて持ち上げられて……という話ではないところが面白いなあ!
このままどう展開するのかなーと思っていたら、最後に「えーっ!!」という秘密を持った人がいて、これからどうなるんだろう!

14歳の女子たちの学校生活における処世術を、実際の学生にインタビューやアンケートしながらまとめてみた読み物。この前『くすぶれ! モテない系』(能町みね子)という本を読んだのですが、この本は女子学生(あるいは女子)におけるヒエラルキーとかカテゴライズとかの話をしています。本気なのか冗談なのかちょっと分からないところもあったけれど笑 面白く読みました。
女子高生のあるある感がぱねえっす。そう、何故かヒエラルキー上位の女子はディズニーグッズが好きなのだ……。私の地元が大阪なので109系の文房具を持っている子は私の知っている人にはいなかったように思うのですが、制服の着こなし方とか、あるある……。女子校と公立で多少の違いがあるというのを初めて知りました。
日本の学校はこんな感じ、という話が主でしたが、中にアメリカとドイツの学校の話がちょっとだけあって興味深かったです。面白かった。

人が生まれながらに持つ純粋な哀しみ、生きることそのものの哀しみを心の奥から引き出すことが小説の役割りではないだろうか。
書きたいと強く願った少女が成長しやがて母になり、芥川賞を受賞した日々を卒直にひたむきに綴り、作家の原点を明らかにしていく、珠玉の一冊。
繊細な強さと静かなる情熱を合わせ持つ著者の、人と作品の全貌がみえてくる唯一のエッセイ集。(裏表紙より)
小川洋子さんのエッセイがすごく好きなので……。
小説を書いている日々のことや、受賞までの流れとか、そういうものをずっと読んでみたいと思っていたので、どういう状況で受賞の連絡をもらったという話が面白かった。それから、作家さんが初めて書いたお話の話も面白い。
小川さんの見つめる世界と、小川さんがくみ上げる感情がとても心地いいなあ。紹介文にもあるけれど、哀しみ。哀しみは、けれどほんのすこしあたたかい気がする。感情というそのものが持つ熱みたいなもの。純粋な温度と感触。

革命前夜のフランス、パリ。降りしきる雨の中、自由奔放で美しい高級娼婦のジャンヌと身分を偽った凛々しき死刑執行人、シャルルは出会った。互いに惹かれあいながらも、けして許されることのない恋に身を委ねる2人の未来は——!? 甘く密やかに燃え上がるヒストリカル・ラブストーリー。表題作のほか、動乱のフランス革命期に一途な愛を貫いた、『嵐の狂想曲〜暁を臨む天上の歌〜』も収録。(裏表紙より)
革命を目前にしたフランス・パリでの、死刑執行人と女性の物語。死刑執行人かあ! とその立場にスポットライトをあてたことに衝撃を受けました。なんて重い立場。しかも多くの人間が首を落とされ、ギロチンにかけられていくその時代。
しかし読みながら浮かぶのはどうしてもベルばらである私をどうかお許しください。デュ・バリー夫人とかサン・ジュストとかロベスピエールと言われてもうっかりベルばら絵で再生されてしまう。
とにかく、動乱の気配漂う街に立つ男女が切なくて、すれ違いがどうしようもなくて、いい中編集でした。特に「無音〜」からの「嵐〜」が! お父さん! ちょっと火遊びしちゃったこともあるお父さん! 不器用なお父さん!(身悶え)

憤怒——それを糧に、ボブは追う。別れた妻を惨殺し、娘を連れ去った残虐なカルト集団を。やつらが生み出した地獄から生還した女を友に、憎悪と銃弾を手に……。鮮烈にして苛烈な文体が描き出す銃撃と復讐の宴。神なき荒野で正義を追い求めるふたつの魂の疾走。発表と同時に作家・評論家の絶賛を受けた、CWA新人賞受賞作。(裏表紙より)
まずは読め。
という感じの分厚さと最初のアレなアレ具合に、かなり時間はかかってしまったものの、最後まで読むと、解放されたような、ほっと息をつくような気持ちよさがある物語でした。そうか、こういうのがノワールというのだな……。暴力とか反社会要素がてんこもり。
主人公ボブは、カルト集団に元妻を惨殺され、娘が誘拐されてしまう。娘を取り戻すため、カルト集団の元組織員でありジャンキーの女であるケイスの助けを得て、二人は黒い世界に入り込んでいく。物語の主なところはとてもシンプルでありながら、ボブやケイス、そしてカルト集団の長サイラスといった人物の口にする言葉が読んでいてぐっとくるというか。うまい表現が出ないけれど、真理を言葉でこねくり回して遊びながらも、本質をついてくる感じ。訳が独特でそれもまた世界観を作っていて面白かったなあ。読み始めはしんどいけれど、中盤からだんだんはまってきました。
しかし文中に出てくる単語がピー音が入ってしまうアレな感じでしかも頻出するので読まれる方は気をつけてください。私はこんなにあれやそれやの単語が飛び交う小説初めて読みましたよ……。でも不思議とそんな粘っこくはなくて、重苦しいながらも抜け出せると読んでいる間に分かってしまう話ではあったなあ。訳者あとがきにもあったけれど、妙な清爽感がありました。
勧めにくいけれど、面白かった。かっこよかった。
社会と政治と宗教、すべての世界を超える神は銃弾。この話でこれほどしっくりくるものはなかった。

「何だって俺たちを巻き込んだ?」
「悪いな」全然悪いと思っていない口調でケリーは言った。
「おまえたちの専門分野で一働きしてほしいのさ」
外で聞き耳をたてている人間には意味不明の言葉だろうが、二人にはそれで充分だった。
ケリーの眼には見たこともない冷たい光がある。
「対象は?」
「全員だ。ここにいる全員、一人残らず」
レティシアもヴァンツァーも最後は諦めたように肩をすくめた。
「あんたが俺たちの親分なら『承った』と言うところだが……」
「この場合は『了解』だろうな」
標的は『過去』
元巨大財閥総帥にして元賞金首に仕掛けられた罠。姿無き敵の狙いとは?(裏表紙より)
今回はケリー+レティシア、ヴァンツァーの共闘。おいおいそれでいいのかという感じですが、敵は報いを受けるべきことをしたので、まあそれは、まあ。夫婦が仲良さそうでなによりです。「大陸間弾道ミサイル」の言葉に噴いた。
このシリーズ、チートが一人でなくて「みんなチート(それぞれ別方向に)」という感じなので、なんというか普通の小説にはあんまりない変な安定感と面白さがあるなあ。その安定感が疲れるときもあれば楽しい時もあります。そろそろもうちょっと長編で読みたくなってきた。

みどうちんの描く摩訶不思議なラブコメディー。泰平苑家の当主・撫子は、生まれた時から魔界の王子と政略結婚することが決められていた。なぜなら、撫子の家は、代々魔界と人間界の境界を守護する家だからだ。普通の娘は、嫌がる政略結婚。しかし、撫子は違う。ヴァリーとの結婚生活を夢見てきた変わりもののお嬢様。ところが現れたのは、恋い焦がれたヴァリーではなく…爆笑必至の恋物語!(裏表紙より)
ハイテンションなお嬢様と身代わりの花婿のラブコメ。なんでタイトルが「人形姫」なんだろうと思ったら、「にんぎょうひめ」じゃなく「ひとがたひめ」と読むのかもしれないと考える(でも国会図書館では「にんぎょうひめ」で入ってたから妄想妄想)
「破廉恥ですわ!」と「おい嫁」が飛び交う会話が楽しくて、べたべたならぶこめでにやにやしました。身代わりならではの「相手が本当に好きなのは、自分が身代わりをしているあいつ」という展開がとっても美味しいです!
瀧田家の操さんが好きなんですが出番が少なくて残念。キャラ紹介の操さんがまじで好みです。旦那さんがいるんですよね、ちょっとどんな生活してるか見てみたい。

神と人と、その狭間の者である箜(くう)。その時代、神はまだ人に近く、神の心が人々に様々な影響をもたらした。愛、憎しみ、戦うこと、生と死。神話モチーフのファンタジー短編六編に序章と終章を加えた連作短編集。
これすっごく好きだったー!! 表紙はCLAMPさんなんですが、これがすごく合っている。ちょっと謎めいた雰囲気が漂っていて、私はこの神様と人が混ざり合って生きている世界がものすごく好きなんだなあと思いました……本当に好きだったんだ……。
箜の姉弟の話「リュイとシムチャッカの話」、死の神と醜い沼の神の話「グドミアノと土蛙の話」、将軍が武力で神の笛を奪おうとする「カスファィニアの笛」、盗賊と少女の「盗賊たちの晩餐」、叔父に追われる王子の話「テレペウトの剣」、すべての終わりと始まり「終わりと始まり」。
どの話もオチが読める話なんですが、これをきちんと面白く書ききるのがすごいなあ。分かりきっているけれど面白い。本当に面白い。大好き。こういう短編集が本当に好きなんだなあ……!
私が一番好きなのは「盗賊たちの晩餐」です。ちらっと悪くて、すごーくかっこいい話が好きです。
すべて読み終わった後、表紙を見ると全員が出ていることに気付く。
この本大好きだー(それしか言ってない)
