読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

彼女はこの国のあちこちで歌った。その噂は国中に広まった。彼女が歌えば歌うほど、抵抗活動に参加する者たちは勇気づけられ、力を強めていった。独裁政府は怒り狂い、彼女を捕らえようと躍起になった——今、伝説の歌姫が復活する。自由のないこの国に、春をもたらすために。(カバー折り返しより)
どこかの国の物語。寄宿学校に通う孤児の少女ヘレンと親友のミレナ。ミレナにはとんでもない歌の才能が眠っているが、そのことを知っているのはごくわずかな者だけ。同じ孤児の少年に出会ったことで、四人の少年少女の運命が動き出した。
主人公は歌姫たる素養を持つミレナではなく、ごくごく平凡な少女であるヘレン。ヘレンを通して見るこの世界は、灰色がかった夜の深い世界だけれど大切に輝く光みたいなものが見える気がする。
あっさり人が死んでしまうので「えっ」となったり、もうちょっとその後が見たかったとか色々あるのですが、ヘレンで終わるというのがなんだかしんみりするなあ。輝かしいミレナたちの物語の裏で、ひっそりと悲しみと傷を抱えたまま大人になって暮らしている人がいること。
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特別に容姿が悪いわけじゃない。恋愛経験だってゼロじゃない。時には、彼氏やダンナがいることもある。……でも、常にモテないオーラがにじみ出ている「モテない系」女子たちに同情し、憐れみつつも励ましはせず、いじくりまわしたイラストエッセイ。巻末に漫画家・久保ミツロウ氏との「モテキvsモテない系」対談を収録。(裏表紙より)
かなり昔にネットで連載を読んだ覚えがあって、本になっていたのか! と思って読みました。モテない系……私はモテない系と圏外ちゃんの中間くらいかな……orz
メールの顔文字絵文字とか、服装とか、マンガとか音楽とか、あるあるすぎて面白かった。メールアドレスのかわいさについて書いてあるところがあってそういえば! と噴き出しました。そうなんだよ、モテ子ちゃんはメールアドレスがかわいいんだよ……。
「そんなことないよー」と言われるより「そうそう……そうなんだよ……」とアンニュイに同意される方が嬉しい感じとか、あーあるある! みたいな。そうそう、そんな感じなんだよ! とかそういう共感を覚えるエッセイでした。面白かったです。

現金3千万円と紫色のちっちゃな下着をトランクに詰めて、高校時代の親友・鞠子が部屋に転がり込んできた。「人を殺したの」と言って……。その日から、普通のOL千種の悪夢が始まる、と思いきや?! 腐れ縁の元カレ・都丸も巻き込んで、3人の過去に一体何があったのか。幼くも一途な恋、将来への期待と不安、そして奇妙な友情。17歳の過去と24歳の現在を交錯させながら描く、異色の青春ストーリー! 解説・吉田伸子(裏表紙より)
17歳と24歳の物語が交互に語られる。17歳パートがすごく好きです。くすぶってる感とか閉塞感とか非日常に憧れる気持ち。
都丸がすごいだめんずなんだけれどいい男で悔しい。最低なのに憎めない感じがいらっとしながらいとおしい。鞠子のだめさ加減はリアルすぎてイタタタタ。それを喜んでしまう瞬間がある千種を自分と重ね合わせて胸がぎしぎしする。

本まわりの謎、調べました!
「読書好きはモテるのか?」「処分された本の末路はどうなるのか?」「官能小説のタイトルは、誰がどのようにつけているのか?」ほか、本についてわからないこと、誰しもが(!?)気になることを、北尾トロがカラダを張ってねほりはほり調べました! 雑誌『ダ・ヴィンチ』で創刊当初から続く人気連載、通算170本超から厳選して14本を収録。解説マンガは『暴れん坊本屋さん』の久世番子。(裏表紙より)
紹介文に上がっている官能小説のタイトルの話が面白かったです。全然分からないジャンルながらも、登場するタイトルが面白い。
出版業界について踏み込むのかなーと思ったら読者寄りの話でした。阪神大震災から一年くらい経った頃のものとかもあったりして、時間の流れを感じる。東日本大震災の被害に遭われた人たちもこんな風に感じているのかな。想像しかできないけれど……。

様々な事情から、家庭では暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設「七海学園」。ここでは「学園七不思議」と称される怪異が生徒たちの間で言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。
孤独な少女の心を支える"死から蘇った先輩"。非常階段の行き止まりから、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと、いるはずのない"七人目"が囁く暗闇のトンネル……七人の少女をめぐるそれぞれの謎は、"真実"の糸によってつながり、美しい円環を描いて、希望の物語となる。
繊細な技巧が紡ぐ短編群が「大きな物語」を創り上げる、第十八回鮎川哲也賞受賞作。(カバー折り返しより)
あらすじからどシリアスで黒々とした話だと思い込んでいたので、からっと明るい話でちょっとびっくりしました。表紙絵の方が昔からすごく好きで、綺麗だなあとにこにこ眺めてしまう。
日常の謎をひとつひとつ解いていくと、大きな物語が浮かび上がる仕掛けになっていました。ひとつひとつは結構すぐに分かったんですが、最後はえー! とすごくびっくりしたなあ。でも一編一編が大体似たような流れで終わってしまうのがちょっと残念。
ほんのりとした少年少女の恋があったり、憧れがあったり、読んでいて微笑ましい気持ちになりました。面白かった。

客室乗務員は、さまざまなお客様をお迎えする。かき氷が欲しいと泣く女の子、盗撮オヤジ、暴力を振るう酔漢、傍若無人なVIP、産気づく妊婦。その都度、知恵を絞り、全力で解決に当たるのだ。かつてチーフパーサーとして多くのフライトを経験した著者が、自身や同僚、後輩の遭遇した数々の事件を明かす。スチュワーデスたちの笑える失敗談も収録。『JAL機の懲りない人たち』改題。(裏表紙より)
サービスに従事する者として何か参考になったら……と思って読みました。無理難題とかクレームとか、こう、相手を立てながら答えを出すって難しいなあ。人と接するって本当に難しい……。人の心理って本当に、多種多様だよなあ……。
と浸るのはともかくとして、逆にいい話というのもあって、「おしぼりでござる」と「ミス・ハムレット」がよかった。こういう話もっと読んでみたいなー。いい間違いは結構鉄板ネタだなあと思った辺り、だめだめである。


翠の国の鳳穐と旺廈、二つの氏族は長らく恨みと憎しみと復讐によって覇権を争ってきた。国を統べる鳳穐一族、その頭領・穭。裏切られ囚われの身となった旺廈一族の頭領・薫衣。宿命づけられたようにお互いを殺したいという思いを抱いてきた二人はしかし、国のために手を取り合うことになる。
私が読んだのは単行本版。
すっごく政治的な話がずーっと続くんですが、最後まで読むと一気飲みしたみたいに「ぷっはー!」となるような、息が詰まって詰まって苦しくて、どうしてうまくいかないのだろう、二人の思いはここで潰えてしまうのだろうかとはらはらのし通しでした。最後は悲しいような、けれど確かに大地を踏みしめている気もして、泣き笑いの顔になってしまう。
鳳穐と旺廈の宿命づけられた憎しみの鎖を断ち切るには、あまりの多くのことが難しく、それをやってのけた穭の政治的手腕が物凄いのと、それに応じながら自分らしさを失わなかった薫衣に、もうひたすら感嘆のため息。基本的にはうまいこといくのに、人々の思惑が絡み合って、ただではいかない感じや、穭の君主としての容赦のなさがすごい。優しい話を書くならきっと薫衣の視点で選ばれた者としての話が書けただろうになあ……すごいなあ……。

リスカは花を媒体としないと魔術を使えない〈花術師〉。魔術師のあいだでは〈砂の使徒〉と呼ばれ蔑まれていた。
リア皇国の辺鄙な町オスロルで魔力を込めた花びらを売って、細々と暮らしていたリスカは、強盗に襲われボロボロになって森に逃げ込む。そこで傷ついた魔剣を見つけ治癒を施した。
翌朝、自宅のベッドでリスカが目覚めると、見知らぬ男がいた。彼こそは、伝説の〈剣術師〉セフォーだった。
そのころ皇国内では〈死にいたる媚薬〉が売られ、被害者が続出していた。リスカとセフォーは、不穏な世界に否応なく巻き込まれていく……。(帯より)
ずっと存じ上げていた、iaさんのネット小説の書籍化作品。落ちこぼれ魔術師と、正規の魔術師ではないながらも伝説にうたわれる剣術師の、波瀾万丈の物語。
ところどころR15なのにどきどきしつつ、この話ですごく印象に残ったのは、魔術師という存在は賢者の素質を持っているのだなあ、ということ。作中でかなりそういった教育を受けている話が出てきていましたが、そういう素質がないと魔術師は名乗れないのでしょうね。リスカが語るシーンが、なんだか私のイメージする賢者の風格で、おおっと思いました。
セフォーがちょっと不思議で、なのにかわいらしい人で好きです。最強のくせに犬みたいだわー笑 かと思うと揺るぎない考え方を持つ人であり、何故この女だけ特別なのだ他とどう違うのだと問われたときは、リスカ以上にどきん! としました。セフォーの問いかけは、実に真理だと思う。
続きがネットにあるんですよね。時間を見つけて読みたいなあ! この二人はどこへ落ち着くんだろうか。
ところで内容とは直接関係ないんですけれど、この本の装丁が。帯で隠れるとはいえ表紙絵をこう加工するとか、本文の場面転換改行とか両側にもう一行あってもいいんじゃないかとか帯デザインもうちょっとがんば! というか、ここまで見てしまう私が細かいのか……。

『精霊王の巫女』に選ばれたアイシャと、国王代理を務めるカファス王子の活躍により、かつての平和を取り戻したカダル王国。結婚まであと少しというふたりに、邪悪な陰謀が忍び寄る。突然現れた、魔眼を操る男に幽閉されたカファス。記憶を失い、身も心も囚われてしまったアイシャ。ふたりは偽りの楽園から目を覚まし、奪われた愛の記憶を取り戻すことができるのか——砂漠と精霊の王国を舞台におくる、ドラマチックファンタジー!(裏表紙より)
シャイターンの花嫁の第二巻。一巻から続き、平和になったカダル王国でのアイシャとカファスのその後。あ、あ、あ、あまーーーーーい! アイシャもカファスも相手を好きすぎるだろー!
記憶を失って他人に囚われてしまったアイシャの、心の底にまだ住んでいる人がいるシチュエーションがときめきすぎて動悸がしました。忘れてもまだ好き、というのはほんとおいしいな! それに対するカファスの態度が、もうカファスでしかなくて、多分一人の時すごくもどかしい思いをしているだろうに何にも覚えてないアイシャの前ではちっともそんなそぶりを見せないところが! この! ってなりました。相変わらず人たらしだし。
ナーギもアイシャ好きすぎで、198ページで涙ぐんでしまった。なんだろうなあ、この、カファスではどうしようもできない繋がりみたいなものが二人にはあって、そのつながりが悲しい気もするし嬉しい気もするし、切ないし、けれど優しい。ナーギの株が噛ませ犬以上に上がったんですけれどナーギほんといいやつ……!(ぶわっ)
面白かったです!

全世代の女子に捧げるハイテンション学園コメディ
女子校に憧れた和実は、猛勉強のすえ中の丸学園に合格。だが入学すると、学園は共学になり、「大奥」と呼ばれる生徒会に牛耳られていた! 憧れの「上様」はまるで雲上人。クラスメイトは外部入学者に冷たい。さらに、大嫌いな幼馴染み・鼻くそギルバートに愛を告白されてしまい……。子どもから大人まで全ての女子をときめきと笑いの渦に巻き込む、学園ラブコメの決定版!(裏表紙より)
すげーおもろかった。読んでてすごく楽しかった! ハイテンションの上にラブコメでボケとツッコミばっかりなんですが、そこのへんの元ネタが分かるとかなり読んでて面白かったです。マリみてネタが分かれば大体オッケーだと思います。文体がノリのいいブログみたいだなーと思う。
舞台設定や学園の様子はまったくの非日常なんですが、書かれている人間模様がどう読んでもごくありふれた中学生なのがすごい。友達同士のささいなこと、相手のことを思ったり心配したりとか、特に鼻くそギルバートの事情は現実に本当にあることで、リアルとファンタジーの差みたいなものがすごいバランスで配置されてるのがすごい。
本当に面白かった。楽しかった。ラストのきらっと光る希望みたいなものがいいなと思う。子どもだから、という言葉は強いな。