読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
彼女はこの国のあちこちで歌った。その噂は国中に広まった。彼女が歌えば歌うほど、抵抗活動に参加する者たちは勇気づけられ、力を強めていった。独裁政府は怒り狂い、彼女を捕らえようと躍起になった——今、伝説の歌姫が復活する。自由のないこの国に、春をもたらすために。(カバー折り返しより)
どこかの国の物語。寄宿学校に通う孤児の少女ヘレンと親友のミレナ。ミレナにはとんでもない歌の才能が眠っているが、そのことを知っているのはごくわずかな者だけ。同じ孤児の少年に出会ったことで、四人の少年少女の運命が動き出した。
主人公は歌姫たる素養を持つミレナではなく、ごくごく平凡な少女であるヘレン。ヘレンを通して見るこの世界は、灰色がかった夜の深い世界だけれど大切に輝く光みたいなものが見える気がする。
あっさり人が死んでしまうので「えっ」となったり、もうちょっとその後が見たかったとか色々あるのですが、ヘレンで終わるというのがなんだかしんみりするなあ。輝かしいミレナたちの物語の裏で、ひっそりと悲しみと傷を抱えたまま大人になって暮らしている人がいること。
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