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黄金の王 白銀の王黄金の王 白銀の王 (角川文庫)
翠の国の鳳穐と旺廈、二つの氏族は長らく恨みと憎しみと復讐によって覇権を争ってきた。国を統べる鳳穐一族、その頭領・穭。裏切られ囚われの身となった旺廈一族の頭領・薫衣。宿命づけられたようにお互いを殺したいという思いを抱いてきた二人はしかし、国のために手を取り合うことになる。

私が読んだのは単行本版。
すっごく政治的な話がずーっと続くんですが、最後まで読むと一気飲みしたみたいに「ぷっはー!」となるような、息が詰まって詰まって苦しくて、どうしてうまくいかないのだろう、二人の思いはここで潰えてしまうのだろうかとはらはらのし通しでした。最後は悲しいような、けれど確かに大地を踏みしめている気もして、泣き笑いの顔になってしまう。
鳳穐と旺廈の宿命づけられた憎しみの鎖を断ち切るには、あまりの多くのことが難しく、それをやってのけた穭の政治的手腕が物凄いのと、それに応じながら自分らしさを失わなかった薫衣に、もうひたすら感嘆のため息。基本的にはうまいこといくのに、人々の思惑が絡み合って、ただではいかない感じや、穭の君主としての容赦のなさがすごい。優しい話を書くならきっと薫衣の視点で選ばれた者としての話が書けただろうになあ……すごいなあ……。
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