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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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森茉莉―贅沢貧乏暮らし
森鴎外の娘、森茉莉の幼い過去や『贅沢貧乏』だった日常をまとめたムック。

非常に面白かった! 料理の写真がたくさん出てきてお腹が空きました。森茉莉さんが昔食べたもの、得意料理など、見ていてなんだかとても嬉しくなってくる。茉莉さんの著作の抜粋もあって、おとめごころがときめきました。素敵な言葉を使われる人だなあ。
森鴎外の子煩悩ぶりはうっすら知っていたんですが、その娘たちがこうして愛情深く記憶を書き残しているのは、読んでいて、嬉しいし、楽しい。
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少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹読書日記 (創元ライブラリ) (創元ライブラリ L さ 1-1)
小説家・桜庭一樹は稀代の読書魔である。本当に毎日本を読むのである。こよなく愛するジョン・ディクスン・カーのミステリをはじめ、ガルシア=マルケスの傑作小説、アゴタ・クリストフの自伝、死刑囚についてのドキュメント、茨木のり子の詩集から三島由紀夫のエッセイまで、縦横無尽に読んで過ごした、疾風怒濤の一年間!(裏表紙より)

読書エッセイ。文庫は、注釈が読みにくいなーと思いつつ、楽しかった。まったく読書傾向が違う感じがして、読みたい本が増える。
執筆についても少しあって、書いている時は本当にそのことで頭がいっぱいなのだなと思う極限感。削るように書く人かもしれないなあという印象は前からあったけれど、裏付けされた気がする。
しかし周囲を囲む編集さんたちが独特で面白い。桜庭さん自身も独特な人だけれど、面白いひとには面白いひとが集まるのだな、と思う。
桜庭さんの話で好きなのが、祖母、母、桜庭さんの三人が揃っている話。お父様の話を実は今まで見たことがなかったので、これを読んで実在したんだ(失礼。すみません)と思いました。覚えているのが、『私の男』のインタビューで、ちょっと怒ったように喋っていらしたのですが、なんとなく桜庭さんとお父様のイメージが薄くて。本読みという血なのか、おばあさまとお母様と桜庭さんの揃った濃さが面白いなあと思いました。
青年のための読書クラブ
聖マリアナ学園。通うのは良家の子女という人々の認識が持たれる、少女たちの園。生徒会、演劇部という二大勢力を主としたせかいで、ひっそりと受け継がれる記録があった。読書クラブの、読書クラブ誌である。

学園で抹消された事件の記録が記された、読書クラブ誌が語る短編集です。面白かったー! 毒が効いていて、洒落ている、少女たちの物語でした。毒々しい感じの少女たちでもありました。この語り口は酔うなあ。素敵だ。
桜庭さんの少女の目線が、とても好きだ。私はこういう見方は、素地がないのでうまくできないのですが、そうそうそうなんだと頷くくらいはできるほどに、少女が好きです。閉じられた学園で、みんなが大体男言葉を喋って、学園の王子様を選ぶ制度があって……。物語で語られる通り、男性なんて、と思っているのに、そうして擬似的に男性が存在している。太っている、のと、美しい、というのをこうも何度も使って強調しているのが面白いです。
最終話まで読めてよかった。面白かった。おすすめです。
4TEEN (新潮文庫)
東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。ナオト、ダイ、ジュン、テツロー、中学2年の同級生4人組。それぞれ悩みはあるけれど、一緒ならどこまでも行ける、もしかしたら空だって飛べるかもしれない——。友情、恋、性、暴力、病気、死。出会ったすべてを精一杯に受けとめて成長してゆく14歳の少年達を描いた爽快青春ストーリー。直木賞受賞作。(裏表紙より)

再読。高校生かその時分に読んだので、ずいぶん久しぶりでした。あの頃は、もっとどろっとした、嘘みたいな青春、というような感じがあったのだけれど、二十歳を過ぎたら、ずいぶん彼らがかわいらしく、一生懸命に映った。
十四歳たちの一年を、八話に渡って描いたものです。友情、が今回の再読で強く感じた。馬鹿をやっているように見えて、彼らなりの事情がある。激しくいがみ合うことなく、自然と集まり、支え合っている、大切な時間を過ごしている四人が、とても眩しかったです。ずいぶん遠くなってしまった私自身の十四歳を思い出した気がしました。
クレヨン王国のパトロール隊長 (講談社青い鳥文庫 (20‐4))
 5年生のノブオは、右田先生にしかられ、山おくへかけだしました。道にまよって、林の中の一けん家をたずねると、洋服を着たフクロウが……。いつのまにか、クレヨン王国へまよいこんでいたのです。ノブオは、王国のパトロール隊長として、冒険の旅に出ます。楽しい読み物に子どもの主張をおりまぜた「クレヨン王国」シリーズ2作め。(裏表紙より)

先生と折り合いがよくなく、いじめられているような状態のノブオ。先生は一般的にはいい先生だと言われているのに、ノブオにだけ辛く当たる。その冒頭が辛いなあと思いました。贔屓する先生は確かにいるし、当たりのきつい先生も存在すると、知っているから。
でも先生は何故ノブオを嫌うのかなあとも思う。瞬間的に嫌な態度を取ってしまうのかな。
作中で泣きそうだったのはワレモコウの話。ワレモコウへのいじめはひどい。
クレヨン王国で起こる出来事の数々が現実を暗示させていて、思わず唸るほどうまく描かれているように思えました。うまいとか言いたくないんですが、でも、すごかった。そうなんだ、そうだったんだ、とすんなり納得出来たのです。
明らかな解決は描かれていなくとも、ノブオ自身がクレヨン王国での冒険で成長して、変わったようなのが最後なので、うまくいくといいと祈っています。
“柊の僧兵”記 (徳間デュアル文庫)
少年ミルンにとって、生まれついての自分の白い肌は、うとましい以外のなにものでもなかった。〈白い子供〉——過酷な砂漠で生きる民たちの間で時折生まれる彼らは、体力的に劣る鬼っ子であり、悪しき伝承によって語られた忌むべき存在でしかなかったのだ。しかし、村が謎の侵略者に襲撃された時、なぜか生き残ったのは、ミルンと、やはり白い肌をもつ少女アジャーナだけだった。突然の破壊と惨殺。敵は何者だったのか、その目的は…。ふたりは真実を知るために、〈柊の僧兵〉を探す旅に出ることを決めた。(裏表紙より)

SFと少年成長物語。面白かった。〈柊の僧兵〉かっこよすぎだー! そして、ひ弱で泣き虫の少年が、己の力を知った時、力強く歩み出す様が眩い物語でした。「みんなとは違う」ことを、ここまであからさまに、強みに描いていても、見下すようなことがないのは、ミルンやアジャーナが本当に知恵者だからなのかもしれません。
侵略者たるネフトリアの正体については、さすが菅浩江さんといった風の、SFならではなグロテスクで危機感を覚える気味の悪いものたちだなあと思いました。時間は他人に使うのではなく自分が楽しむために費やすべき、という台詞が、とても恐ろしかった。
ラストの美しさは素敵だった。最初の方でこれが出た時、きっとキーになるんだと思っていたから、みんなが空を見上げている感じがとても嬉しかった。
桐原家の人々〈1〉恋愛遺伝学講座 (C・NOVELSファンタジア)桐原家の人々〈2〉恋愛心理学入門 (C・NOVELSファンタジア)
桐原家の人々〈3〉恋愛統計総論 (C・NOVELSファンタジア)桐原家の人々〈4〉特殊恋愛理論 (C・NOVELSファンタジア)
桐原真巳は悩んでいた
都と猛がほっそりとしたシャム猫なら
自分は黒くてごついシェパードだ
これで三つ子だなんて本当か!?
真巳が16年間抱えてきた疑惑の渦は
突如として予想をはるかに越え
怒濤のごとき展開を迎えることに
あらわになった真実とは?
とてつもなくパワフル、超マイペースな
家族コメディが新装登場!(1巻裏表紙より)

再読。一度目はルビー文庫版で読みました。全四巻を一気に書いてみる。
あとがきでも仰っているように、恋愛じゃなくてホームコメディです。桐原家の人々の安定した嘘つきぶりというか、我が道を往くっぷりがかっこいい! キャラ濃ゆいなあ。都の人物の作りが、ちょっとデル戦のリィを彷彿とさせて、デル戦も読みたいなあと思っています。

二巻は父親登場の巻。広い学校での学生生活より断然狭い家庭内の方が面白い。どたばたの勢いを超えて、暴れ回っている感じ。
気になったのが、デザインの話。茅田さんはデザインにお詳しいんだろうか。なんだか好きそうな感触が伝わってきた。

三巻、零と麻亜子落ち着くの巻。この巻の話が一番好き。むかつく人たちをぎゃふんと言わせるのが、気持ちよくてたまらない。一方で、破天荒なはずなのに、泣きたくなるくらいみんなが優しい。結婚式が決まってからのどたばた感はいいなあ。いい方向に転がっていくのが分かるからかも。

四巻は桐原家過去編。零が引き取られ、三つ子の時代までに至る物語。すごいテンポで物事が過ぎ去っていくので、ちょっと物足りなくも、しんみりとシリアスでした。
零の考え方が好きです。付き合うってとか、記念日がどうとか。桐原家の人々も、まさに「たくましい」という表現がぴったりくる。気持ちよく、考え方が突き抜けていて、読んでいて気持ちよくありました。
トムは真夜中の庭で (岩波少年文庫 (041))
トム・ロングは、はしかにかかったピーターから隔離されることになり、おじさんおばさんの住むアパートにやって来た。退屈な夏休みにうんざりしていたトムだったが、アパートにある大時計が真夜中に十三時を打ったことで、不思議な出来事に遭遇する。

時間をテーマにした作品。私が読んだのはハードカバーなのですが、手に入りやすいこちらを貼ってみる。
ごみごみした街の中、あるはずもない美しい庭園を見ることになるトム。そこで出会ったのは、ひとりの女の子。どうやらトムの姿は誰にも見えないらしいのに、彼女、ハティにだけは見えるよう。
少年少女の出会いと子どもらしい遊び。子どもを振り回す大人の都合が見え隠れしながら、それでも無邪気に遊ぶ彼らになんだかにっこりしてしまう。庭園が、とても素敵。一人でも楽しく遊べるくらい、すごくいきいきとして描かれています。裏庭ってイギリスではかなり重要な意味を持つのかな(例:梨木香歩『裏庭』)
結末はうるっときてしまう。時間と時間が重なり合う瞬間は、とてもいい。
世界のグラフィックデザイナーのブックデザイン
1950〜60年代のアメリカ、ヨーロッパのブックデザインが収録。デザイナー本人の話はごくわずかで、デザインされた本の紹介が多かった。眼福。デザイナーの作った絵本の話もちょろっと載っている。この頃のブックデザインは、色鮮やかでべたっと塗ったものが多かったのかな、とちらっと思った。もちろんそうじゃないのもたくさんあるんだけれど。
銀の犬
祓いの楽人(バルド)は天分の才。楽を奏でる者であっても「選ばれる」もの。世界の理を正す者。物言わぬ祓いの楽人オシアンと、彼と共に旅するブランは、この世に留められる、あるいは留まる頑な魂を解放し、理を正す者である。ケルト民話・伝説を下敷きにした異世界ファンタジー。

私が読んだのはハードカバー。文庫でも出ているようです。
とても綺麗なお話でした。一話完結、話の語り方は違えど、祓いの楽人オシアンと相棒ブランが、この世に留まった魂を解放する物語です。妖精、悪霊など、幻想の生き物たちがごくごく自然に人間に関わっている土地でのお話。ヨーロッパの妖精物語系でしょうか。
森の緑や湖の青なんかが活き活きと綺麗だなあと思いました。荒野の様子や、家々の様子なんかも、とても温かみのある、自然のままの世界で、こういう場所なら「万物の始まりは楽の音」と言われても全然不思議じゃない。
ハードカバーの、水彩の絵がとっても綺麗なのですよねー。気になってた本だったのですが、2009年冬号の活字倶楽部だったかで紹介されていたので、読んでみようと。とてもいいファンタジーでした! オシアンの謎も、ブランの物語も、まだ語られていないので、もし続きが出るなら読みたいです。
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Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
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