読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

魔術師サイベルは、エルド山の奥深く、四匹の幻獣のみを友として日夜魔術の修行に励んでいた。そんなある日、サイベルのもとに赤児を連れた騎士がやってきた。その赤児こそサイベルの甥であり、しかもエルドウォルド国の応じにほかならなかった。やがてサイベルは、否応なく王位継承争いに巻き込まれ、人の世の愛と憎しみを知りはじめる……。モダン・ファンタジイ界の俊英が流麗な筆致で描く、世界幻想文学大賞受賞作!(裏表紙より)
確か児童文学作品紹介集で読んで、読みたくなったので手に入れたのだったかな。硬派で古いよい香りのするファンタジーでした。冒頭の数ページで折れそうになったのですが、サイベルの話が始まった途端、ぐんぐん面白くなった気がします。
人と接することを知らなかった十六歳のサイベルが、騎士と彼の連れてきた赤子によって少しずつ愛と憎しみを知るようになる、のですが、その人間関係もよかったのですが、サイベルが心交わすことができる獣たちとの交流がときめきでした。見えない絆、誰かを思う心、自分を見つめることを描いているように思うのです。
サイベルはそれほど子どもではないはずなのに、その心の気高くて、清らかで誇り高いこと。心を操ることのできる美しい女性が主人公であるのと、幻獣スキーにはたまらないラストでもありました。面白かったです。
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時は中世。公国の若き領主、ジェイマス五世の老摂政が亡くなった。先見の明をそなえた摂政が国のために講じておいたとっておきの秘策、それは自身の飼い猫、ニフィだった! 賢い猫はやがて“摂政”として、重要文書承認時など敏腕ぶりを発揮。領主の恋に政治的陰謀が絡まりだすとき、隠れ摂政はどんな妙手を繰りだす? 猫を愛する現代SFの女王が贈る、猫ファンタジイの逸品。(裏表紙より)
なんとなく児童文学っぽい雰囲気のある話だなあと思いました。訳のせいでしょうか。会話の内容やテンポがなんとなくそう思わせたのかもしれない。
猫が活躍するという話ですが、視点はジェイマス公がメインで行くので、猫のニフィは裏方です。それでもところどころで現れて、あくまで猫らしい行動で人々の意表をつく解決策を提示してしまうのはすごく愛らしい! でもニフィも愛らしいですが、登場するエスファニア公国の人々も、理知的で機転が利いて、チャーミングな人たちばかりだと思う。
なんとなく、最後に亡くなった老摂政マンガンが笑っている気がしました。
ところでこの本、妙に紙が固くて捲りづらいです……。私のだけかな。

アレスがようやく発見した新大陸、“アンティトル”で出会った少女。そして、そこで起こっていた不気味な異変とは……?
アナトゥール最終章の序章となる、アレスくんの新大陸物語、『瑠璃色の明星姫(チャスカ)』。
他、リクエストの多かった、リディア姫とヴァン・ブルーの一夜のエピソード。
「ユナと王子はどこまでいってるの?」という質問におこたえするスペシャルマンガバージョンなど、盛りだくさんの一冊です!!(カバー折り返しより)
中学生くらいから読んでいるシリーズで、すでに完結しているんですが、久しぶりに続きを見つけて読んでみました。色々と、若い……なあ……と思うシリーズになっていました。自分が歳を取ったことを実感した。
シリーズの紹介としては、高校生のユナがエスケープしたさきの図書館で見つけた一冊の本の文句を口にした途端、異世界アナトゥールに飛ばされ、その世界の王国のひとつエスファハンの王、金の砂漠王(バーディア)、シュラ王子と出会い……という異世界召喚好きにはたまらない設定の物語。なんですが、一人称文章なので、今読むとすごく物足りない気持ち……。
この巻は最終章の序章としての中短編集になっています。世界の行く末が危うくなりつつある、異変を海賊王(ファルカス)のアレスが発見するというものが中編「瑠璃色の明星姫」。世界が虚無に覆われようとしている、という最後の戦いへの提示でした。こういう王道なのが好きだったんだなあと懐かしく思いました。

中学二年の爽子は、偶然みつけた素敵な洋館「十一月荘」で、転校前の数週間を家族と離れて過ごすことになる。「十一月荘」の個性あふれる住人たちとの豊かな日常の中で、爽子は毎日の出来事を自分の物語に変えて綴り始めた。のんびりしているようで、密度の濃い時間。「十一月にはきっといいことがある」——不安な心を物語で鎮めながら、爽子はこれから生きて行く世界に明るい希望を感じ始めていた。(裏表紙より)
再読。最初に読んだ時、あまりの素敵さにいつか絶対もう一度読みたいと思っていたのですが、今年ようやく読めました。読み始めたのは十一月だったのですが、読み終わる頃には十二月になっていました。
学生は喫茶店に入ってはいけないというようなことがあったので、書かれている年代は昭和くらいだと思うのですが、爽子の瑞々しい感覚がまったく古臭くなくて、読んでいると、以前よりずっと綺麗に、すうっと馴染んで、こういう目を持った登場人物に会えることをずっと望んでいたように思いました。母親との小さなすれ違いを感じていたり、友達に対して後ろめたいと感じることがあったり、年頃の少女たちを一歩引いたところで見ていることなど、本当に、たまらなく愛おしいと思う。少女というものを、この作品では瑞々しい、しなやかな植物のように描いているよなあと思ったのでした。文学少女というところにきゅんきゅんきていただけかもしれないけれど。
登場人物は、ほとんど女性ばかり出てきます。様々な人々のおしゃべりや、関わり合いが心地よくて、以前より、ずっとずっと大好きな一冊になりました。
オススメです。

冬の朝、陸橋から落ちてトーマは死んだ。同じ学校に通うユーリに遺書と考えられる手紙を残して。しかし時期外れの転校生エーリクが現れる。彼は死んだはずのトーマにそっくりだった。オスカーは、ユーリとエーリクの間に入り、変化を見守ることになるが。
萩尾望都『トーマの心臓』を核に、森博嗣の『トーマの心臓』に仕立てたという感じでした。『トーマの心臓』と銘打っていても、この作品の舞台は日本で、彼らはどうやら理系の大学生っぽい。名前は大体の人が渾名。双方がどのように関係しているのかと考えるのが面白い。
原作の知識がないと、ユーリとエーリクの関係性やユーリ自身の昇華は見られないのではないかな。原作では重要な役回りをしていたオスカーの目から見たユーリたちというのは、何故だかとても静かな、祈りのような、心や精神といったものに満ちている。そしてこの作品も、原作も、影響し合ってとても濃い深みを作っているように思います。

朝日新聞1996年4月6日〜1997年3月29日付「マンガ名作講義」を中心に構成した、名作マンガの作品紹介集。名作をリンクさせた相関図、巻末に2000作の名作索引を収録。
萩尾望都について調べなくてはならなかったので読む。萩尾望都作品は、『ポーの一族』『半神』『トーマの心臓』が紹介されています。
知っているものは少なかったですが、たくさん読んでみたいと思うものがありました。
面白かったのは名作を繋げていくリンク集で、これは2005年当時連載中の作品まで掲載されていて興味深いです。特に『ハチミツとクローバー』のその紹介には「まだタイトルの謎は明らかにされていない」とあって、今読むとなんだかとても感慨深くなりました。

少女まんがの前史から始まり、わたなべまさこに始まった少女のためのストーリーまんがから、昭和の終わりまでの少女まんがの歴史を見る一冊。
その年に発表された、話題になった、作家の略歴と作品について軽く触れられています。また2004年までの年表もあり、2000年代は評価が難しいと思うので軽い感じではありますが、その年の話題作のようなものの連載年月号が書かれています。里中満智子、一条ゆかり、内田善美、くらもちふさこについてはエッセイのようなものがあります。
恩田陸『土曜日は灰色の馬』で少女マンガについて触れられていたのを読んでいたこともあって、そこから更に詳細な情報を得たという感じでした。
筆者の二上さんが、結構思いつくままに書いていらっしゃるような感じで、ある漫画家について触れる文章があったかと思うと、その後にその作家のデビューの年の話をされていたりと、結構あちこち飛びます。
けれども、興味深い一冊でした。年表がすごく便利そう。

「私は魔女なの」謎の言葉を残したまま一人の女生徒が寮の「開かずの間」で焼死した。その夜から次々と起こる級友たちの惨殺事件に名門女学園は恐怖と狂乱に包まれる。創立者の血をひく転校生冴子は心の奥底から湧き起こってくる“囁き”に自分が殺人鬼ではないかと恐怖におののく。「囁き」シリーズ登場!!(裏表紙より)
いい全寮制学園もので、毒で、少女で、ミステリでした。繰り返し強調される血の色と謎の暗示がとてもよかった! 厳しすぎる校則や、学園の生徒たち、転校生、少女たちはこうでなくては、と思わせる、陰鬱で耽美なお話だったと思います。
主人公冴子には秘密があるんだろうと最初から分かっているのですが、冴子の恐怖心を追体験するような気がしていました。最後の真相に辿り着き、冴子が前を向き始めるところは、謎が解き明かされた爽快感もあって、清々しい風が吹いているような印象でした。
これ、ものすごく好きです。毒のある少女たちや、ともすれば狂気的なところも。恐ろしい儀式などもあって。冴子がミステリアスな美少女なのに自分で気付いていないというところが、なんだかもだもだしました。シリーズらしいので他も読んでみたいです。

——剛くん、結婚して。
サダコのような黒ずくめの女・サキに、突然結婚を迫られた剛。面白がるバブーのせいで彼女とデートする羽目になる剛だが、そのサキに何故かバブーがプロポーズ!? ——「花嫁グレイ篇」とバブーの成人試験の合否をかけた、剛vsバブーの日本全国鬼ごっこを描いた「王様ゲーム篇」+書き下ろしを収録。
最強のトラブルメーカーお坊ちゃま、バーソロミュー(通称バブー)と、現役男子高校生にして時給五千円の雇われ乳母、剛が繰り広げる荒唐無稽コメディ第二弾、さらにパワーアップして登場!!(裏表紙より)
2巻も面白かった。バブーがさりげなく紳士なのもギャップでかっこよかったし、剛が更に男前乳母になってるのも楽しかった。変な人ばっかり出てくるけれど、違和感もなくて楽しくて面白いなあ。日本事情なる外国と日本の価値観などの違いについて学んでいる身にとっては、桜前線についてとか和式トイレについてなどのバブーの反応が面白かった。
「王様ゲーム篇」を読んでいて、妹は「一人です」にばふぉっと噴いたら、側にいた家族にどしたんと聞かれた。
