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妖女サイベルの呼び声 (ハヤカワ文庫 FT 1)
魔術師サイベルは、エルド山の奥深く、四匹の幻獣のみを友として日夜魔術の修行に励んでいた。そんなある日、サイベルのもとに赤児を連れた騎士がやってきた。その赤児こそサイベルの甥であり、しかもエルドウォルド国の応じにほかならなかった。やがてサイベルは、否応なく王位継承争いに巻き込まれ、人の世の愛と憎しみを知りはじめる……。モダン・ファンタジイ界の俊英が流麗な筆致で描く、世界幻想文学大賞受賞作!(裏表紙より)

確か児童文学作品紹介集で読んで、読みたくなったので手に入れたのだったかな。硬派で古いよい香りのするファンタジーでした。冒頭の数ページで折れそうになったのですが、サイベルの話が始まった途端、ぐんぐん面白くなった気がします。
人と接することを知らなかった十六歳のサイベルが、騎士と彼の連れてきた赤子によって少しずつ愛と憎しみを知るようになる、のですが、その人間関係もよかったのですが、サイベルが心交わすことができる獣たちとの交流がときめきでした。見えない絆、誰かを思う心、自分を見つめることを描いているように思うのです。
サイベルはそれほど子どもではないはずなのに、その心の気高くて、清らかで誇り高いこと。心を操ることのできる美しい女性が主人公であるのと、幻獣スキーにはたまらないラストでもありました。面白かったです。
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