読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

アダルシャン王国の南・グラーレン地方で起こった領土問題のため、戦地へ行くよう兄王から命じられた王弟アレクシード。そのことで幼い妻・ユスティニアと言い争い、気まずいまま別れてしまったせいで、彼は彼女のことが気になって仕方ない。やがて訪れたグラーレンの町に、妙な既視感を覚えるアレクシード。そして敵軍からの、裏切りへの誘い…。そこに王都から、驚くべき報が――!? アダルシャン・シリーズ激動の第3弾!!(裏表紙より)
アレクとユティが離ればなれになる。というのはもし普通のカップルだったら辛い別離なんだけど、なんだかこの二人を見ていると非常に安心感があって、大丈夫大丈夫と思ってしまう。どちらかというと大丈夫という印象を抱くのは十歳のユティの方が強い感じが。情けないアレクシード。
政略結婚、王国物の王道なのにこの作品が非常に好きでどうしようかと! 兄弟、妾腹の王子、政略結婚、幼い妻、陰謀、戦争……。この巻では特に兄王ユーゼリクスと、ユティの会話が非常にたぎった。
「義兄上は、誓いの価値を御存知ない」
「…………」
「わたしは誓ったぞ。アレクと夫婦になると、誓った」
これ十歳が言うんだ。もえずにどうする。
5/3「99%の誘拐」
5/4「ハルシフォンの英雄」
5/7「彩雲国物語―はじまりの風は紅く」
5/8「少年陰陽師 異邦の影を探しだせ」
5/10「チャイルド44」下巻
5/12「穴」
5/15「作家の食卓」
5/19「作家のおやつ」
5/21「真紅の式使い」
5/23「ファミリーポートレイト」
5/26「うさぎ、うさぎ、どこいくの?」
5/27「シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン」
5/28「ブラザー・サン シスター・ムーン」

親子、だもの。呪いのように駒子は繰り返す。あの時世界は溢れる文字と二人だけで完結していた。ママだけがすべてだった駒子の幼少期と少女期。けれど少女期の途中で引き戻された現実の世界。どこへ行くの。どこへ行ったの。辛くはないが息苦しく生きる駒子から生まれるものは一体なんなのか。
一章ごとに物語が変わるような印象だった。最後まで読んで最初に戻ってくると、最初の駒子の幼い語り口や、陶酔しているような感じが伝わってきてぞくっとした。段々と駒子が現実に馴染んでいくのも分かって、少しずつ理性的になっていくようなのが不思議だ。どうしてこんなものが書けるんだろう。桜庭さんに重ね合わせてしまうんだけれど、こういう生みの苦しみを感じているんだろうなあと思ったりした。
最後周辺は感極まって泣いてしまった。あの、サイン会で少年が泣くところ。
テレビで芸能人とか憧れの人と同じ空間にいることで泣いてしまうファンの女の子の映像が流れることがあるけれど、最近それを見ていた父が思いっきり吐き捨てるような声で「泣くなやぁ!」と言っているのを聞いてしまったので、そして結構自分でもそれに傷付いてしまっていたみたいなので(「いいやんか泣いても!」と噛み付いたけれど)、こういう、駒子みたいに思ってくる人がいるんなら、この人が好きでよかったなと思えるというか。
ラストのために辛い時代(章)を乗り越えるのもいいなと思いました。
作り手が死んだ後も、本だけが残って未来の誰かを救うことがあるかもしれない。
(略)
あたしは、世界は確かにあたしの苦しみだけではできていないけれど、あたしたちの苦しみでできているかもしれない、と思う。

「私のものになれ、彰」
死んだ者の魂を呼び戻し、式神として使役する《式使い》。孤独な式使いの少女・彰は、幼なじみの天帝・基に突然求婚される。師の仇である基の執着から逃れるために彰が降ろしたのは、強大な力を持つが記憶のない、美青年の式神・司。優しく真摯な司に、次第に惹かれていく彰だったが…。彰を想い彼女のためだけに戦う式神と、激しく彰を求める帝。二人の愛に翻弄される彰の運命は!?(裏表紙より)
ごちそうさまでした! 一人の少女に二人の男性が迫るというのは大変美味しいシチュエーションでございました。
彰がいい子で、やっぱりこういう女の子はいいなあと思う、芯の強い、瞳の強さが見えるような娘さんでした。そしてやっぱりツンデレ女子(仲良し)の存在は外せない! と思うのでした。女の子の仲良しいいな(にやにや)
最初に読んだ印象に『狂気と憎悪というには愛情の部分が強い』と書いたのですが、こうしてもう一度めくってみても同じように思いました。なんかあらゆる方向に矢印が散ってしまっていて、だからこういうことが起こってしまって……という感じ。だから非常に色んなことが切なかった。
ラストはびっくりしてしまったのですが、色々考えてみると梅の木があるよなあと思ったので、幻視という可能性も否定できないわけですよね。彼女は多分非常に意思の力が強かったと思うし。いや、そりゃ逢えたのならそれは幸せでいいんですが! でも行間を食い入るように読むのが本読みの宿命なのですよ!
そして表紙の赤が非常に綺麗だ。赤い本ってあんまり見ない気がする。

豪華な写真集や分厚い雑誌に出てくるようなインテリアに、いったい僕らのうちの何人が暮らしているのだろう。でも小さい部屋にごちゃごちゃと気持ち良く暮らしている人間ならたくさん知っている。マスコミが垂れ流す美しき日本空間のイメージで、なにも知らない外国人を騙すのはもうやめにしよう。僕らが実際に住み、生活する本当の「トウキョウ・スタイル」はこんなものだ!話題の名著文庫化!(裏表紙より)
1990年くらいの日本の、アパートやマンションや寮などの普通の人々が暮らしている部屋の写真集。非常に面白かったです。みんな結構雑然と暮らしているものだよなあ!
綺麗なお屋敷の写真集も非常に楽しいのですが、こういうごったごたの、何が置いてあるか家主にしか分からない部屋というのも大変面白いです。
書斎の部屋の写真があったのですが、本棚写真集があればいいのにと思いました。あと大学の寮の写真集とか。この本に掲載されていた芸術大学の寮の写真が非常にカオスで面白かったです。

「まずい時にまずいところに」いたために、代々、イェルナッツ家の人々は辛酸をなめてきた。スタンリー(イェルナッツ四世)は、無実の罪で、砂漠の真ん中の少年院にぶちこまれ、残酷な女所長の命令で、くる日もくる日も不毛の地に〈穴〉を掘る毎日。
ある日、ついにスタンリーはどこかにあるかもしれないイェルナッツ家の〈約束の地〉をめざして、決死の脱出を図るのだった。
五代にわたる不運をみごと大逆転する少年たちの友情とプライドをかけた冒険物語!
鳥肌ものの素晴らしい小説だった! なんていうラストの怒濤の展開!
過去と現在が入り交じって語られて、どこがどこに繋がるのかというのを楽しみにしていたのに、こういうラストが来るなんて、笑いながら目を爛々と輝かせて読んでしまった(怖い)
少年たちの中で、弱気なスタンリーが次第に強くなっていくところというのも素晴らしいけれど、何のために穴を掘っていたのかというのが分かるところがすごい。不毛の地に繰り返される穴掘り、という生産性のない行為に、主人公のスタンリーが見つけるものというのが感動するのかも。
児童書っぽいこともあるので、読みやすくてオススメです。是非読んでもらいたい!

「ぬかるなよ、清明の孫」「孫、言うなっ!」
時は平安。13歳の昌浩は、稀代の陰陽師・安倍晴明の末の孫。
資質は素晴らしいのだが、まだまだ半人前。よき(?)相棒の、物の怪(愛称もっくん)にからかわれながら、修行に励む日々である。そんな中、内裏が炎上するという騒ぎが起き、昌浩はもっくんと共に独自の調査を開始するが……。
おちこぼれ陰陽師は都を救えるか!? 新説・陰陽師物語登場!!(裏表紙より)
とても元気な印象の小説でした。少年陰陽師の存在は知っていたのですが、今になるまでまったく手をつけたことがありませんでした。なんでだろう。
マスコットキャラというのがどうも苦手なので、私の視点はがんばる昌浩に向けられ続けてました。じいさまいいキャラ! しかし最後持っていかれたのがちょっと残念。昌浩がんばれ! もっとかっこいいところが見たい!
少年陰陽師と銘打っているだけあって、主人公の少年ばかりに焦点が当たるのですが、私は彰子が気になります。彼女はどこにいった、かわいい女の子は!?
私は少年少女を探し過ぎだと思うので、大人しく元気な昌浩を眺めておくことにします。
オススメしてくださったのに読むのが遅くなってすみません。ありがとうございました!