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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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ブラック・ベルベット―緑を継ぐ者と海へ還る少女 (コバルト文庫)
大都市ファウラーで、三人の少女は新しい生活をはじめた。キリはハル神父に弟子入りして武術の鍛錬に励み、ロキシーは半分獣である自分をコントロールするために、祈りの日々を送っていた。ただひとり、人質としてランディ商会のジョンに軟禁されていたファナもようやく解放されることになり、喜ぶキリだったが、同時にジョンから残酷な現実をつきつけられ、ある決断を迫られていた——。(折り返しより)

なんだか、キリが最終的に独りになりそうな気配がする、というのが読んだ感想。ファナとジョンの間の殺伐としているけど優しい気配が、とても悲しかった。
しかし展開速すぎないだろうか! 今のところここまでしか持ってないので、聖山に行ったらどうなってしまうのかかなり気になる。キリの幼女疑惑も、周囲が何を考えているのかという疑問もあるし。気になる。
三大賞金首。一色を有する大主教と聖女。揃うとかっこいいだろうなあああとごろごろする。
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雄飛の花嫁 涙珠流転
 綏国公主・珠枝は、かつては、先王の寵子として幸せに暮らしていた。しかし、父王亡きいま、美しく愛らしい異母妹・仙華の陰で心細い日々を送る。
 そんななか、大陸では巴飛鷹率いる閃国が勢力を広げ、綏との間で緊張を高めていた。そして、和睦のため、珠枝が閃の王妃として差し出されることに!
 必ず迎えに行く——幼い日から慕い続ける異母兄の言葉を神事、見知らぬ国へ嫁ぐ珠枝を待つ運命は!?(裏表紙より)

すごくいい少女小説。政略結婚、年の差、戦争、戦場に赴く少女と傑物の王。すごくすごく美味しかった。
飛鷹がとても包容力があって素敵な人物。珠枝を大切にしているのがよく分かって悶えることしばしば。珠枝が髪を切る意味が面白くて新たな発見だった。表紙の飛鷹は珠枝の短い髪に指を絡めてるんだよなあああ(ごろごろ) 泣くという意味も表紙にも本編にも使われていて、とてもいいときめきでした。
仙華が、とてもかわいくて鬱陶しい人物で、空気読めない発言をする度に「あああ……」となった。燿桂が最後に母と決別したのは良かったけれど遅かったんだなあと思うとこちらも「あああ……」だった。
とてもとてもときめきでした。ごちそうさまでした! これ一冊完結のシリーズなんだよな。よし、揃えよう!
ブラック・ベルベット―病める真珠が愛した司祭 (コバルト文庫)
神聖帝国ディートニア転覆のため、ハル神父を探すキリ。ロキシー、ファナとともに東の大都市ファウラーへ渡った彼女だが、ハルの友人で、案内役を頼むはずのグラハムが消息を絶ってしまう。欲望うずまく街ファウラーの洗礼を浴びながらも、わずかな手がかりをもとにグラハムの行方を追うキリは、やがて水からが身につけている聖武具『黒真珠』に導かれるようにハルのもとに辿り着くが——。(折り返しより)

ファウラーは中国なのかあという。この世界の主はユーラシア大陸なんだろうか。
今回は協力者探しがメイン。ハル神父が○○してたのは趣味だろうかにやにやと思いつつ(挿絵がすごく綺麗な人だった)、一番好きなのはシュトラールだったりします。金髪褐色肌の無愛想男で信心深いとか!
ものすんごい光と影が綺麗な映画になるだろうなあと思いながらこの巻を読んでいた。大都市とか賭場とか派手なアクション! そして美少女や美女。いいなあ。これ好き。きらきらしてる。一巻は荒野で、乱入者と戦いみたいな感じでこっちも好きだけど!
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)
小鳩君と小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎をを解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか? 新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。(裏表紙より)

面白かった。創元推理文庫は優しいミステリーが読めるなあといつも思う。小市民を目指し慎ましく生きようとする少年少女、でもうまくいかなくて、というのがあらすじで、学生が向かうことの出来る有り触れた謎を解き明かしていくのがとてもいい。
しかしこの一冊を通して、最後に解き明かされる謎、これはもっと書き込めるのではないかなあと思ったけれど、一市民が立ち向かい、行うことができるのはこの書き方(本のスタイル)のようなものなのかなあと思うと納得。そういうのもミステリーとしてとても素敵だなあと思った! しかし小山内さんに何があったんだろう。
小鳩君はちょっと背が小さい少年っぽい顔で、小山内さんは少し明るいロング髪の普通体型の子かなあとか。健吾は黒髪短髪の大きめの少年ですっごく姿勢がいいと思う。妄想妄想。
きのうの世界
水無月橋と呼ばれる橋がある、昨今流行のレトロな街並を維持するM町に殺人事件があった。市川吾郎というその男は不思議な力を持っていたらしい。偽名を使って、彼はM町で何を調べていたのか。そしてM町に立つ、二つの塔の意味は?

面白かった! 淡々と進むひとつの町の面を、様々な人の視点で見ていく。殺人事件がメインのミステリーというより、町というかひとつの「世界」を描きたかったのかなあと。
話は「きのう」という過去を探っていくもので、それが現在に進んで、未来への一歩を踏み出したのは、あの水柱のシーンじゃないのかなあ。過去から現在から未来へというのが私の考えたこの作品のテーマ。
締め方が恩田さんらしくて好きだなあと思った。偶然と、世界と、人、みたいな。
私の男
腐野花は結婚する。しかし相手は、私の男ではない。養父であり男である淳吾は、傘を傾け雨から花を守る。ずっと守ってきた。結婚し、新婚旅行から戻ってきた花は、以前の部屋から淳吾が消えてしまったことを知る。罪の象徴であった、あの死体を片付けて。

これ構成がすごくすごーく好きだ。設定が暗く澱んでいて、あんまり読み進める気がしなかったのだけれど、読んでいくうちに考えていけばいくほどすごく面白かった。
全6章。視点を変えて次第に過去へ遡っていくのが構成。1章は謎を残したまま終わり、2章から少しずつ明らかになっていく愛情と罪と繋がり。純度を増していく一方で、読み終わった章の歪みを強調していく、というのがとても感動した。あくまで私感だけど、すごいこれ。
第4章の「花と、あたらしいカメラ」の、叫ぶシーンがすごく頭にある。どんより曇った、雲の低い風の強い空の下で、濁った暗い海の前に立っているぼろぼろの花と、親父さん、というイメージが。
決して希望のある未来は迎えないのに、ラストの希望を抱いた花の言葉が苦しい。
僕僕先生
李隆基の大唐帝国、二度目の全盛期の時代。官僚の父を持つ裕福な青年王弁は、人から見れば自堕落と言えるほど毎日気ままに暮らしていた。ある日里山に住まうという仙人の元へ無理矢理訪れさせられることとなった王弁は、そこで十代半ばの美しい少女に出会う。彼女こそ、強い力を持つ仙人僕僕だった。

一人の青年が様々なものを見ながら緩やかに成長していく。なんだかとてもアニメ映画で見たいなあと思った。
現実の側面である帝国の政策と、夢のようで非現実な僕僕先生と王弁の旅。これは人から神仙から離れていくことも描いているのかなあ。なんだか女の子に振り回されている青年の葛藤みたいな微笑ましいところが随所にあって、終わりはあっさりしそうだなと思ったのに、現実に引き裂かれる辺りはときめいてしまった。
続きがあるそうなので、どんな話になっているんだろうなあと思う。
鹿男あをによし
ある失敗で研究室の空気が険悪になっていた頃、担当教授から奈良の高校に非常勤講師として送り出されることとなったおれ。慣れぬ教師生活が始まったところ、喋る鹿に話しかけられる。”使い番”から”運び番”へ受け渡される神宝とは。これは神経衰弱と言い続けられるおれが作り出した幻覚なのか?

日常の中の非日常が楽しい話だった。ぽかーんと突き抜けるようなすっとぼけ具合がいい。かなり重大な事件が起こっているのに、一歩一歩生きているというか、すごくマイペースな印象がした。「先生」の奮闘話なのか青春なのか判別できないけれど、生きにくい人がもう一度熱血するという感じなのだろうか。人を渾名で呼んだり、ラストの、マドンナへエールを送る辺りは青春だなーと思った。
人物の性格が生き生きしていて気持ちいいなあと思う。人間はもちろん、鹿や鼠も。うっかり鹿、鼠、狐の長い時が経っても抱き続けている思いにときめいた。
精霊の木
環境破壊で地球に住めなくなった人類は、さまざまな星へ移住した。
少年ヤマノシンの住むナイラ星も人類が移り住んでから二百年をむかえようとしていた。
ところが、シンの従妹リシアが突然、滅びたと伝えられるナイラ星の民「ロシュナール」の〈時の夢見師〉の力にめざめてしまう。

SFファンタジー。上橋さんのよく描かれる、淘汰される種族と征服者の現状がストレートに描かれている感じ。少年少女の冒険譚な要素もあり、少年少女の出生の秘密や、大人たちの思惑なんかもいっぱいに詰め込まれてる。時間とか、大人とか、思い通りにならない現実があって、それを越えて道を踏みしめて歩いていくシンとリシアがいいなあと思った。
ひとつのシーンを見たために、物語が姿を現すことってあるよね! と上橋さんのあとがきを読んでいつも思う。
2008年読んだ本は161冊。多分(というのは感想文ファイルを検索にかけて出た数字だから)。今年の途中から一ヶ月まとめを書かないようになってしまっていたので、数えるのが面倒なことになってしまいました。このブログ、移行した記事が何故か月エントリーの数に反映されていないというおかしな自体になっていますが気にしない!
今年は何が面白かったかなーと考えたのですが、多分今年読んだというのを上げておきます。

新版 クラウド・コレクター (ちくま文庫)
クラフト・エヴィング商會「クラウド・コレクター[手帖版]」 →【感想

東京バンドワゴン (集英社文庫)
小路幸也「東京バンドワゴン」 →【感想

檸檬のころ (幻冬舎文庫)
豊島ミホ「檸檬のころ」 →【感想

オペラ・アウローラ―君が見る暁の火 (角川ビーンズ文庫)
栗原ちひろ「オペラ・アウローラ」 →【感想

wonder wonderful 上wonder wonderful 下
河上朔「wonder wonderful」 →【感想

クラフト・エヴィング読んだの今年だったかー。wwとオペラは妹もハマってくれた小説でした。改めてオススメだと仰っていた方々にお礼を申し上げます。オペラは妹と「ごろごろ小説だよね!」ということで意見の一致を見ました。先生から本をお借りしたり、オススメを読みまくったりの一年でした。
今年始めた(移動した)このブログは、基本を「好きだったところを書く」にしてあるのと、読書記録ということでつけています。純粋な感想を求めていらっしゃる方には優しくないかもしれませんが、「参考にしてますよ」と仰っていただけたのでこの方向で進めることにしました。週に一回程度の更新ですが、どうぞ2009年もよろしくお願いいたしますー。
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Author:月子
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