読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
文筆業を営む著者は、仕事柄怪談を収集していたことがある。そしていまも読者から不思議な話が届くのだ。ある日読者の一人から、畳の上を何かが擦る音がするという怪異を聞く。それは以前別の読者から届いた怪異の話と同じであったことから、著者はこの出来事を深く調べていくようになるのだが……。
実話っぽすぎる怪談。実在の人の名前(平山夢明、福澤徹三)が出てくるし、冒頭から語り手となる「私」の経歴が小野不由美さんと同じものなので、うわー! となりながら読みました。
怪異は感染するという恐怖感を描きつつも、調査したり、怪談話の歴史を辿ったり、口頭で伝えられていくそれらがどのようなものを根源としているのか、という研究めいた部分が特に面白かったです。ああ、怪談にはこういう理屈があるのねという。ただ「穢れ」が感染していくことの原因、それらが起こる理由はまったくわからないままなのが怖い。どんなに考えても、考えが及ばない何かが起こっているのが。
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