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梨園の娘 (角川文庫)
梨園の御曹司にして絶世の美男、藤村霞右衛門に男女の双子が生まれた。兄の桂は跡継ぎとして、妹の葵も父に溺愛されて天真爛漫に育った。が、真に父の才を受け継いだのは、皮肉にも娘の葵の方だった。女は歌舞伎役者にはなれない——ジレンマに身悶えながら女優への道を模索する葵。しかし彼女の前には、我が子を愛するがゆえに、その夢を全力で潰そうと立ちはだかる父の姿が……。芸の鬼に取り憑かれた、梨園の父娘ふたり。その愛と葛藤の物語!(裏表紙より)

先んじて父親世代の『美男の血』という作品が出ていることを後に知った。
梨園に生まれた娘がどのようにして女優への道を踏み出すかという作品なんですが……まーほんっと父親たちがいやらしくて! これでもかこれでもか! と伝手と権力を全部使って葵の夢を断とうとするので後半腹が立ちすぎて心が折れそう(=読むのを止めよう)かと思いました。ここまでして全力で潰しに来る意味があんまりよくわからないままのように思えたのですが(芸能界が地獄のようだからいうのは、それなりに想像はできるんですが)『美男の血』の方で語られているのかなあ。
その潰し方がえげつないので、ちょっとだけカタルシスが足りない。双子の兄・桂もどうしようもないまま放置されてしまったので可哀想な印象のまま。非常に「悔しい! 頑張れ!」という気持ちで読んだんですが、その後がもう少し知りたいなあと思った作品でした。
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