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廃王国の六使徒 (f‐Clan文庫)
世界中の呪いが集まる街で生まれ育ちながら「無能」なアレシュは、絶世の美貌と父の遺産である魔香水を駆使して、美と恋を謳歌していた。だが、呪われた街を浄化しようと、神の寵愛深い司教が乗り込んでくる。一癖も二癖もある知人——自称兄貴分な下僕、愛玩中毒な魔女、葬儀屋の首領、魔界の住人であるメイドの少女——と共に、アレシュは街を守る「深淵の使徒」を結成し……。(裏表紙より)

面白かった! ああもう台詞回しが好きすぎる!
世界中の呪いが集まり魔界の住人が存在したりもする異端の街での物語。悪は美、悪は華麗、というようなお話で、人が傷ついたり死んだりもするのですがそれがまた香水のようにうっとりと香る感じで、とてもゴスゴスなお話でした。お話の中に黒い色が含まれていて、それがきらきらと光って見える。
百塔街の世界は、アレシュにとてもふさわしい世界なように思います。私たちの世界での、子どもたちが駆け回る路地の、ちょっと覗いた暗がりに広がる、闇に包まれた不気味で不吉で、でも心躍る世界。実際はそれは大人たちに秘密の匂いなんでしょうが、百塔街はそれがぎゅっと詰まっていて、楽しい悪趣味と美の世界だな。
その世界で、栗原さんの描く「愛」があるわけで! アレシュが気付くところは、やっぱりいいな! 愛というか仲間というか、そういうものの存在があるということは生きていくのが楽しいと思うので、「深淵の使徒」がアレシュたちにとって楽しみみたいなものになるといいな。
全体的にダメ人間ばっかりでそれがまた愛おしいです。カルラさん好き! ルドヴィークさん好き! 綺麗なおねえさんとかっこいいおじさまが大好物です。美少年アレシュと愛すべきおばかミラン、可能性を秘める幼女ハナも大変おいしいのですが、やっぱりおねえさんとおじさまが好きだー!! クレメンテも好き! すごく意外な話が始まったのでびっくりしたのですが、しかし……最後には切なくて、じわりとする話でした。
面白かった!
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