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女三の宮の降嫁により、紫の上は源氏との愛にも世の中にも諦念を持つようになりました。そして、ひとつの密通事件が物語の様相を変えていきます。不義の子を抱きながら、源氏は晩年になって巡ってきた宿命を思うのでした。(カバー折り返しより)
紫の上を中心に源氏物語を追う三巻目、最終巻。いい歳になった光君の周りでは、結婚する子どもたちを中心になっていく流れになりつつある……という、源氏の君の最後の話です。
人が死んだり尼になったりすると惜しむ光君はやっぱり嫌いだ! と思いながらも、彼の才能や栄華を讃える向きが、この巻になるとがらっと変わって、深い諦めや悲しみに満ちてくるのがすごい。これは源氏の君というヒーローを讃えるものなんだと思っていた自分が間違っていた。(荻原さんのあとがきにもありましたが)だめな人間を観察するための物語だったのか!
源氏物語というと永遠のように思えていたのですが、主要な登場人物も死んでしまうし、移り変わるのだなあと深く感じ入った三巻でした。紫の上が亡くなるなんて思ってもみなかったよ……! そうして暮らしていきました、で終わるのだと思っていた。そして、ラストが憎い。なんて上手いんだろう! と感心しました。
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