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帰らじの宴 華族探偵と書生助手 (講談社X文庫)
 書生として働きながら京都の名門・三高に通いながら庄野隼人は、主の中村重吉翁のお供で、京都でも指折りの名家・大谷家の「桜を見る会」に参加する。それは大谷家のふたりの令嬢のうちのひとり、桜子の婚約披露の場でもあった。だが、めでたく華やぐはずの会は悲劇の始まりだった——。
 招待客としてその場に居合わせた伯爵家御曹司で人気作家・小須賀光とともに庄野は悲劇の真相を探るのだが!?(裏表紙より)

華族で小説家の小須賀の付き人めいた立ち位置になってしまった、三高生の庄野。大谷家のご令嬢の婚約披露が行われる桜を見る会で、事件が発生。婚約するはずの相手側、庄野の学校の教師でもあった辰井が死んだのだ。動機は? 犯人は? 一方、時代は思想がぶつかり合う世で……。
「いつから思想が踏み絵みたいになってしまったんだろう」という台詞が沁みました。本来なら違いはあっても一緒に生きることができるはずなのに、と登場人物が言うんですよね。作中の時代が時代だからというのもあるけれど、今の時代もそうだよなあ……なんてことをぼんやり思う。
事件そのものの謎はあっさり目ですが、そこに絡んだ人々の思いが強いのがこのシリーズの魅力だなあと感じました。
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Author:月子
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