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冬の巨人 (富士見L文庫)
 千年にわたり永遠の雪原をただ歩き続ける異形の巨人ミール。人間の世界のすべては、巨人の背の上に作り上げられた都市だった。ミールとはなんなのか、どこへ向かうのか、知る者はいない。
 ミールの研究を続ける“変人教授”ディエーニンの助手オーリャは、ミールの外——すなわち人の住めぬ雪原でひとりの少女を拾う。「外」からやってきた彼女との出会いは、終末へと向かう世界に何をもたらすのか。そして巨人の歩みの果てに待つ光景とは……。
 ファンタジー史に残る傑作、著者全面加筆のうえ復刊!(裏表紙より)

雪に閉ざされた世界。巨人の背中に街を作り、暮らす人々。世界の名前=巨人というところから、もうツボをグイグイ押されて「……好き!」ってなりました。お話が短いなんて気付かないくらい、終末と再生のための要素がいっぱいに詰まっていました。
貧富の差が存在し、ひとり、貧しい暮らしをしながらも、しなやかな考え方を持っているオーリャを取り囲むのは、いつ迫害されるか分からない教授たち。富める者たち。世界が終わることを訴える宗教。
こういった、どうしようもない『終わり』がすぐそばにある感じと、オーリャの素直さや強さが、すごくいいんですよ! 世界の終わりは必ず来るけれど、そこに希望を持った人がいる、とわかる世界が!
短かったけれど、面白かった。正統派ファンタジーはいい……。
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