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小さいおうち (文春文庫)
昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに”恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて——。晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。著者と船曳由美の対談を巻末収録。(裏表紙より)

昭和初期、女中として少女の頃から奉公してきたタキが、その奥様と家について語るもの。目次のデザイン(私が読んだのは文庫版ですが)がちょっと「おや?」と思うところがあったので、もしかしたらと思っていたんですが、最終章はやっぱり「えーっ!」と驚きました。
家を愛する人の執着は、どうしてこうも重苦しいのにいとおしいのかなあ。家と、そこに住む主人を心から慕う。それは、年老いた時に気難しいと呼ばれるくらいに、信仰みたいなものになっている。途中で挟まる、甥の孫の健史にイライラしていたんですが、最後まで読むとそれがくるっと変わる感覚が、怖くて面白かった。
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