読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
オンブリア——それは世界でいちばん古く、豊かで、美しい都。そこはまた、現実と影のふたつの世界が重なる街。オンブリアの大公ロイス・グリーヴの愛妾リディアは、大公の死とともに、ロイスの大伯母で宮廷を我が物にしようとたくらむドミナ・パールにより宮殿から追いやられる。だがそれはふたつの都を揺るがす、怖るべき陰謀の幕開けにすぎなかった……2003年度世界幻想文学大賞に輝くマキリップの傑作ファンタジイ!(裏表紙より)
亡くなった大公の愛妾リディアが、宮廷を追い出されるところから物語は始まる。ドミナ・パール(黒真珠)と呼ばれる老獪な女によって宮廷が支配されていく中、亡くなった大公の妹の子ながら父親が不明の父なし子と揶揄されるデュコンや、地下世界影のオンブリアに暮らす魔女フェイ、その蝋人形のマグが、光と影の世界の変革の現場に居合わせることに。
美しいと言われながらも薄暗く古びたオンブリア。ごちゃごちゃとして判然としない魔法が潜む影のオンブリア。表裏になった世界を行き来する者たちが最後に目にするものは、混然としていた世界の縁が綺麗に整理された新しい世界……ということでいいのかな。光は光に。影は影に。繋がってはいるけれど影が光の世界を支配することはない、という感じ。
最後に変化した人たちの姿が見られるのは楽しいですね。リディアが生き生きとしているのが嬉しかったですし、父親に笑顔で迎え入れられたのもじんわりと感動しました。
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