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夜行観覧車 (双葉文庫)
父親が被害者で、母親が加害者——。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。(裏表紙より)

これはいやーな話だなあああ。『白雪姫殺人事件』に通じるような、他人の暴走みたいなものも感じるし、もっと当事者に近いことからいやらしい野次馬根性も見える。なのに他人事のようで、劇的に変わる人たちはいない。
「何がきっかけで家族が家族を殺すかわからない」というリアリティが怖い。何かがひとつ違うことで、人は簡単に家族を殺してしまうのかもしれない。真実と自分の心を知っているのは本人だけ。他人に語る資格はない。
殺人が起きた高橋家。その向かいの壊れ始めた遠藤家。スピーカー的な小島さと子という大まかな三つの視点なのですが、もうそれぞれが本当にいや! 理想的に見えて歪んでいる息苦しい高橋家も、全然ばらばらな方向を向いて喚き散らしているような感じの遠藤家も、他人の不幸は蜜の味みたいな小島さと子も、本当に全部いやだ……。それを強調するような小道具がいやな感じを増してすごい(褒め言葉)
いやだいやだと思いながら一気に読んでしまった。すごかった。
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Author:月子
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