読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

黒十字騎士団団長ヴィンセント王子との結婚を控えていた田舎貴族の娘フィーリア。彼女は、ヴィンセントが黒十字騎士団を率いて友好国の危機に旅立った直後、何者かに攫われてしまった! 遠い異国へ連れていかれたフィーリアは、ヴィンセントの助けが期待できない状況に陥り——。こんなことになって、ヴィンセントと無事に結婚なんてできるの!? 今度ばかりは絶体絶命? 溺愛ラブコメディ感動のクライマックス!!(裏表紙より)
「絶対あいつには頼らない!」と王都に上ってきた田舎貴族のたくましい令嬢フィーリア。「通った道はぺんぺん草も生えない」と言われる凶悪な騎士団を率いる第三王子ヴィンセント。素直になれないながらもお互いに思い合う二人が、ついに結婚! おめでとうございまーす!
いやーフィーリアはともかくヴィンセントはだいぶと家族と距離があるのでどうなるかと思いましたが、まさかの国盗り(違う)で終わるとは! いやーでもヴィンセントのカリスマ性と黒十字騎士団の面々がいれば、国は安泰かな……。父王も、王位はあげられないけれどちゃんと居場所を持てたヴィンセントに安心してたりして、なんて思いました。
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親友の自殺を目撃したことがあるという転校生の告白を、ある種の自慢のように感じた由紀は、自分なら死体ではなく、人が死ぬ瞬間を見てみたいと思った。自殺を考えたことのある敦子は、死体を見たら死を悟ることができ、強い自分になれるのではないかと考える。ふたりとも相手には告げずに、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアに行く──死の瞬間に立ち合うために。高校2年の少女たちの衝撃的な夏休みを描く長編ミステリー。(裏表紙より)
田舎町の女子高生が「死」を知っているという優越感を目の当たりにしたことから、それぞれ老人ホームと小児科病棟へボランティアへ行く。死を見る、知る、そのための行動がやがて様々な人々を巻き込んで連鎖していく。
いいねいいね! こういう、誰と誰が関係者で、この人が実はこうでっていう楽しさがありました。しかしやっぱりイヤミスなので、最後までうわー……という感じで。あからさまに名字が出ないので仕掛けて来るとは思いましたが、面白かった。少女同士の友情なのかなんなのかよくわからない繋がりもロマンだった。

声優戦国時代を生き抜いてきた名優50人が語る「選ばれる」仕事術、そして「声で生きていく」道の厳しさ――。
創刊25周年を迎える『声優グランプリ』がお届けする、すべての声優ファン&声優志望者必読のバイブル!(カバー折り返しより)
2019年3月の本。雑誌「声優グランプリ」に掲載されたインタビューまとめで、二段組で細かい字が連なったインタビューが50人分。ものすごい読み応え。
こうして読んでいると、いまも第一線で活躍している声優さんたちはみんな先輩たちに導かれてきたんだなあということ。なんだかすごく「みんなで育てよう」という気持ちがあるように思えました。
プロフェッショナルって常に、自分に何ができるか、できないか。課題は何で、どんなことをできるようにしたいかってことを考えているな、ととても勉強になりました。気持ちが引き締まった。

クビを宣告されたプライドばかり高い圭輔、自身の夢と家族との間で葛藤する武、やりたいことが何もない超現実主義の心花……。そんな彼らが、ど田舎のスーパーなどで働きながら、共に野球をするはめに。目標はまさかの全国制覇!? はみ出し者の彼らは、人生の逆転ホームランを放つことができるのか。かっこ悪くて愛おしい、大人たちの感動物語。(Amazonより)
めちゃくちゃ面白かった。最後感極まっちゃった。
プロ野球という輝かしい舞台を思い、あるいは憎み、それでも嫌えない、野球を愛した人たちが社会人野球で再生する。町おこしの一環として田舎にやってきた寄せ集めの集団が各々の物語を持って優勝を目指す。諦められない、俺はここで終わりなのか? という問いに対する答えがタイトル「ゲームセットにはまだ早い」なんだ、と思うと最後泣けて泣けてしょうがなかった。
試合の描写もわかりやすくて、手に汗握る。こういうドラマを野球好きの人たちは愛しているんだろうな、と思わせる熱を感じました。

かつて木挽町という町があって、そこに曾祖父が営む鮨屋があった。一代で消えた幻の店を探すうち、日常と虚構、過去と現在がゆらゆらと絡み合いひとつになってゆく。少年時代のこと、出会った本や音楽のこと、東京という町のことなど、日々の暮らしによぎる記憶と希望を綴った、魅惑の吉田ワールド。新たな書き下ろしを加えて、待望の文庫化。解説 坪内祐三(裏表紙より)
半分くらいまでは何故か読みづらくてなかなか進まなかったんですが、後半からだいぶと現実の世界の話に近付いてきたからか読みやすくなった気がします。そんな感想が出てしまうほど、エッセイなのに、どことなく虚構の日記のような、とりとめのない話や空想、思索といったものが繰り返されていて、エッセイ? ノンフィクション? とちょっとジャンル分けに困るような一冊でした。

芸術大学を卒業して選んだ就職先は、介護職員。慣れない仕事の日々を絵日記に綴った、コミックエッセイ。
なんだか胸がじわーっとしてしまった。介護職は辛いし大変だってみんな言うけれど、それを選んで働く人たちの中には、この仕事が好きだ、楽しいって思える部分があって、その気持ちをすごく大事にしようっていう思いが詰まっているせいかもしれない。
施設で暮らしている人と職員って、過ごす時間が長くて、ものすごくパーソナルスペースに近付き合うというか、要介護の人たちは私的な部分に踏み込まれる関わり方をせざるを得ないんじゃないかと考えていて。そしてその人たちと関わる職員は細心の注意を払って仕事をする。だからお互いの距離感や接し方は硬くなって当たり前だと思うんです。
でも、同じところ、時間を過ごしている者同士、距離が縮まっているエピソードが集められているこの本が、とても嬉しくて、いいなあと微笑ましくなりました。そしてお年寄りたちの年の功、年長者だからこその気遣いや優しさがすごく伝わってきました。
もういない祖父母たちのことを思いました。もっと長く過ごしたかったなあ。

緊急事態宣言が発せられた日から感じたことを77人の筆者に綴ってもらった日記集。
医者、教師、販売員、漫画家、小説家、旅行会社社員、主婦。それはもう、日本を構成する様々な職業の人(だがそれも一部)が、コロナによって変わった世界、それでも変わらなう仕事と、抑えきれない怒りと悲しみ、苛立ち、希望や、ささやかな喜びといったものを綴っています。
感じること、見えるもの、立つ場所が違うからこそそれぞれ違っていて、とても面白く、本自体も分厚いし、込められている感情の厚みに、手がずしっと重くなりました。政府や官僚に怒っている人が多く目についたのは、多分私がずっとあのときのことについて苛立ったままモヤモヤし続けているせいなんだろうな……。
リアルの声を集めたと感じた良い本だと思いました。こうして残されたことに意味があると信じたい。

対吸血鬼戦闘用絡繰騎士《白檀式》
――ヘルヴァイツ公国が誇る天才技師・白檀博士の“五姉弟”は、欧州を吸血鬼軍の侵略から救う英雄となる……はずだった。
十年ぶりに目覚めた“失敗作”、第陸号・水無月は想定外の戦後を前に愕然とする。
起こるはずのない暴走事故により、“虐殺オートマタ”として歴史に名を刻んだ五体の姉兄たち。
さらに大公と吸血鬼王による突然の和平を経て、公国は人間と吸血鬼が平等に暮らす世界で唯一の共和国へと変貌を遂げていた。
亡き博士の娘・カノン、吸血鬼王女・リタとの出会いを通じ、新たな“日常”を受け入れていく水無月だったが――。
オートマタの少年と二人の姫が織りなす、正義と反抗のバトル・ファンタジー起動!!(Amazonより)
「失敗作」として戦時中に強制停止された水無月。彼が目覚めたのは十年後、戦争が終わり、人間と吸血鬼が共存して暮らす希少国となったヘルヴァイツだった。しかも母である白檀博士は亡くなっており、彼女の娘で本来なら大公女であるはずが一般人として密かに暮らすカノンによって目覚めさせられていた。人間の営みを知らない水無月は、未だ吸血鬼を敵とみなし、戦えないことに苛立ちを募らせていたが……。
どこまでも鈍感で人の機微がわからないけれど、少しずつ学んで、大切なものを得て、自らの真実を知るオートマタの水無月と、一生懸命だけれどどこかずれている、でも決して境遇に負けることのない芯の強さを秘めたカノンを主軸に、敵対する勢力と戦うファンタジー。
謎は散りばめられているけれどこの一冊でも水無月の成長ぶりも見られるし、姉との戦闘や、学園生活なども垣間見れて、楽しかった。
いやしかし、タイトルめちゃくちゃかっこいいですね。特にサブタイトル、すごく世界観にあっているし、まさに「再起動」というお話だった。タイトルがいい本はいいものだ。