読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

仮面をかぶったまま仕事をこなし、<期待の逸材(ホープダイヤ)>と呼ばれていた涼子。
ある日ぷつんと切れてしまった糸に気づき退職してから、譲り受けた古民家で日がな趣味のアクセサリーづくりをして暮らしていた。
そんな家に店子として住むことになったのは、宝飾職人の「希美」さん。
趣味も合うと楽しみにしていた涼子だったが、やってきたのは優しげな雰囲気のきれいな顔をした男性で――?
心を潤す、あたたかな再生の物語。(Amazonより)
希美さんめっっっっっっっっっっっっちゃくちゃいい男だな!!!!!!
いろいろあって心が折れて自宅でアクセサリーを作りながら、先々のことを考えて店子を入れることにしたス涼子。ジュエリーデザイナーと聞いて是非とも親しくなりたいという下心で迎えた「希美さん」は男性で、というところから始まる同居もの。
涼子の生い立ちが複雑で、そこから派生してくる事件が結構ずしっとくるんですが、希美さんですよ。彼のなんとまあスマートで優しいこと! これは好きになるよなあ。大事なときにもちゃんと助けてくれるし。行動力があるし。
二人の距離を測っている感がもうじれじれで、涼子の素直になれないところにはやきもきしたんですが、希美さんは本当に最後までいい男だった。なんて素晴らしいよくできた人なんだろう。きらきらしたものを大事にしたがる大人二人のお話、とても好みでした。面白かったです。
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第二王子の婚約者戦争に挑んだ、気が強くまっすぐな性格の伯爵令嬢カミラ。しかし王子は別の令嬢を選び恋に破れたあげく、婚約者の手によって悪役に仕立て上げられた。国外追放は免れたカミラだが、その罰として醜く愚鈍で『沼地のヒキガエル』と噂される辺境の領主・アロイスと結婚させられる羽目になり――!?
小説家になろう発!不器用で感情豊かな悪役ヒロインが奮闘する、大人気悪役令嬢ストーリー、書き下ろしたっぷりで待望の書籍化!(Amazonより)
「悪役令嬢」が掲げられているけれど概念としてのもの=王子様に執着するあまり立ち回りが下手で彼を横取りされてついには追放されるご令嬢、が追放先の公爵を痩せさせると言いながら不器用ながらも悪評と戦っていくお話。
カミラの性格があんまり見ない、ヘイトを貯めるようなものだったのできついかなあと思ったんですが、最後まで筋を通しているところがめちゃくちゃかっこよくて惚れました。その分、孤軍奮闘している感じと、味方になりうるアロイスがさほど距離を縮めてくれなかったことが物足りなかったです。こんだけ頑張ってるいい女に誰か味方してくれよー。報われてほしいなあ。

調停者の一族の青年・リュザールと、不遇な羊飼いの少女アユ。
草原で出会いを果たした二人はそのまま結婚することになり、
思いがけない新婚生活が始まった。
働き者のアユは、ユルドゥスの温かい人々との遊牧暮らしのなかで
生きる希望を取り戻し、リュザールとの絆も深まっていく。
初夏のある日、二人は小さな隊商と行動を共にしていたところ、
侵略者一族の襲撃に遭う。
リュザールは自らの血によって精霊の力を揮い侵略者を撃退するものの、
その代償は大きく、倒れ伏してしまい……。(Amazonより)
確実に距離を縮めていた二人だったが、兄を訪ねたら侵略者一族と遭遇したり、街に買い物に出かけたらアユの肉親に遭遇してしまうなど、日常の中の大きな事件に巻き込まれながらも確かに絆を結ぶ。
アユが幸せになれてよかったなあ。ここまで虐げられながらもいろんな才能や力に恵まれている子は特別なんだろうと思っていたら、番外編で明かされていました。本編でやればいいのに……。本人に明かすつもりはないのかな。
周りの人たちにも幸せが巡っているようで何よりでした。

風の精霊の加護を受ける“調停者”一族「ユルドゥス」の青年・リュザールは、
都からの帰路、羊飼いの少女・アユと出会う。
ワケありな彼女を見かね、一族の遊牧地に連れ帰ると、
なんとそのまま二人は結婚することとなり、思いがけない新婚生活がスタート。
乳製品を作り、絨毯を織り、料理に洗濯…大忙しでも賑やかな遊牧生活。
故郷では虐げられ生きてきたアユは、ユルドゥスの文化に戸惑いながらも、
リュザールとの暮らしのなかで、次第に生きる希望を見出していく光を取り戻していく--。(Amazonより)
親族に売られた少女アユを連れ帰った調停者の一族の青年リュザール。なし崩しに結婚することになったけれど、よく働き、料理などの家事をまめまめしくこなす彼女に次第に惹かれていく。アユもまた虐げられていた己をリュザールとの暮らしで癒していく。
初々しい二人の日々。かわいいなあ。アユがすごい才能の持ち主というのが気持ちいいですね。遊牧民の生活は本当にずっと働いているもので、そこで出てくる料理の美味しそうなこと。

オンラインゲーム「ファイナルファンタジーXIV」を遊ぶアキオは、仕事一筋だった父親が突然退職したと聞き、その考えを知ることはできないかと交流を試みるべくゲームを勧めることにした。父・暁はその勧めでFFXIVを始め、アキオは自身のキャラクターを通じ、息子であることを隠してともに父と冒険することになる。
ブログ、ドラマは視聴済みです。お父さんが光の戦士=光のお父さんというのがめちゃくちゃツボに入って好きです。
映画はよりドラマ的に描いていて、かなり脚色があると思いますがわかりやすく感動的になっていると思います。父と対話ができたかという結果がきっちり書かれているのはとてもよかったです。現実はこうもいかないというのも合わせて面白かったです。家族の絆を取り戻し、愛する人も手に入れたという、まさに主人公そのものになれたエオルゼアという場所。FF14はいいよ! というのを全力で宣伝してくれるいい映画だと思いました。面白かったです。

ロンドン首都警察に勤めるニコラスは超エリート警官だったが、その活躍ぶりを疎まれて田舎のサンドフォードに左遷されてしまう。犯罪がほとんど起こらない町でいい加減な仲間たちの囲まれて浮きまくるニコラスだったが、あることをきっかけにこの町がおかしいことに気がついて……。
楽しいお馬鹿映画。四角四面の警察官とちょっとお馬鹿な面々のドタバタ劇。仲間だったり友情だったり、こうなってほしいなあという展開を面白く描いてくれて笑えたしすかっとしました。笑わせてくれる安心感っていいものだなあ。グロいシーンも含めてこれがやりたかったんだなあという全力さも見えて、他の作品も俄然見たくなった。
ダニーがいい相棒になる過程ににっこにこしてしまったし、そういう善良さが物語の重要なところを握るのがいいな。
面白かったです。

隻眼のクボは三味線を弾きながら折り紙に命を与える不思議な力を持っていた。母であるサリアツは意識がはっきりしているときとそうでないときがあり、ときどき明朗に父ハンゾウの物語を語ってくれる。母の具合がよくないこともあって父を恋しく思うクボは、祭りの日、村人たちに混じって死者に呼びかけるが、母との約束である日没までに帰宅することができず、自身の右目を狙う闇の姉妹たちと遭遇して……。
「リメンバー・ミー」と混同していた。弦楽器を弾きますが三味線です。和風です。折り紙です。
孤独に耐えながら生きる少年がすべてを失い、旅に出て、失ったものたちとしっかり別れを告げる。成長物語としての王道を行きつつ、しっかり戦闘シーンもある。また折り紙の動きがいいんだよなあ。魔法って感じがする。
冒頭の母親の設定が珍しくて、驚きつつも結構辛かったです。それから不在になる流れと、きちんと別れられるところが物語のいいところだなと思いました。
いやでも月の帝の処遇はどうなんだろう。憎まれるよりは許される方がいいけれど、勧善懲悪的ではなく愛を持って許される方が尊いという価値観でああいう描写だったのかな。

見つけたよ、僕らの居場所を。カラマツの葉が金の雨のように降り注ぐ地に、それはある。なんだか風変わりな才能を持て余してる僕らを、特別能力期待生として受け入れ伸ばしてくれる場所、それが寄宿舎水光舎。不安で、自信がなくて、何者にもなれないのじゃないかと怯えるいくつもの夜を越えて、僕らはここで自分というものを手に入れられるのだろうか? 青春小説の新たな収穫!(裏表紙より)
いい内容紹介文だなあ。居場所を探し、何者になれないかと怯える僕らの物語。春夏秋冬、四つの短編。主人公はそれぞれ別ですが、不思議系の異能か大人顔負けの技術力を持っている少年少女たちの、季節の一つだけを過ごす特別な学校での出来事が綴られている。成長物語だったり恋愛だったり謎解きだったり冒険だったり。それぞれ違っていて面白かったですが、「サマー・スクール」の女子の結託が読んでいてわくわくしてしまいました。お話そのものは少し悲しくもあるんですが、特別な場所で仲間同士協力し合うというのはやっぱり楽しいな。

恵まれない生い立ちから恋愛詐欺師となった蓮は、恵まれすぎている男たちの金を巻き上げることに、なんの罪悪感もなかった。次のカモにと狙ったのは、総合病院の長男である医者の加賀谷。呆気なく騙され蓮に夢中になる加賀谷を、内心馬鹿にしていた。なのに——生真面目で真摯な愛情、穏やかな逢瀬。加賀谷と過ごす優しい時間に、知ることのなかった感情が湧き起こるが……。(裏表紙より)
本屋大賞を受賞されたとのことで、まずは過去作品を読んでみようと手に取りました。
めっっっっっっっっっちゃくちゃ好みでまいった! 何回泣きそうになったか!
詐欺師の青年が、不器用ながらも優しい実直な青年と恋仲になるんですが、騙している罪悪感はさることながら、蓮の生い立ちに関係する描写が辛くて切なくて切なくて。すごく丁寧に、美しく書く方だなあ、と過去作と最新作に俄然興味が出てきました。
いや本当に。蓮の描写もいいんですけれど加賀屋の台詞がいい。ただ優しいだけの男じゃないことが伝わってくる。育ちの良さとか、不器用さの裏に、積み重ねられた葛藤と柔軟さを感じます。いい男だなあ。