読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
8歳のマックスは、ある晩母親にこっぴどく怒られて泣きながら家を飛び出した。目の前にあったボートに飛び乗って海を漂うマックスは、ある島にたどり着く。そこはかいじゅうたちの住む島で……。
有名な絵本『かいじゅうたちのいるところ』が原案。自分の世界を持つ想像力豊かで、時々暴走する少年マックスが、かいじゅうたちのいる島で過ごすことに。
シングルマザーの母親に放っておかれ、姉は友達に夢中。ひとりぼっちでやるせない気持ちを何度も爆発させるマックスが、寂しくて切ないなあ。彼の思いを投影しているであろう、かいじゅうたちの存在がまた、行き場のない気持ちを表してもいるようで。KWに対する気持ちの向き方が、お母さんやお姉ちゃん、あるいは年上の女性に寄せる思いそのもので、これもまた切ない。
自分の心と折り合いをつけて、家に戻ると言ったマックスだけれど、きっとまた同じように怒りを覚える日はやってくるんだろうなあ。彼の中には無数のかいじゅうたちがいるんだから。
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名門音楽学校に通うドラマーのニーマンは、鬼教師として有名なフレッチャーのバンドに参加することになる。だが厳しすぎるレッスンや罵声を浴びせられ、何度も心を折られるニーマンは、少しずつ自分を失い壊れていく。それでもドラマーであり続けようとするニーマンだが、ある日演奏会の直前に事故に遭い……。
完全に、パワハラとモラハラ……。フレッチャーの罵声に心臓がきゅっとなりました。怖い……痛い……泣きそう……。
そういう暴力を浴びせられると、心がどんどん麻痺して、こんなの大丈夫ってなっていくんですよね。はたから見るとおかしいのに、これが正しい、自分は上に行けているっていう実感に取り憑かれる。多分自分にとって何が一番大事なのか見失っているから。
けれどその後ドラムをやめて抜け殻のようになったニーマンに、なんとも言い難い気持ちになる。そこでさらに求められているという喜びが、もう痛くて痛くて……。フレッチャーの今までの態度の理由を説明されて、自分のバンドのドラムに誘われても、都合が良すぎないかと思って。でも嬉しい部分があるんだろうなという気持ちもわかってしまって……。
でもそこで最後のあれですよ。ひええええええって悲鳴を上げてしまった。胸がえぐられた……。あんな大観衆の前で丁寧に心を折られるなんて思ってもいなかった。そしてその直後のニーマンの復活も。
最後の最後、やっと手が届いた! っていう気持ちもあり、いやでもこれだいぶとおかしいよ……っていう気持ちもあり。
すごくいい映画だとは思うんですが、心を投げ出してまで手に入れようとするそれは本当にあなたを生かすのだろうか、という疑問が浮かび、腑に落ちないところが残る視聴でした。
大女流作家の重松時子が亡くなってから、彼女を偲ぶために五人の女性たちが集まっていた。だがその年届いた花束に添えられたメッセージカードをきっかけに、時子の死は他殺なのではないかと考えた五人は、彼女が亡くなった当時に立ち返って推理を始める。
女性たちがかしましく話しながら、持論はもちろん、推理を披露する作品。すごく舞台的だなあと思ったんですが、カメラワークの狭さというか閉塞感が、非常に不安感を煽って、いい作品だったなあ。
女のいやらしさ、というにはさっぱりしているような、けれどぞくりと背筋が粟立つような黒々としたものが家の内装や小道具にも表れている感じがします。女性が集まるとわいわいと料理を作ったり食べたりお酒を飲んだり、でも最終的にろくなこと話してないんですよね笑
結局真相は、というところで、情念めいた望みのために舞台を整える、というのがまたいい。
とても好きな作品でした。
それでもまた、0から違う1日が始まる。
両親を事故で亡くした女子大生・笹川唯は高額の報酬と引き換えに記憶消去薬「レーテ」の新薬実験に参加する。完全に閉鎖された施設で、天才科学者の監視のもと過ごす7日間。毎日記憶をリセットされる唯と5人の被験者たちだが、ある日目覚めると流血死体を発見して――。どうしてこの手は血塗れなの……まさか私が、殺したの? 驚愕のエンディングに戦慄必至の記憶喪失ミステリ。(裏表紙より)
大手医療会社の記憶消去薬「レーテ」の実験に参加することになった唯。すべてを記憶している博士に「このやり取りは昨日もやりましたよ」と言われたり、世話係のふたりはおかしな言動をしていたりと、この実験には裏がある様子。
最後まで読んで、ああなるほど! と。目次に戻って意味がわかりました。うまいこと仕掛けてるなあ。そうそう、最初のシーンが全然繋がらなくて「はてな?」となっていたんだよね。そういう仕掛けかあ。
ラストはちょっと無理やりすぎやしないかなあという気もしましたが、「何度も同じ1日を繰り返す」をこう表現できるのかと、とても面白く読みました。
悪評まみれの美少年愛好家、令嬢シェリーの結婚が決まった。夫となるのは国一番と評判の美少年ルース…ではなく、その兄クロード。戦場の死神と呼ばれるほど勇猛で強面な将軍のクロードには「弟を溺愛するあまり屋敷に閉じ込めている」という不穏な噂がある。「弟に近づくな」とシェリーに告げて花嫁拒絶の態度をみせるクロードに秘密が? 夫を探ろうとするシェリーだが、ある時、クロードの思いがけない優しさを知ってしまい…!?(裏表紙より)
美少年愛好家として、美少年と見れば家に連れ込み絵を描くシェリー。悪女として評判の彼女の本当の姿とは? そして結婚した黒衣の騎士クロードが抱える家ぐるみの秘密とは?
やっぱりどこかぶっ壊れたヒロインで笑 恋愛感情を抱くことができないと宣言しながら、やたらとあなたを叩きたいとか痛くしてほしいなどと言うのが、微笑ましいというか苦笑いしてしまうというか。
夫婦にしては甘さのないふたりが、共通してブラコンで「家族になりましょう」というお話、可愛らしかったです。
秘めたる魔法の力をもつ石は、もつれた運命の糸をゆっくりと巻き取り始めた。邪悪な闇の瞳を持つ見習い魔女ジリオン。青狼の毛皮を纏う王子ユルスュール。魔王。黄泉の国。伝説の湖。来るべき恋人を待ち続ける水売り娘——愛と憎しみ、光と影が交わる刹那、世界はめぐり、すべてはあるべき場所へ……。果てしない冒険と限りない夢を壮大なスケールで描く書下ろし本格ファンタジー。(裏表紙より)
完全に乗っ取られたジリオン。ユーリは導かれるままに塩の湖へ。物語はふたりから離れて、湖の水を守る水売り娘とその家族の物語に移る。
前二巻のふたりが霞むくらい、水売り娘ヴァリとその弟マシモの物語が面白くて、いやいやでもジリオンとユーリはどうなるんだ、と思ったところでようやくお話が結末に至る。ばらばらだったものが水の流れによって繋がれたように思われたのは、なるほどファンタジーという感じがしました。
最後の短いエピローグに、喜びと光がぎゅっと詰まっているようで、どきどきしながら読み終わりました。
ソーントーンの見習い魔女ジリオンは、瞳を封印され、山の館に戻れなくなっていた。青狼の毛皮をまとった王子と大海原をさまよううちに、二人は竜の部族の女戦士たちに囚われてしまう。その日からジリオンは、部族を救う巫女姫になることを求められるのだった。しかし、閉ざされた瞳は邪悪な石の瞳、いま、廃墟の城でその封印が解かれてしまった! 好評の本格異世界冒険ファンタジー。(裏表紙より)
なんとか世界が闇に飲まれるのを阻止したものの、ジリオンは未だソーントーンには戻れない。だがその目をしばらく封じることで禊を行えばそれも可能になるという。彼女の後見人になることを承諾したユルスュールとともに海に漕ぎ出たジリオンは、竜の部族にとらわれてしまう。そしてジリオンの魔女の力が、再びこの世ならざるものを呼び寄せてしまい……。
闇落ち! な二巻。ジリオンがすっかり乗っ取られてしまい、ユーリは別行動。しかしここで不思議な力を持っていそうな新キャラも登場し、もつれあう糸はどこでほどけるのか、という引きでした。
ジリオンは14歳の魔女見習い。山深いソーントーンの館から、はじめて下界に下りてきた旅の途中、剣の形をした貴重な魔法石サイトシリンを、青狼の毛皮をまとった男に奪われてしまう。石の行方を追って、ジリオンの孤独な旅がはじまった——。白馬の王子、青い狼、ねじれた城、邪悪な魔王etc.を配してみずみずしいタッチで贈る、著者初の本格異世界冒険ファンタジー・シリーズ第一弾。(裏表紙より)
ソーントーンの魔女は雪の季節には山に帰る。下界に残っている魔女は災いを呼ぶものとして忌避される。そんな中、魔女の石であるサイトシリンを奪われてしまったジリアンは、石を取り戻す旅に出る。
一方、石を奪った男はとある王国の王子ユルスュール。滅んだ国の王女グウェンドリンと彼女にまつわる因縁を断ち切るため、旅に出ていた。
そんなふたりの物語が交差する、その始まりのお話。
とてもしっかりした印象のファンタジーで、本来ならユーリのお話がメインであるところを、ジリアンの物語がかぶさっているのがとても面白いなあ。本格ファンタジーならユーリで、少女向けならジリアンが主人公なんだろうけれど、このふたりがどこにたどり着くのか楽しみだ。
豪商の家に生まれ、天性の商才を持ちながらも、側室の娘ということで疎まれていた香月。
取引先の当主(80歳)に売られたも同然の政略結婚を決められた彼女だったが、その輿入れの道中、悪党集団に攫われてしまう!
頭目である烈英の前に連れられ、すっかり人生を諦めつつあった香月だが、目の前で繰り広げられる悪党どものどんぶり会計に、つい口出しをしてしまったことから、事態は思わぬ方向に進み……。
ソロバン片手に悪党を更生!? 実家に見捨てられた令嬢の逆転劇はここから始まる——!
冒頭3ページ目に誤字があってずっこける。「神」じゃなく「袖」ですよね多分……。
トントン拍子に進んでさっくり読める、中華風ファンタジー。上記の内容紹介はだいぶと盛っているなあという感じがします。というのは、一文が短くて話がさくさく進んでいくからで、香月以外のキャラクターを味わう暇があんまりないんですよね……。
しかし恋なんてお呼びじゃないという感じで、生きるために稼ぐわよ、というたくましい香月はとても賢くて素敵な主人公。結局極南公に封じられたのは香月なのか列英なのか。謎がちょっぴり残っているのも味わいでした。
復活した魔王を倒す勇者になったヨシヒコ。仲間たちとともに病気を治す薬草を探したり、魔王を倒すための装備を集めたり。そうしてようやく魔王に挑むが、魔王がいるそこは豊かな物資にあふれた都市で……?
ヨシヒコは導かれし七人を見たので、第1シリーズのこの作品を見ることに。
随所にちりばめられたパロディネタが楽しい笑 のですが、まだちょっとおとなしいかな? という印象でした。導かれし七人はちょっと予算が増えたのかいろいろネタが豊富だったからね……。
最初は仲が悪かった仲間たちが話の後半、完全に立ち位置が決まって仲良くなっているのがおかしかったです。メレブって最初あんまり突っ込まないの? と思ったんですが、後半は完全にヨシヒコのツッコミ役として完成されていた……笑
しかし時折キャスティングが豪華で噴き出してしまう。OGURIをキャスティングしてくるとは思わず出てきた瞬間ぎゃって言った。OGURIとYAMADAが楽しそうで何よりです。
魔王が現代にいるというのが風刺がきいているなあと思ったり。そうだね我々堕落しているね……。
最後のあたりがとても真面目にいい話で、面白く見ました。楽しかった。