読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
魔性の麗人(でも女王陛下!)から熱いおもてなしを受けるミレーユは、持ち前のやる気で公務に努める。しかし観劇の途中、ミレーユの父親・エドゥアルトの隠し子として現れたグレンに攫われ、大ピンチ!! しかもその騒動にはミレーユの後輩で、リヒャルトの従兄のフィデリオが見え隠れし——!?「……俺にも、あなたみたいな人がいてほしかった」シアランを揺るがす史上最大の事件の幕が上がる、緊迫の最終章、第2弾!!(裏表紙より)
隠し子騒動決着、と同時に身代わり伯爵の最後の事件の前哨戦。
メアリー妃が狂気に走る展開でなくてよかった……! って言ってもめちゃくちゃ悲しい人だったので胸が痛いです……。思いつめたフィデリオも、ああ、ああー、あああああー!!
一方で微笑ましいシーンもあり。セルシウス殿下の挿絵が見たいなーっていうくらい、リゼランド女王の王配の殿下が親しみやすいすごくいい人でした。このふたりのロマンスを想像するとにやけてしまう。
将来の家庭について話すミレーユとリヒャルトもいいなあと思いました。結婚でおしまい、めでたしめでたしじゃなくて、その先を考えられるようになってきたんですよね。ふたりの家庭は楽しそうで、これからが楽しみです。
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「死ぬ気で頑張るから! 討ち死にする覚悟はできてるし」盗まれた国宝をミレーユが発見した事が発端で、リゼランド宮殿に招待されたミレーユ達。一庶民であった自分がシアラン大公の婚約者として女王陛下に対面する事に、ミレーユはテンパリまくり。しかも女王は口説き文句を連発する男装の麗人だつた!! パパの隠し子疑惑までが浮上し大混乱の中、水面下では国を揺るがす事件が動きはじめ——!? ついに禁断の最終章、開幕!!(裏表紙より)
最終章の一冊目。リゼランド王宮で謎の少女に襲われるミレーユ。聞けば少女でなく少年だった彼は、ベルンハルト公爵の隠し子だという。一方でフィデリオが不審な動き。
こういう作品で、夢の世界で生きている人の狂気が一番怖いんですが、ああなんかやばそう……。
書き下ろし短編の「しばしのお別れ」と「君の涙を拭うのは」が収録されているんですが、順番を入れ替えてもよかったのではないかなあ、と思ったり。「しばしのお別れ」はアルテマリスを出発する直前のお話なのですが、ここでリヒャルトにいちゃらぶ解禁のお知らせが! 酒癖が悪い、甘え癖が出るというリヒャルトがかわいくてにやにやしてしまった。
脱走した米兵の惨殺死体が日本海岸で発見された。それがすべての発端だった……。同じ頃、米国防総省の下請け情報機関に所属するアナリスト・葉山は調査中にある情報を入手する。北朝鮮の権力中枢で、何かが起きている——。鍵を握る謎の言葉「プラチナ・ビーズ」とは? 米朝の謀報戦を鮮烈に描く、本格スパイ小説の新鋭、入魂のデビュー作。文庫版のための特別描き下ろし短編も収録。(裏表紙より)
おお……おおおお……! すごかったー! こういう社会派な作品はちょっと苦手意識があってなかなか読めないんですけれども、読み始めたらぐいぐい引き込まれてあっという間に読んでしまった。そしてプロローグに戻ってしまった。
下請け情報機関に所属する葉山は、脱走米兵の死をきっかけに北朝鮮で追われたはずの幹部が再び中枢に復帰しているらしいことを突き止める。情報源となった女優志望の町田洋子とふとしたことで再会した葉山だったが、その後、尾行や襲撃に遭い、しかも町田洋子が死んだという知らせが入る。何がどこで繋がっているのか、相手の目的は何か。
行き場のない人間が何かを得ようと必死に足掻く。あるいは煮えたぎる怒りを隠して自らの望みのために行動する。静かな熱意というのか、出てくる人たちそれぞれの持つ何かが息苦しくて、この人たちがどこに行き着くんだろうとページをめくる手が止まらなかった。
主犯者と思われる謎の美貌の男が、ほとんど出てこないのに妖しい魅力に溢れててかっこいいんだよなあ……。終盤登場したときのやりとりにはぐうっと胸を掴まれた。「プラチナ・ビーズ」の意味を知ると、泣きたくなる。
おすすめされた小説でした。おすすめありがとうございました!
結婚したら、花粉症とはおさらばよっ!!! 奨励賞受賞作!
『花冠の王国』と称される大国エスカ・トロネアの王女フローレンスは、重度の花アレルギー! 常にくしゃみ鼻水が止まらず、淑女にあるまじき鼻の下(以下略)。そんな彼女に、人生の転機が!! 北の辺境国ラハ・ラドマ、イスカ王子との婚約話だ。アレルギーが出ない不毛の地こそ我が楽園と浮かれるフローレンスだが、イスカにとっては、なぜ大国の姫がと不審でしかなく!?(裏表紙より)
異世界ファンタジーでもし花の咲き乱れる大国の王女が花粉症だったら、というラブコメ、に見せかけて結構政治のお話もする、可憐ながらも賢く前向きなフローレンスのお話。
本当にかわいいなあ! 素敵なヒロインだ。アレルギー性鼻炎って本当につらくて、本人も見ている人もしんどいんですよね。「汚い」って言われて傷つくのが身近すぎてフローレンスの気持ちがよくわかる。
顔はいいけれど外交には向かない素直な気質のイスカは少々影が薄めですが、彼の誠実な態度はなんの裏もないとわかるので、口説き文句がもだもだしてたまらない笑
フローレンスとミリア、ジゼルの関係がなんだか好きです。主人と侍女の関係で、ミリアとジゼルでは仕えている期間が違うからもちろんやりとりも違うんだけれども、仲良くなれそうでよかったなあ(にこにこ)と思いました。
おじさんの仕草や言葉には、長年社会を歩いてきた人生が詰まっています。それはくだらなかったり、おもしろかったり、為になったり…と千差万別。その隠れた素晴らしさ、若者にはまだ備わっていない味わいを伝えるべく、取材し、観察して図鑑としてまとめました。今まで気にしていなかった「おじさん」を楽しむガイド。これからの人生を歩むヒントが見つかるかもしれません。(カバー折り返しより)
街中にいる「おじさん」たちを、「普通のスーツのおじさん」「休憩中のおじさん」「ぽっこりおなかのおじさん」などに分けてスケッチし、一言添えた図鑑。いるいるこういう人いるー! っていうおじさんたちが収録されていてふふっと笑ってしまった。こうして集めてみると「おじさん」って面白いなあ。
プロ棋士になる夢に破れた瀬尾は、毎日公園に一人でいる金髪碧眼の少女サラに出会う。言葉のやりとりが不自由な彼女に対し、瀬尾は将棋を教え込む。すると、彼女は盤上に映る“景色”を見る能力を開花させ——。棋界に新たな風を送るサラ、将棋に人生を捧げてきたスター・塔子、数多の輝く才能を持つ七海の三人を巡り、厳しくも豊かな勝負の世界を描く青春長編。第24回小説すばる新人賞受賞作。(裏表紙より)
プロ棋士を諦めてパチプロで生活している瀬尾は、金髪碧眼の少女に出会う。ふとしたことから彼女に将棋の指し方を教えた瀬尾だったが、サラはやがて「未来の将棋」を指す才能を開花させる。なんとなく少年少女の話かと思ったら、やさぐれた男が素晴らしい才能を持つ少女とともに将棋界に挑むような話でした。このサラというのも言葉の発達が遅く共感覚の世界で生きている特殊な女の子。サラの気持ちが読み解けないので不思議な読み心地でした。、「才能ってなんだ?」と問いかけられた、年齢も立場も違う三人の女性たちが、将棋という盤面に描かれる世界に挑む話だったのかな。
リィ・シェラ・ルウの三人組「よろず困りごと解決」課外活動に新たな依頼が入った。隠し子騒動にパトロン疑惑という学内ではショッキングな内容である。しかも持ちこんだのは彼らにとってある意味「仲間」ともいえる二人——ヴァンツァーとレティシア。違和感ありまくりの状況に、かの三人組も固まった。さらに両親の就任式に感銘を受けた様子のライジャが「女体に慣れる修練」とかの誤解されまくりな爆弾発言を次々と言い出し、追い打ちをかけた(もちろん、ライジャ自身は至極真面目に発言しているのだが)。どうやら学校はどこもかしこも異常事態の大賑わいが大盤振る舞いで……?
学校生活を満喫する(?)充実の第5巻。(裏表紙より)
今回は天使たち側、ヴァンツァーのお話。クラッシュ・ブレイズシリーズの『ファロットの休日』が初出のビアンカ、ブリジット母娘が登場。事件に巻き込まれてしまう。
ヴァンツァーはだいぶと変わったなあ。大事な人ができて、楽しいと感じてくれているようでほっとしました。
お話は、いじめられているらしいというレティシアの依頼と、乳児を抱えた中年女性(ブリジット)に対してまったく愛嬌を見せないはずのヴァンツァーが笑顔を見せて楽しそうにしていることから事件発生。「永久凍土の貴公子」とあだ名されている彼なのに、あの女性は誰なの!? と男女問わず大騒ぎになったことから、ブリジットとビアンカがどうやら狙われるようになったらしく……? という。レティシア側のお話は導入でほとんどヴァンツァーの話なんですが、ふたりとも、それぞれにしたいことができていてよかったなあと見守る側として思うのでした。
小学校の頃やってきた転校生、その母親の秘密「仁志野町の泥棒」。年齢と立場、恋愛と結婚に言いようのない苛立ちを覚えていたある日、不審火が起こる「石蕗南地区の放火」。かつて付き合った男との思い出を回想しながら旅をしている「美弥谷団地の逃亡者」。恩師が殺されたことを聞いた彼女の元にかつて付き合っていた男から電話がかかってくる「芹葉大学の夢と殺人」。やっと欲しかった子どもを授かったものの育児に疲弊していく「君本家の誘拐」。五つの短編集。
まさに「鍵のない夢」というか、答えが見つからないまま、行き場を失ったり、自分の立っているところがわからなくなったり、どうにもならなくなってしまっている人たちの話だったなと思いました。どの話もいたたまれない読了感なんですけど、辛かったのは「芹葉大学の夢と殺人」でした。
口ばかりで、社会を知らないまま、「嘘がつけない」という言葉を武器に夢を見ている大学生が出てくるのですが、この男がもう……もう……。その言動のいちいちがもぞっとしていたたまれない。
同時に「石蕗南地区の放火」ももぞもぞもぞーっとしました。結婚の気配もないまま三十六歳になった女性が主人公。なんとなくデートらしきものに出かけた年上の男性がいるものの……という話で、このふたり、それぞれのこじらせ感が胸を掻きむしってしまうくらいしんどい。これ「マウントとりたい」って話なんですよね。ああー。
後味がとても悪いんですが、この身をよじってしまう居心地の悪さがたまらないなあとも思いました。
オレ、アイダ・ナオ。高校入試に失敗しつづけ、ジョーダンのつもりで女装して受けた女子高に、なんと入学してしまった。最初はおっかなびっくりだったけど、だれも気づく気配がないし、まわりはみーんな女のコ。これはオレのための花園なのかもしれない…。「十五歳」の体と心の成長を鮮烈に描いた、パワーとスピード感あふれる痛快な青春小説。(裏表紙より)
どうしてばれないんだ! という突っ込みどころが多々あるんですが、子どもの性についてここまであけすけに書いてあるのはめずらしいなあなんて思いながら読みました。ラッキースケベ的なこともここまであからさまに書かれるとちょっと引いてしまうんですが、なんだか子どもたちのやるせない怒りとか苛立ちが込められている気がしました。