読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
三人目の子どもを死産したケイトとジョンは、その子の代わりに養子を迎えることにする。女子孤児院を訪ねた先で出会ったエスターという名の少女を引き取ることにしたが、エスターの言動は徐々におかしなものになっていき……。
魅力的な子どもと関わったことによるホラー、サスペンスが好きなんだなあと最近気づく。
ケイトとジョンには二人の子どもがいる。生意気盛りの長男ダニエル。難聴の妹マックス。そこに三人目の子どもとしてエスターがやってくる。エスターはジョンの愛情を勝ち取り、すぐに手話を覚えてマックスと仲良くなる。だが徐々に普通の子どもらしからぬ言動にケイトは気づく。
最後の最後までケイトのことを「ママ」と呼ばないこととか、異常なほど賢いとか、どういうオチなんだろうとどきどきしていたんですが、ああーなるほどーああー! ちょっと都合が良すぎる気がしましたが、どう考えてもジョンをロックオンしている様子からして精神的には大人なんだろうと思ったことを考えると、かなり納得がいきました。
エスター役の女優さんが、あまりにも上手で。最後は本当に大人に見えたし。
とても面白いサスペンスものでした。
PR
堺雅人は鞄に原稿を書くための道具を入れて、持ち歩いている。撮影の合間に楽屋で、休みの日に喫茶店で、「演じる」ことについて考え、文章にするのだ。そうして生まれた54作の本格エッセイに加え、作家の宮尾登美子氏、長嶋有氏との対談やインタビュー、写真を掘り起こして収録。役者の思考や日常が垣間見える一冊。出演作品リスト付き。(裏表紙より)
めっちゃくちゃ頭のいい人だなあというのと、その静かな思考が文章が伝わってきて、すごいなあと思いました。現在何を撮影しているのかちらっと何を演じているのかが書かれているのですが、あまり詳しくない私でも読んだだけで何の作品がわかる。個人的に「ヒミツの花園」のことがちらっと書かれていて嬉しかったり。撮影風景がちらっと覗けた気がするのも面白い。
すごーく気を抜いていてマイペースな人に見えるけれど、内側にあるものが深くてすごいなあと。思考を文章に落とし込むってすごく難しいと思うので、このエッセイ集が読みやすいのもすごいと思いました。
携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活はつづいていく。ならば、そんな素晴らしくない日常を、つまらない生活をおもしろがろう! 音楽家で俳優の星野源、初めてのエッセイ集。巻末に俳優・きたろうとの文庫版特別対談「く…そして生活はつづく」も収録。(裏表紙より)
『働く男』よりもこっちのエッセイ集の方が好きだなあと読み終わって思いました。だいたいがお腹痛いとうんこときんたまの話でじわじわくる。
というかお母さんのようこさんが面白くてお腹つるかと思った。楽しい人だなあ。いたずらを仕掛けられた子どもの側としてはたまったものじゃないかもしれませんが、学校に行くたびに落ち込んでいく息子のために(でも恐らくはその場の思いつきだろう)いたずらを仕掛けるお母さん楽しい。
不思議な縁でつながる、三つの時代を生き抜いた女性たち。聡明さとしなやかさを兼ね備え、自然体で激動の時代を生き抜く彼女らをドラマチックに描き出した、壮大な大河ロマン!(帯より)
加賀藩大聖寺藩主前田利之の次男と結婚した勇。加賀藩の分家小松藩の子孫である万里子。瀟洒な洋館で生まれ育った花音子。江戸時代末期、明治半ば、そして昭和。三つの時代に生きた三人の女性たちの物語が一人称で語られる。
形は違うけれど三代の女の物語として先ごろ桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』を読んだところだったので、語り口などの違いがまた面白かったです。
タイトルは『政略結婚』だけれども、『結婚』にまつわる家の話でもあり、最初の「てんさいの君」は顔も知らないまま嫁ぎ、義母や養母がいて、大人も子どもも簡単に死んでしまう時代に養子縁組も普通に行われている、という、女性が家である時代の話。続く「プリンセス・クタニ」は家というものから飛び出し、新しい世界で新しい自分の形を作る時代の話。そして「華族女優」は血縁というもの家族というものが一つ終わりを迎え、女性が一人の人間として歩き始める時代の話。このお話の中で脈々と受け継がれる一族の血なのですが、「てんさいの絵が描かれた九谷焼の皿」もまた時代を経て登場する。これが最後焼け落ちた家の中から見つけ出されるっていうのが象徴的。
時代や状況によって女性のあり方っていうのは本当に違っていて、自分にふさわしい生き方を見つけたなら、誰がなんと言おうとそれを貫けばいい、と教えてくれたような作品だったと思います。それを押し付けてはいけないというのも含まれている。家を守る女もいれば、仕事に生きる女もいて、新しい世界へ自由に羽ばたく者もあれば、これまで連綿と続いた血よりも自分を選んで生きる者もある。
とても面白かったです。
時は平安——。京のはずれの邸に暮らす、靖子と咲子。最近、咲子には気がかりなことがあった。靖子が、気味の悪い男につけ狙われているのだ………。(表題作)都でも屈指の美姫といわれる奏子。密かに、血の繋がらない兄に恋をしていたが、ある日、一冊の日記を見つけてしまい…?(瑠璃と桜の人魚姫)——四季折々の京が舞台の、戦慄のホラー短編集。全4編収録。この世で一番怖いのは、だあれ?(裏表紙より)
ホラーと聞いていたけれどコバルトだから、死んだ夫がやってくるとか、猫の亡霊が助けてくれるしっとり系の話なんだろう、なんて思っていたんですが、甘かった。しょっぱなから魔性に取り憑かれた男につけ狙われたり、上記あらすじの「瑠璃と桜の人魚姫」なんてカニバリズムですよ。いい意味で期待を裏切られて「はわわわあ」ってなりました。平安ものでこういう病んでる感じのものって初めて読むので新鮮です。
「朧月夜の訪問者」「瑠璃と桜の人魚姫」のほか、火事にあった自分を助けてくれた少年を失って以来声をなくした姫のお話「白露の契り」、魔物を見る目を持つ孤児が陰陽師の血筋、由利家に引き取られるも次第に心を病ませていく「紅雪散らす鬼」を収録。この中で恋が成就するのは「白露の契り」だけで、書き下ろしというのも納得。この話がなければ後味がとっても悪いです。ほかの話はだいたい誰か死んでいます。
そういう意外性や読み易さも含めて面白かったです。
“辺境の人”に置き忘れられた幼子。この子は村の若夫婦に引き取られ、長じて製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれ輿入れし、赤朽葉家の“千里眼奥様”と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。——千里眼の祖母、漫画家の母、そして何者でもないわたし。高度経済成長、バブル景気を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる三代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の姿を、比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。
ようこそ、ビューティフルワールドへ。(カバー折り返しより)
鳥取の旧家、赤朽葉家に輿入れした山の人の忘れ子、万葉。レディースとして中国地方を制覇した後大御所少女漫画家になった毛鞠。不思議な力もエピソードもないわたし、瞳子。瞳子が聞き取った家と祖母と母の物語を、現代史を交えながら語る作品。おおー読み応えあったー。語り始めるといろんなところが面白い作品だなあと思い返して感じる。
現代に生きる私たちは祖母や曽祖母の話を聞き取ると、それが非日常的な伝説のように感じられる感覚や、女の物語に男は時に華やかに、時に影となって語られる感覚が、わかるわかるって感じて面白い。
万葉、毛鞠、瞳子の他に、万葉の姑に当たるタツも、個性的な赤朽葉家の女の一人ですね。家という魔力が弱まっていくと同時に、女たちも少しずつ形を変えて、時代を象徴する一人になるのが読んでいて興味深かったです。
18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。四肢を切断された少年と顔を潰された男。戸惑うダニエルと弟子たちに治安判事は捜査協力を要請する。だが背後には詩人志望の少年の辿った恐るべき運命が……解剖学が最先端であり偏見にも晒された時代。そんな時代の落とし子たちが可笑しくも哀しい不可能犯罪に挑む、本格ミステリ大賞受賞作。前日譚を描く短篇「チャーリーの災難」と解剖ソングの楽譜を併録。解説/有栖川有栖 (裏表紙より)
これを書くまで「開く」じゃなく「聞く」だと勘違いしていた。解剖だから「開く」なんですね。
解剖教室から発見された屍体と、それを巡る謎。捜査する盲目の治安判事サー・ジョンやダニエルたちの視点と、殺されてしまった詩人の少年ネイサン・カレンの視点が交互に語られていく。偏見に満ちた時代のものを読むと、そうしたものが登場した瞬間にこれが鍵だなと思うようになってしまったんですが、それでも最後にはあっと驚かされました。
結局どういう話だったのかなと考えてみたんですが、うーん結局愛されたかった人のお話だったのかなあ。お金よりも仕事よりも、誰かがそばにいることを求めていた人たちがいたということなのかも。もっとちゃんと噛み砕けるんだと思うんですが、切ない読後感がまだ強くて、うまく考えられない……。いやしかしすごい作品でした。
っていうか続編があるのか! それは読まなければ。
兄の悲劇を知ったオルバは、その元凶である自軍の将軍・オーバリーへの復讐の念を新たにする。オルバが泣くのを目撃してしまったビリーナは接し方を思いあぐね、また帝都からは“皇太子ギル・メフィウス”の正体について疑念を持つイネーリが来訪する。
ついに復讐へと動きはじめるオルバ。一方、ビリーナの故国・ガーベラへ隣国エンデの公子・エリック率いる軍勢が進発。開戦まで一刻を争う事態となっていた。オルバは“皇太子ギル”として、そして“オルバ自身”として決断を迫られるが——。(カバー折り返しより)
鬼のような引き方をされて「どうなるの!?」という第4巻。第1部完結なんですね。
ギルは偽物だと確信を持ちつつあるイネーリ。復讐心にとらわれてオルバとしての顔が出てしまっている状態で、オルバは彼女を挑発。さてどうなるというところで、復讐を果たしたオルバは失踪。ビリーナとだいぶと打ち解けてきたというのに、どうなるんだこれから……。
帝都ソロンでの反乱を阻止しますます名声を高めたオルバは、皇帝により辺境のアプター砦へ赴くよう命じられる。そこはかつてビリーナの故国ガーベラに占領され、メフィウスへと返還されようとしている地だった。そしてその機を狙って隣国タウーリアが侵攻してくるという噂があった。
元剣奴隷の近衛兵などわずかばかりの手勢を率い、ビリーナと共にアプターへと進発したオルバ。一方、ガーベラではエンデ公国との戦端が開かれようとしており、メフィウスの援軍を必要としていた。一触即発の状況の中、寡兵しか持たないオルバがふるう采配とは——!?(カバー折り返しより)
第三巻。皇帝よりアプター砦へ赴くよう命じられたオルバ。皇帝の心中はいまだわからず、だがオルバはギルとして砦に攻め入ってきたタウーリア領主バズガンと戦う。
身代わりがばれるか!? というひやひやは今回少なめ。2巻までで疎外されがちだったビリーナは今回から参戦で、とってもかっこよかったです。オルバとビリーナ、ふたりで協力していけるかと思った最後の最後で、イネーリお前! っていう引きで! しかもタウーリアの姫エスメナもオルバに接近中。どうなるのかどきどきします。
イネーリは怪しんでたけれどその発言に根拠はあるのかなあと木になるので続きを楽しみに読もうと思います。
聖や弓生とともに怪異の根源である穂積関係の周辺事情を探る桐子。やがて彼女は穂積妙子に「寄生」しているものの正体が祟り神であり、このままでは妙子の生命力が喰らい尽くされるということを知る。桐子は祟り神を祓い落とすため、穂積逸人によって閉じ込められている塔から彼女を連れ出すことにした !ついにクライマックスを迎える神島桐子編。桐子と志郎の恋にもようやく決着が!?(裏表紙より)
妙子は魔性ではなく、禍つものに寄生されていることが判明。それを払い落とすために、神島、竹取が妙子を連れ出す。しかし妙子は自らの望みに逆らうことができず……。切なく喪失感のある結末でしたが、うん……好きな人のためにっていう思いがあったから妙子は桐子や清香と一緒に楽しい思い出を作れる時間ができたのではないかなとも思いました。多分妙子よりも早く本当の禍つものが動き出していたと思うので。
桐子と志郎もこれで決着! 釣り書きを持ってきたのはにやにやしました。よかったよかった。多分これからも前途多難なんだろうけど、二人でいるって決めたなら大丈夫だ。
そして案外かわいいぞ! と思ったのが朔と清香でした。志郎にライバル出現か!? とひやひやさせておきながら、一番身近な人に告白されて赤くなる朔がかわいいぞ! 清香は年下のおてんば従姉妹からかわいい恋人に昇格ですかね。よかったよかった。