読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
目が覚めたら魔法のしっぽが生えていたイジメられっ子、父を亡くし若い継母とふたり年を越す高校生……。児童文学から恋愛小説、SF、時代小説まで、ジャンルを超えて活躍する著者ならではの、色とりどりの6篇が入った“玩具箱”。明日への希望きらめく瑞々しい気持ちをギュッと詰め込みました。文庫オリジナルの自著解説を収録。(裏表紙より)
「謹賀新年」「ぼくの神さま」「がんじっこ」「孫の恋愛」「しっぽ」「この大樹の傍らで」の6編。本当に短い話ばかりで、どちらかというと児童文学に近い感じかなあ。すごく読みやすいけれどちょっと物足りない。
「孫の恋愛」が好きです。狐の一族がいて、諏珠という美しい老女狐と家族の話なんですが、ちょっと色っぽくて、ふわふわと暖かくて、切ない。
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僕は音楽を聴くと、その音楽の世界に意識が飛ぶ“特異体質”の持ち主。でも同級生の静原秕奈の歌声には参った。僕は完全に現実を離れ、すっかり異世界に取り込まれてしまったのだ。こんな鮮烈な体験は珍しい。現れたのは螺旋の塔。そして最上階には少女がひとり閉じ込められていた。彼女はいったい何者? 個性的な登場人物たちが織りなすユーモラスで切ない、ひと夏の音楽ファンタジー。(第9回トクマ・Edge新人賞受賞作)
音楽を聴くとその世界に意識が飛ぶ、高校一年生の少年が、友人とともに行ったライブハウスで歌っていた同級生の少女と出会う話。高校一年生の夏、不良な友人との友情、個性的でアウトローのようだけれど心優しい大人たち、そして過去の後悔と寂しさと。徳間書店の新人賞ってこういうラノベっぽいような、でも優しくて温かい話を出してくれるので好き。
音楽世界に没入するって、本当に異世界に飛ぶような感じで、そこの住人と会話するので最初はちょっとびっくりしたんですが、そうやって自分と、そして音楽を通じた世界と対話している感じが好きでした。
焼けた薔薇、毒入りワイン、仮面の女そして狂疾の血。それは、古い革表紙の手帳に遺された言葉だった——。東日タイムズの影谷貴史は、昭和4年に起きた『キネマ屋敷連続殺人事件』を調べていた。5人の男女が殺されていながら、犯人も被害者も不明であるというこの事件の謎を探るべく、貴史は事件現場の島に向かった。だが、たどり着いた瞬間、光に包まれ、気づくと、74年前の事件の渦中にいた。人気ゲームを小説化した戦慄のサイコ・ホラー!(裏表紙より)
タイムスリップ(?)した先で、自分が調べていた、孤島で起こった殺人事件に巻き込まれた主人公、影谷。芳野堂一族で起こった殺人事件は、翳谷村で起こった虐殺事件につながっていて……。
元がゲームというのが意外なほどサイコホラーで、時間が関係しているところもあったり、ラストなども、味付けが面白い事件ものでした。
読んでいてぞっとしたのが、茉利絵に対する印象だったかなあ。最初は普通の、敏感なだけの気弱な女の子かと思ったら、実は結構危ない感じだっていうのが途中から分かって。彼女が豹変しなくてよかった……。
富豪の夫人の元に売られてゆくことが決まった浅草の見世物小屋の人魚が、最後に口にした願いは観覧車へ乗ることだった。だが客車が頂上に辿りついたとき、人魚は泡となって消えてしまい——。心優しき雑誌記者と超絶美形の天才絵師、ふたりの青年が贈る帝都探偵物語。明治の世に生きる彼らの交流をあたたかに描いた、新鋭の人情味あふれる作品集第一弾。表題作を含む五話収録。(裏表紙より)
明治もので、雑誌記者と美貌の天才絵師のコンビで探偵です。天才絵師の有村礼はいいとしても、雑誌記者の里見高広の方もなかなか濃い設定で、非常に好みでまいった!
高広は、雑誌記者。しかし、腕っ節が強く、英語に堪能で、推理力もあり。ちょっぴり不器用そうなところとか、ホームズの小説を英訳することで付き合いがある礼に対して「物で釣っているような気がする」と思うところとか、かわいい男の人だなあと思いました。
好きなのは「怪盗ロータス」と「真珠生成」かな。「怪盗ロータス」は話の余韻が好きで、ちょっと切ないようなところと、なんだか幻想的な感じが好きでした。怪盗と遭遇するって幻想っぽい。
「わたし、気になります」
文化祭に出店するクラス制作の自主映画を観て千反田えるが呟いた。その映画のラストでは、廃屋の鍵のかかった密室で少年が腕を切り落とされ死んでいた。誰が彼を殺したのか? その方法は? だが、全てが明かされぬまま映画は尻切れとんぼで終わっていた。続きが気になる千反田は、仲間の折木奉太郎たちと共に結末探しに乗り出した! 大人気青春ミステリ、〈古典部〉シリーズ第2弾!(裏表紙より)
夏休みのある日、先輩である2年F組の文化祭用の映画を見せられ、途中になっているこの作品を完結させてほしい、と制作に携わった何人かに話を聞きながら推理する。
トリックとしては奉太郎が推理したようなことなのでは? と思ったのですが、それで終わらないのが日常系ミステリのいいところだなあと思いました。
長女・幸。次女・佳乃。三女・千佳。離婚して出て行った父の訃報を聞き、佳乃と千佳が葬儀の行われる山形を訪れると、そこには腹違いの妹・すずがいた。葬儀に駆けつけた幸は、すずの様子を見てとり、「自分たちと鎌倉で暮らさないか」と持ちかける。そして、姉妹四人での生活が始まった。
とってもとっても、いい映画でした! 面白かったな……としみじみした。見ていて安心しました。どんなに喧嘩しても、うまくいかないことがあっても、帰ってくる家がある、という感覚だったのかもしれないなあ。姉妹がそれぞれ、少しずつ、姉や妹、母や父のくせを継承しているところに、不思議なおかしさと温かみがありました。特にすずに関しては、血のつながりは薄いかもしれないけれど確かに家族なんだというように。
姉妹それぞれの性格や姿勢も、本当にそれぞれで、面白かった。女優さんたちが本当にすごいなあ! と思いました。綾瀬さんなんか、まさに「いつもきりきりしてる長女」って感じで、恐い時と優しい時の両面がこういう人いるいる! って感じですごかった。
すごく好きな作品でした。
わたしの人生をあの方の「華」が目覚めさせてくれた——
わたし清少納言は28歳にして、帝の妃である中宮定子様に仕えることになった。華やかな宮中の雰囲気に馴染めずにいたが、17歳の定子様に漢詩の才能を認められ、知識を披露する楽しさに目覚めていく。貴族たちとの歌のやり取りなどが評判となり、清少納言の宮中での存在感は増していく。そんな中、定子様の父である関白・藤原道隆が死去し、叔父の道長が宮中で台頭していく。やがて一族の権力争いに清少納言も巻き込まれていき……。(帯より)
清少納言による、中宮定子との日々を綴ったもの。一人称です。
けれど、清少納言はあくまで語り手であって、藤原一族の権力争いとはほぼ無縁。噂によって定子のもとを辞することもありますが、そのことでひどく思い悩んだりということはなく。あったとしてもひどくあっさりと語られていく印象でした。登場人物に寄り添って臨場感を味わうという話ではなくって、あくまで「こういうことがあったのよ」というのを聞かせてもらっている感じ。血なまぐさい出来事もなく、人の心の機微やすれ違いにはっとする話ではないかなあと。研ぎ澄まされたSFもいいですが、柔らかい文体があたたかい話でした。
月の民ムーンレィスの少年ロランは、地球に潜入した先で、キエルとソシエの姉妹と出会う。彼女たちのハイム家の運転手となったロランだったが、成人の日の祭りの際、月からの侵攻を受ける。ロランは、偶然出現したホワイトドール、モビルスーツに乗り込んで応戦するが……。
ターンエーガンダムは、『月に繭 地には果実』の知識しかないので、話がものすごい勢いで進んでいくので、実際のアニメ版を見ていないと分からない感じでした。スピート速くてついていけないよー!
映像や台詞回しなんかが、懐かしい感じで、こういうの好きだったなあと懐かしく思いながら見ていました。ソシエがねー、こういうタイプの女の子、物語を動かす力があってすごくいいなあと思ってたんだよねー!
外国へ行くというママとパパから離れて、東京で一人暮らすことになった耳比古。新幹線で出会った、鴨を連れた占い師に告げられ、月の裏駅にある家に暮らし、高校に通うことになった。同時に、耳比古の好きな「エクソシストの少女」という物語も動き出し……。
現実と空想世界の出来事が交互に語られ、次第にシンクロし始めるお話。実はこういう話、うまく入り込めなくて苦手なのですが……収束する瞬間がとても面白かったです。その後のラストはちょっとどうかなとも思ったけれども!
耳比古は、暮らし始めた家についているという双子の幽霊の少女と関わることになるのですが、この子たちがちょっと薄気味悪くていい感じ。読んでると得体の知れなさにぞわぞわしました。
想定が素晴らしく美しくて、世界観にぴったりだと思いました。小口に青い印刷。表紙は青い髪に銀インク使用。本文は青インク。ところどころに小さなイラストカットが入っている。などなど。
ロマネスク建築の写真紀行。ほとんど白黒ですがカラーページもあり。古い建物の写真ばかりなのですが、とても雰囲気があって美しく、どきっとするほどの静謐さでした。なんというか、そこに人が立っていても調和して一枚の絵になっているような。
Amazonに登録がない本で、古書市で一目惚れして買ったのですが、とても素敵な本でした。何度も手にとって眺めていたくなるような。
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