読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
ディシベリア帝国皇女・フィグネリアへの誕生日祝い。それはあまりに怪しい“婿”だった! 刺客かと疑うも、クロードと名乗る彼は何にもできない優男。婚儀の夜——早々にフィグネリアがクロードを寝室から追い出そうとすると、何故か扉が開かない。その時、突風が部屋を駆け抜けた! 驚くフィグネリアの前で、クロードが慌てて笛を吹き始めて……? 第14回えんため大賞奨励賞受賞作!(裏表紙より)
神霊を敬う帝国。周辺諸国では火器の発明が開始され……という状況から、いつ帝国が落ちるかとひやひやするんですが、そういう状況下で妖精と深く関わっているらしい婿を取った、帝国皇女フィグの物語です。シリアスではなく、結構ほのぼのとしていたかな……?
いやー、ヒーローであるクロードが、優しくて一生懸命な青年で、かつフィグの美人なところとかお胸とかに反応しちゃう本当に普通の男の子で、すっごくすっごくかわいいんですよね! たらしというよりかは、「かわいい……でも手が出せない……つらい……」っていう感じなので笑ってしまう。
神様関係がラフなのは仕方ない笑 そういうところも含めて、ライトで楽しかったです。
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事故で両目の視力を失った蒼。角膜移植さえすれば、見えるようになる——そう思うと、むしろ何事もやる気になれない。二年が経ち、高校もやめ、漠然とした不安のなかにいる蒼に声をかけてきたのは、友希という女子大生だった。ふたりは惹かれあい、恋人になる。直後、蒼は移植手術を受けることに。だがそれは友希との別れを意味していた…。せつなく香る、恋の物語。
友希、君に会いたい。顔も知らない、大好きな君に。
小田さんというお名前に変えて恋愛ファンタジーも書かれていた沖原さんが、その小田さん名義で、デビュー作のような恋愛小説を書いた! というからには読まなくちゃいけないと使命感に駆られてしまい、発売日に飛びつくように買っていました。
とても、小田さんらしい小説でした。目が見えないという状況にあって、ちょっとしたふれあいがすごく大きなことに感じられるのは当然だと思うんですけれども、そこからさらに踏み込んで、「人を見る」(直接見たわけではないけれど、きっとこの表現が正しい)という要素が加わって、とても面白かった。ちょっとした言葉、態度、自分の内面をすごく掘り下げられていて、これは淡い恋とかではなくて、恋をするってことの話なんだ、と最後にすごくずっしりきた感じがしました。……語彙力はどこ!? という感じの感想になりますけれども!
すごくいい恋愛小説でした。
歌で自然を操り魔物から人々を護る“楽師”。中でもエルネスティーヌは誉れ高き<歌姫>として君臨していた。しかしある日、魔物に歌声を奪われてしまった上に反逆の疑いをかけられた彼女は、事件解決まで聖フィデール楽院に身を隠すことに! なのに、超堅物優等生のオリヴィエに「音痴は今すぐ退楽しろ」と脅されて——!? 不協和音が奇跡を起こす? 第15回えんため大賞特別賞受賞作登場!(裏表紙より)
貧しい生まれながら、天賦の才能によって、幼い頃から王宮で暮らし<歌姫>として君臨して人々を救ってきたエルネスティーヌ。しかし、口を開けば必ず幻滅される、高慢な少女でもあった。そんな彼女が、謎の強力な魔物に襲われたせいで、音痴になってしまった。ほとぼりが冷めるまで楽院に身を隠すことにしたけれど……。
エスティ(イヴリーン)の、気持ちいいくらい能力に裏付けされた自信と高慢ちきなところと、口汚いところがとっても楽しかったです! って書くとどんなひどいヒロインだ……という感じなんですけど、このイヴリーンのひねくれちゃった経緯を想像してみると、仕方ないかなあと思いつつ、彼女の強さがすごく際立っていて、かっこいいと思うんですよね。くわえて、ちょっとおばかなところも含めて、かわいいなあと思います。
魔物との対決はそれでいいの? とちょっと思いましたが、次の自分へ、と新しい自分を見つけるために努力するイヴリーンは素敵だと思います。リュクシオルとのコンビも楽しみです。
子どもと本の出合いを創る━━多メディア時代の今日、読書がもつ固有の価値と、子どもの本の魅力、手渡し手である大人の役割を考える。(帯より)
子どもに本を、ということが提唱されたその後の動きをさっとまとめた一冊。2006年の刊行なので、もう十年前ですね。近年の出版では、という話に「ファンタジーブームのゆくえ」という項がありますが、ずいぶん変わったようにも思います。少なくとも、和製ファンタジーはだいぶと大きな市場になったように感じます。
実際の本のタイトルを引いてきつつ、子どもと本の関わりの動きがまとめられていて、どちらかというと、読書ボランティアや地域文庫といった、つなぎをする役目の人から見た一冊でしょうか。今度は、文学から見た、子どもと本の本を読みたくなりました。
児童虐待を解決する突協約はない。さまざまな立場の人が問題に関心を持ち、考え続けるしかない。
日々、報道される虐待事件。しかし、個別の事件報道だけでは虐待問題の深層は見えてこない。虐待問題の本質と解決策を徹底的に現場から探り、多くの反響を呼んだ朝日新聞大阪本社編集局発のルポ!(カバー折り返しより)
2008年の本。これを読んだその時の報道等に影響されたわけではないのですが、確かに一つの言葉や枠にはめただけでは、当事者のことは私たちにはまったく届かない。判決結果だけを見てもわからない。環境の問題もあるし、心の問題もある。読みながらそういうことを考えました。この歳になった自分は、いつその加害者になってしまうか分からないのが、怖いなあということも思う……。
平凡な高校生の青は、実はラノベ新人賞の下読みのエキスパートだ。そんな彼は、ある日応募原稿の中に、同じクラスの氷ノ宮氷雪の作品を見つける。“氷の淑女”と呼ばれる孤高の少女が、フォント変えや顔文字だらけのラノベを書いて投稿している!? 驚く青だが、その後ひょんなことから彼女の投稿作にアドバイスをすることに。評価シートに傷つく氷雪をあたたかく導き、世界観、キャラ設定、プロットと、順調に進んでいくが……。爽やかな青春創作ストーリー!(裏表紙より)
とってもすっごく丁寧な投稿作指南書……という感じがしました。青のアドバイスはちゃんとこの作品そのものに反映されていて、とてもとても分かりやすい。あとがきにありましたが、下読み原稿を読んでいる青が発する言葉は、きっと野村さんの気持ちも反映されているんだろうなあ。わが身には痛い部分もあったりも……。
少年向けラノベの主人公の少年、というのに昔からちょっと苦手意識があったのですが、青はとても好きです。優しいし、突飛じゃないし、説得力がある(青自身も登場人物の描き方についてアドバイスしていますが)というか、違和感がないような気がしました。
ラストの余韻もすごくよかった。こっちまでにっこりしてしまった。
……しかし、この本、それなりに混んでいる電車の中で読んでいたのですが、極太フォントのページが突然現れて「うわっ」とつい周囲を気にしてしまいました……笑 隣に立っててたり、後ろに立っていたら、そんな気持ちがなくともページが読めるわけで。多分仕事帰りのおじさまたちは「このおねーちゃんなんか変わった本読んでるぞ」と思ったような気がします……。
風営法の改正に合わせ、club indigoは営業形態を変更。若手ホストが接客する、よりカジュアルな二部を設け、集客に効果をあげていた。だが、イマドキな若手ホストは都市伝説がらみのトラブルを運んでくるし、晶は豆柴と殺人事件に巻き込まれるし、憂夜が休暇を取れば厄介な問題が発生するしで、相変わらずの大騒動。新キャラクターも登場し、ますます好調のホスト探偵団シリーズ。(裏表紙より)
インディゴの夜シリーズ4巻目。若手ホスト手塚くんと、刑事柴田に、かわいいけれど底知れない実力を秘めていそうな後輩早乙女くんが初登場。「7days活劇」「サクラサンライズ」「一剋」「Dカラーバケーション」の四本収録。インディゴのメンバーはちょっと影が薄め? 手塚くんが結構出ずっぱりという感じ。
「サクラサンライズ」は、オチが読めるんですけどやっぱりこういう話すきだー! 「一剋」はいつものライトなノリもありつつ、刑事ドラマみたいなシリアスさもあって面白かった。
本も本当に面白いんですけれど、この作品、読んでるとドラマの方も見たくなる。
「楓。オレら、跡つけられてるぜ」
「え……。んもう、弥比古のせいなんだからねっ!」
——江戸名物男装のじゃじゃ馬姫と顔だけが自慢の(?)南町奉行の次男坊コンビとなれば、今やゆっくり買い物もできぬ有名人。
今日も追っかけの町娘たちをやり過ごしつつ、しっかり巾着切りの盗人を片づける。そんな二人の鮮やかな活躍ぶりを、どこかから飛んできた黄色い蝶が、しかと見届けていた……。
その日の夕刻。神田明神下の京菓子屋・美濃屋では一大事が起こっていた。嘉一の祖母・帰蝶が熊野から突然やってきたのだ! なぜ江戸に? 物見遊山? いいえ、嘉一の花嫁探しのために!
ターゲットは——楓!?
一方、近頃江戸でもちきりの話題と言えば、一つは神隠し騒動、もう一つが陽炎座付きの人形使い・紫狼。紫狼の妖しい魅力に楓はときめくが——。
痛快大江戸エンタ第三弾! 恋模様も大江戸ラブスクランブル!!(カバー折り返しより)
第三巻。久しぶりに読んだので、前の巻の内容を忘れている……。
弥比古の刀が、髭切だというところに「おっ」と思うのは、今だからですね。前は堀川国広だったというのをさらっと書いているのにアンテナが立ってしまう。あとで前の巻確認しとこう。
吉原の太夫の神隠しと人斬り、これらの事件の関係性は? となったところで、あやしのものと関わってくるところが面白い! 楓と弥比古の恋愛模様もいい感じに絡んできたりして、ここからだというのに、続きが……。
弥比古の男らしいところと優しいところがすごく好きなので、最後の「お前のね、声が聞こえたんだ」という台詞にときめきゲージがすごく上がった。自分でも訳がわからないくらい上がった。
パロス第四王朝末期。時の君主アルディウスに一人の美しい王女があった。名はエルミニア。玲瓏にして燃える瞳。白馬を駆り剣に闌け、凛然と痩躯に男装を纒う佇いは、神話に顕れる美少年の姿だった。十八歳を迎え、結婚を父アルディウスより厳命されるが、時まさに隣国カウロスとの国交に揺れ、宮廷は叛徒の策謀に喘いでいる。運命の扉は、洗濯女フィオナとの出逢いに開く。恋か。自由への希求か。エルミニアは渦巻く野望の中、秘宝の剣を手に王国の存亡をかけ、栄光という名の、悲劇という名の闘いの途に独りひた疾る。
現代の語部が紡ぎだす運命の物語。感動に彩られ書下しで堂々の登場。(カバー折り返しより)
剣の達人であり、常に男装する美しい王女、エルミニア。結婚の命令をはねのけた彼女は、偶然出会った洗濯女の少女フィオナに恋心を抱く。フィオナと添いたいと願うエルミニアは、剣闘大会を催し、自分に勝った者と結婚すると誓う。自分が勝てば、フィオナと結婚すると宣言することを夢に見て。
という、ヒロイックファンタジーです。女でもあり男でもあるヒロイン・エルミニアと、乳兄弟でエルミニアに思いを寄せるユリウス、心優しい野の花のような少女フィオナ、国を手に入れるためにエルミニアを罠にかける隣国の王子ファオン。この関係図だけでもうごろごろしてしまう。
最初、男勝りに「結婚しない」なんて言っているのかななんて思っていたら、本当に女性の体に男のたましいが宿った、というように書いているので、すごいなあ、なんて思いながら読んでいました。
そして、そういう状況で、乳兄弟のユリアスの不憫さが光る……笑 彼は本当にいいやつだ。
OL時代に貯めた200万円を携えいざ東京へ。イラストレーターになる夢に近づいたり離れたり、高級レストランに思いきって出かけ初めての味にドギマギしたり、ふと老後が不安になり相談窓口に駆け込んだり。そして父から毎年届く御中元に切なくなる。東京暮らしの悲喜交々を綴るエッセイ集。「故郷は捨てたのではなく保存した」などの川柳付き。(裏表紙より)
『すーちゃん』などの漫画でおなじみ、益田ミリさんのエッセイ。この空気感、心地いい……。そして感じるひたひたとした寂しさ。おひとりさまでもいいけれど、やっぱりちょっと、一人は寂しい。
益田さんのエッセイは、普段過ごしているうちに、心の隅でちらっと思うことをすくいあげているところがすごいなあ。似たようなこと、考えたことある、なんて読みながら思いました。