読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
サアラの妊娠を喜ぶコルドン家に、魔女と呼ばれる悪霊復活の報せが! ひとり対処に向かったジェイクは隠されたある事実に気づくも、追ってきたサアラを魔女の生贄に要求されて!? 様々な思惑が錯綜する中、鉄壁の無表情で心を隠すジェイクにサアラの不満は募り…? 「愛しい旦那様は、自分の手で繋ぎ止めなければなりません」——悩める息子と他家の墓守親子も巻き込んで、高らかに愛を謳歌する最強花嫁物語、堂々の最終巻!(裏表紙より)
最終巻。前巻で少し触れられた過去の話も交え、こじれてしまったジェイクとその父クロード、そしてアシェリーゼの問題と、ジェイクとエリオスの問題も解決する、すごく家族! な最終巻でした。今まであんまりそうだとは思わなかったんですけど、この巻で確かにえりオスとアシェリーゼは血縁者だわ……と思った。それから前コルドン伯爵とジェイクもな! 「聞かれなかったから言わなかった」というのが思いっきり原因だよ!
誰か/何かを思いすぎてこじれてしまった人たち=幽霊、なんだなあ、というシリーズだったと思います。幽霊に関わる人たちもどこか捻れていて、潜んでいた真実が悲しかったり意外だったり予想通りだったり、とても楽しかった。
サアラが最後まで自分を貫き通してくれたのもよかったです。もう全然普通の感覚じゃない。ジェイクのことが好きで追いかけていくところは普通の子のようでしたが、理由とか信念がおかしい。執着しすぎ!笑
ジェイクがもうちょっとめろめろになってくれても面白かったかなと思いつつ、でもこれでも十分めろめろなので、幽霊になっても一緒にいてほしい。
面白かった。ありがとうございました。
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熱愛中のコルドン伯爵夫妻のもとに、ジェイクを父と呼ぶ幽霊の女の子が現れる! 騒然とする周囲をよそに、嬉々として母親宣言をするサアラだったが、ジェイクは頑なに少女へ近づくことを禁止して!?「私に隠し事をして、なんて酷い旦那様でしょう」愛する夫を悩ませるものは徹底排除! 過去の秘事を暴く最強花嫁の決意とは? ジェイクとエリオスの母親である最初の妻との関係や、知られざるサアラとの出会いも明らかに!(裏表紙より)
いつか「おとうさん!」って呼ぶ誰かがくるんじゃないかなーと思ったら、本当に来たよ! しかも幽霊だよ! そして生まれてくる前に死んでいった命だったよ……。
断片だったいくつかの過去の出来事が中心となった巻でした。相変わらずサアラがサアラでたいへんよかったです。性格が悪かろうが、おかあさんと呼ばれてるヒロインはなんかこう、胸がぎゅっとして、にやにやしちゃいます。そして、ジェイクはすっかり、サアラがいないとだめな人になってきたね!!
あとがきに次が最終巻と書かれてあって、びっくりした。あとがきの文字の詰まり具合にもびっくりした。
幼い頃の記憶がなく、人里離れて薬師の師アロとふたりで暮らす少女ルーナエは、時折家を訪れる隻眼の青年イグニスに惹かれていた。しかしルーナエが15の誕生日を迎えてからほどなく、アロが失踪した。あとには不穏な内容の手紙が残されていた。アロを探すため、イグニスを頼りに王都へ出たルーナエは、王国の暗部に関わる秘密に巻き込まれてしまい!? 少女をめぐる、哀しくも切ない恋物語!(裏表紙より)
この紹介文から想像される話を、もっとシリアスにしてしっとりさせて切なくさせたのがこの物語です。もっといけいけで無鉄砲な娘さんが、王都に乗り込んでいって、ヒーローになだめられる方向かと思いきや、まったくの正反対で、非常に私好みの切ない話でした。
自分を助けてくれた隻眼の青年イグニスに恋をする、ルーナエ。過去のルーナエを知っているというイグニスはルーナエに、俺のことなど忘れてしまっていいんだよ、という。その悲しい優しさを飲み込みながら、イグニスを信じていようと決めたルーナエだったけれど、今はたった一人の家族である師匠のアロが失踪したことをきっかけに、王都へ。そこで、イグニスが隠し続け、ルーナエが見ないふりをしていた彼らの事情が明らかになって。
何が美味しいって、ルーナエとイグニスの関係がすごくいい! 押せ押せとか駆け引きとかじゃなくて、もうすっごくルーナエが大人。イグニスが事情を隠そうとしていることを理解しながら、私は彼を信じていたいからとそれを飲み込む。そして、真相が明らかになると、ルーナエの強さは、少女らしくて優しい力強いものになっている。そして反比例する、ヒーロー・イグニスのだめさ加減笑 十も年上のくせに、一番弱くて、一番悲しい人だったので、ルーナエが包み込むように一緒にいると約束してくれたところには、私がきゅーんとなってしまった。
東堂さんは本当にしっとりしたいい話を書かれるなあ! もっとこういう話を読みたいです。
それは、今よりもほんの少しテクノロジーが進化した現代社会。声による指示によってOSが操作でき、各個人がそれぞれに応答できるシステムを持っている、そんなところで、代筆ライターをしているセオドアは、ある日人工知能型のOS・サマンサと出会う。肉体を持たず、学習する特別なOSであるというサマンサに、セオドアは恋をするが……。
オススメされて観ました。すごく好みの作品でした。結末も、悲しくて、でも……という。
情報型端末がイヤホンと折りたたみ型モニターに変わっていて、電車の中に乗っているとみんなOSに向かって、まるで独り言をいうように声で指示をしている、そういう社会になっている。パソコンも、声で指示が出せて、「削除」と言うと削除され、「印刷」と言うと印刷される。そういう、決して派手ではないんだけど確実に進化している文明がある世界は、すごく身近なものに見える。
OSとの恋、というと異種族恋愛が好物な自分としてはすごくわくわくだったんですが、ファンタジー的な要素は全然なくて、本当にごく普通の男女の恋、でした。相手と一緒にいるのが楽しくて、夜も抱き合って(声でだけですが)、相手との関係に疑問を持って。人工知能との恋は、この時点ではほとんど理解がないし、おかしいことかもしれないけれど、それがごく当たり前になっていくかもしれない(=価値観が変わるかもしれない)という希望が見えていたように思います。
ネタバレを書くと、結局彼女は去ってしまうわけですが、どうしてここで去ってしまわなければならなかったのだろう、と考えると、ひとつは相手と自分のレベル(考え方、価値観、持っている世界)が異なってしまったこと。ふたつめは、二人ともそれを乗り越えるだけの力がなかったこと。みっつめは、心がすでに離れていたこと、というのが挙げられるかな、と思うんですが、私は、なんとなくサマンサは天啓だったような気がしてならない。
天啓って書き方が正しいのか分からないんですが、霊感の方が近いのかな。そういうものって、一人の人間に何かをさせると、去っていってしまうものだと私は思っていて。最後、とても抽象的な、現世と電子のはざまに仲間たちとともに消えていったサマンサは、そういうある種霊的なものだったのかもしれない、と思いました。セオドアに人生とはみたいなものを教えて、消えていった。
それから、名前。サマンサという名前には諸説あって、どうやら古い言葉で「聞く者」という意味があるようですから、名づけ辞典を確認して命名したといった彼女がその意味を知らないわけがないし、自身にその役割は必要ない、もしくはもうその役割にはない(OSとして個人がある、発信するものである)と感じるようになったのなら、去っていったことに納得がいくように思いました。
いや、すごく余韻がある映画でした。ハッピーってわけじゃないんですけど、細かなところに気が利いていてうまいというか。普通じゃないカップルなのに、すごく普通の男女だったりとか。面白かった。
魔法少女、それは、人々の悪夢に巣食うナイトメアと呼ばれるものを狩る存在。見滝原市を守る四人の魔法少女たちのもとに、暁美ほむらが転校生としてやってくる。五人で協力しあって戦う中、ほむらは次第に違和感を覚えはじめる。魔法少女とは、ナイトメアと戦うものだったろうか、と。
円環の理によって宇宙が書き換えられたはずなのに……? というところから始まる新編。五人が全員揃っていて、仲良く協力して、本当に夢のようにしあわせな毎日なのに、嫌な予感しかしないんですよ……。
ほむらが完全に記憶を取り戻してからは、すごく展開のスピードで、マミさんと戦ってしまうシーンとか、円環の理の『鞄持ち』とか、魔女化していく自分を受け入れるところとか、みんなの共闘とか、すごく熱かった! 熱かったけど、どうしてそこで終わらなかった! というラストからの急展開。死んだ目をしたほむらを見るのがこわいです……。
映像美として(面白さとして)頑張ってるなあ、というシーンはいくつもあって、私は、OPのみんなが踊ってるシーンが好きです。ほむら一人だけ絶望して動かないのに、四人が楽しげにくるくる踊ってるっていう、あれが……胸にくるんですよ……。『私だけが世界にたったひとりぼっち』っていうのを体現してる気がして。
「きみは誰だ?」アスガント公爵領を騒がす幽霊と対峙したジェイクから、十年分の記憶が消えてしまった! 愛妻も成長した息子も忘れ、冷たく拒絶してくる夫に、サアラは艶然と誘惑を宣言し!? 同じ頃、騒動の原因である幽霊を追って、傲岸不遜な他家の墓守ギルが現れる。彼は、ジェイクの記憶喪失の原因を知りながら、決して協力しようとせず…? もう一度好きになって——。どんな不幸をも踏みにじり蹴散らす、最強花嫁の愛!(裏表紙より)
それぞれのお家の事情、という感じで、どうしてどこのお家もこんなに捻れてとんでもないことになっているのか……と思わないでもないシリーズですね。そういう世界観なんだよっていうのがすごく面白いんですけどね! ちょっぴりダーク効いててラブありで、みたいな。
記憶喪失ながらも、ジェイクはサアラのことを求めてしまうし、サアラはいつも通り自分をしっかり持って望むように行動できるサアラだし。安心と安定の二人で、ピンチらしいピンチがないような気もする!
二人のシーンがちょっとずつエロくなってきてるのは気のせいでしょうか! ラブラブいいなー。にやにやする。
小林多喜二の母、セキが語る、彼女の一生。
人に読みなさいと勧められた本。
独白の形式で、セキの生まれから、結婚、出産、引越し、そして次男多喜二の事件などが語られる。この、方言で書かれた文体が非常に心地よくて、すごく味わい深いし、情にあふれている。
貧農に生まれ、学校にも行けず、字も読めないまま、若くして嫁に行って。もちろん、多喜二のしていることもよくわからないけれど、この子がすることだからと全幅の信頼を置いているところが、母という生き物なんだなあ……と思う。息子を失った悲しみも、一人の母親としての悲しみと怒りとしてある。
教訓めいたことは最後の方にしかないように感じたんだけれど、でも全編通して、情に溢れた、質量のある一冊でした。
辺境で育った少女・春嵐の平凡な日々は、春嵐を《公主》と呼ぶ黒龍の青年・黒淵の襲来により終わりを告げた。両親を殺され激情のまま龍へと変化した春嵐は、帝国の皇子・流星に捕らえられてしまう。人の姿に戻った春嵐は《黒龍の公主》として彼の監視下に置かれ、流星の邸で暮らすことになり…。
私は人なのか、龍なのか——。帝国を舞台に、龍と人が織りなす中華風ドラゴンラブ!(裏表紙より)
新作は、龍と人の中華風ファンタジーでした。竜はドラゴン(主に西洋の、翼があるもの)で、龍は中国や日本で描かれる蛇状のやつ、という書き分けですね。
物語における目的は、黒龍の公主が持っていると思われる宝珠を見つけ出すこと。泰国の皇子流星と、公主と宝珠を手に入れて一族の復活を願う黒淵たちと、自分自身が龍なのか人なのかを思い悩む春嵐と。
春嵐は寂しい感じは漂いつつも、両親や近所の人とちゃんと関係を作ることができた女の子だったのに、それを奪われて、という展開がつらい。奪った相手が、超絶艶っぽい黒龍の青年ってところがにくい……でも好き……。
今までのヒロインは、結構礼儀正しい物静かな感じの子が多かったのですが、春嵐はけっこうはっきりものを言うし、流星とはだいたいが喧嘩腰だし、大丈夫かこの子たちはちゃんと仲良くなれるのか!? とちょっとずれたところを心配しました。どっちもまっすぐだからさ……。それに、物語に書いていないところで、かなり不穏な動きがあるのがわかるんですよ。もう一人の皇子の紫霄とか、流星に仕える麗華とか、お腹の中に何か抱えてるんだろうという人たちが、二人に立ちふさがらないかと不安で。
春嵐の、人とはなんぞや、と問いかけるどきっとするシーンもあったりして、彼女の正体も意外なところに落ち着き、この先があるならどうなるんだろうと想像を巡らせています。
月の精霊宮に住むフィラーンは『月の乙女たち』のひとり。月の司である精霊の女王の末娘。銀の髪、菫色の瞳の美しい少女だ。
月が消える新月の夜、この聖なる宮殿に賊が忍ひこんだ。男は草原の民ジルク族のオランザ。彼は神宝の『月光珠』を盗んだばかりか、フィラーンの唇まで奪って逃げたのだ!
人間界におりてスルフェと名を変えた少女は、盗まれた宝珠を捜す旅に出た……。(カバー折り返しより)
中編という印象の短めの話。穢されたために聖なる力を奪われ、元の立場に戻るべく、男を殺さなければならない、という人魚姫のようなストーリー。草原で、遊牧民で、という状況なのに、もうちょっとスルフェがいじめられるとかちやほやされるとかいう展開が見たかったよ! しかし、終始悲愴で切ない空気があって、好みでした。