読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

教室内ヒエラルキー上位の「リア充」(=現実の生活が充実している)女子グループに属する小林アン。中学二年生の四月、突然友人たちから無視されるが、同級生の「昆虫系」(=イケてないキャラモノ男子)、徳川勝利の言葉をきっかけに仲直りする。しかし、家や教室に絶望感を抱くアンは、自分と共通する美意識を感じる徳川に「私を殺して」と衝動的に依頼する。ふたりが作る事件の結末とは——!(裏表紙より)
割と死にたい気持ちでいるところにこれを読んで、腹の奥にぐうっとねじ込まれるような重みを感じて、ちょっと生きてる時間を得た、そんな読書でありました。
バスケ部所属リア充女子と、キモ系男子の、誰にも知られることのない秘密のやりとり。それは恋愛ではなく「私を殺して」というオーダーメイド。中学二年生という微妙な年頃の、ダークなものに惹かれるとか、死や殺人やグロテスクなものに興味を抱くとか、そういう言葉でくくりたくないんだけど、自分に秘密の場所を持つ感じ。それを荒らされることの瞬間的な怒りや絶望。すごく、実感する。
私の精神状態があれだったせいで、結末にはちょっと不満も抱いたりしたんですけど、でもきっと後からこれでよかったと思うんだろう。ほんの一時の、でも確かな絶望で死にたいと思ったことを、忘れないでいられることは幸せなことだ。その傷を話せるようになることは、大事なことだ。

「君への罰は俺との結婚だ」稀代の少女騎士・シェリーは、舞踏会で急に口づけてきた王子・ユリウスの頬を叩いてしまう。でも下された処分は意外なもので!?有無を言わせず王宮に召し上げられ、夜毎の褥で甘く激しい愉悦を教え込まれるシェリー。——私、こんなに淫らな身体だったの? 自分の変化に戸惑いつつ、意地悪で優しいユリウスに身も心も蕩かされ惹かれる気持ちを抑えられない。だけどある人物が、彼がシェリーと結婚するのは、愛情からではないと囁いて…?(裏表紙より)
あらすじだけで大体話が分かりますね! 頭を恋愛脳に切り替えるために、久しぶりにTL小説を読みました。男装の少女騎士が、王子様に見初められる話です。
もっとがっちがちに男っぽいのかと思ったら、生真面目な普通の女の子で、そういうシーンでも非常に可愛かったのがびっくりしました。エロいなあ……笑 しかし、ちゃんと戦う人っぽいシーンもあったので、もうちょっとバランスが違っていたらすごく好みだったのに……いかんせんラブシーンが多すぎた。おなかいっぱいです。だがヒロインが可愛かったので良し!

なめ子、住まい美人に変身!
口癖は「掃除は、明日……」。片付けられないから、劣悪な環境で無気力になり、ますます部屋が汚くなる、という負のスパイラルにはまったまま厄年まで生きてきた辛酸なめ子。ある日、輝くばかりのマンションモデルルームに目を奪われ、購入を決意!はたして彼女は「片付けられる女」に変身できるのか?片付けベタを自認するすべての女性に贈る、引っ越しデトックス体験記!(裏表紙より)
もともとブログで書いていたものを単行本化して、文庫化したものなのかな? 部屋の掃除ができないと言いながら、片付けをし、でもできず、引っ越し先を物色し、引っ越しを決め、引っ越すまでの顛末記。やたらとスピリチュアルな方面のことを気にしているのがたいへん気になります。方角が悪いと体調が悪くなるものなんでしょうか。あと、こういう人はなぜ大金を用いて後悔しそうなものを揃えるのでしょうか……。

おばの館へ向かう途中、嵐にあった涼子と哲文は、不思議な館にたどり着く。涼子は、その館の持ち主である波路が、自分のよく知る千波とよく似ていると感じる。そして、導かれるようにして、一人の男が現れた。彼は、波路と結ばれるはずだった運命の恋人で。
館三部作の番外編? だいぶと昔に読んだので、館シリーズのことがよく思い出せないんですが、この前『影の姉妹』を読んだところだったので、こんなに輪廻転生について書いている人だったのか……とびっくりする。構造的には、すごく『影の姉妹』と似ているなあと思いましたし、やっぱり『雪の断章』を書いた人だな、という感じでした。
未来のことを知る女性が、時を超えて三つの家に遺産を受け継がせていく話なんですが、結局その後どうなったのかすごく気になる!

「君たち、世界を変えてみたくはないか?」
オチコボレ男子高に通い、死んだような毎日を送っていた「僕たち」は生物教師ドクター・モローの言葉で突如生き返り、世界を変えるために行動を開始する。その方法は——難攻不落のお嬢様女子高の学園祭に潜入してナンパをすること! 果たして「僕たち」の潜入作戦は成功するのだろうか!? 革命的おバカストーリーが炸裂する、ザ・ゾンビーズ・シリーズ第1弾!(裏表紙より)
生まれや立場が、社会的に弱かったり、恵まれなかったりする男子高校生たちが、周りからは落ちこぼれと見られながらも、仲間とともにそれぞれに革命を起こす話。
無理だと言われることを実現してやろう、と馬鹿をやりながら狡猾に、賢く、事件を解決する。こういう立場の人たちがたくさん出てくる話って、ともすると感想がすごく偉そうになってしまう気がするので難しいのですが、なんだろう、社会的には弱いから、精神的にも身体的にも強くたくましくなるのは当然なんだけど、読んでてすごく不思議な心地よさがあるんですよね。強さがうらやましくもあり、かけがえのない仲間を得ている彼らがまぶしかったり。
からっと書かれているけれど、死に向き合っているところもあって、面白かった。

娘ざかりを剣の道に生きたある武家の娘。色白で細面、けして醜女ではないのだが父に似て口がいささか大きすぎる。そんな以登女にもほのかに想いをよせる男がいた。部屋住みながら道場随一の遣い手江口孫四郎である。老女の昔語りとして端正にえがかれる異色の表題武家物語のほか、この作家円熟期の秀作七篇! 解説・桶谷秀昭(裏表紙より)
「鬼ごっこ」「雪間草」「寒い灯」「疑惑」「旅の誘い」「冬の日」「悪癖」「花のあと」の七編。商人だったり武士だったり町人だったり、尼さんだったり、出てくる主人公は色々な立場の人。ちょっとした陰謀や事件の話もあるんですが、人と人が交流することで生まれる、不和や優しさみたいなものが、すべての話に漂ってる。「冬の日」の男女や、「花のあと」の哀愁めいた過去の恋と現実のおかしみみたいなものが、すごくいいなあ。
時代小説はまったく初心者なんですけど、面白かった。

日本政府は、東南アジア連合SEAUnの首都シャンバラフロートに、シビュラシステムの輸出を開始。長く内戦状態が続くこの国で、海に浮かぶシャンバラフロートは、安全を保障された都市であるはずだった。だがその国からの密入国者が、テロリストとして日本に潜入。取り調べの結果、彼らは逃亡した狡噛慎也と接触した可能性があるとされ、常守朱は彼を逮捕すべく、シャンバラフロートに向かう。
時系列は鹿矛囲事件後か。この平和は日本だけというのがテレビ版ではところどころで暗示されてましたが、はっきりと日本の外側がどうなっているかが描かれる劇場版です。この世界の混沌さが垣間見えた気がして、ちょっとうっとなってしまった。
とにかく狡噛さんが出ます。ほんっっっとこのひと悪い男だなー!! そしていい男だわー……。ずるい。かっこいい。ずるい。思わず優しくしないでって叫びたくなる。お前相手が常守だってわかってて戦ってただろとか、上着渡したんかいとか、一緒の部屋で寝るんかい! とか。んでお互いに眠れなくて、自然と二人で喋ってるあれってもうさー。もうさー!!
ギノさんがすっかり丸くなって、涙出る。狡噛さんとしばらく一緒にいてほしい。お互いの話をしてほしい。なんだか、狡噛さんが甘えられるのはもうギノさんしかいない気がするんだー……。ひたすら、狡噛さんに「ひとりにならないで」って言いたくなってくるんですよね。
霜月ちゃんがもう完全に嫌な子になってしまっているので、できれば続きを作って救済してあげてほしい。もう無理なのかなー。取り返しつかないのかなー。彼女が喋るたびに空気が凍るのが、もう彼女自身を傷つけているのも分かるので、なんとかしてほしい。

幼馴染みと十年ぶりに再会した僕。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、僕には計り知れない過去を抱えているようで——その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる! 誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさもすべてつまった完全無欠の恋愛小説。(裏表紙より)
中学時代の幼い思いが大人になってもう一度、というところも、恋人同士のやりとりも、結婚してからのことも、ぎゅっと詰まったいい恋愛小説だと思って読み進めてたんですが、最後のオチ。最後の、オチ。これは、ない。あえて言うけど、それはないだろー!!? めちゃくちゃびっくりしました。ええー。伏線っちゃあ伏線だけど、ええー……?
それまでが本当に幸せな二人の、近づいてくる終わりへの焦燥も含めた恋愛ものだったので、どきどきしながら読み進めていたけれど、いきなりその展開はどうなんだ! こっちに来ると思ってたボールが明後日の方向に投げられて見えなくなった、みたいな感じで呆然としました。うーん、そこで何もかもなかったことにはなるのは……物語として驚きは必要だったかもしれないけど……別の終わり方にしてもよかったのでは……とか。
いやー、こんなにぶん投げられた感覚は久しぶりだったので、たいへん面白かったです。オチがたいへんアレなので簡単にお勧めはできませんが、映画見てみようかなあ。

かすみの秘密は、頬をぴしりと打つと涙をこぼす等身大の男の子の人形。学校で嫌なことがあると、彼の頬を打つのだ(「ぽろぽろドール」)。美しい容姿のあきらは事故で顔に酷い火傷を負う。事故前と全く違う人生を送る彼は、醜い恋人と別れた後、昔の恋人によく似た美しい人形に出会う(「僕が人形と眠るまで」)。人形に切ない思いを託す人々の物語。(裏表紙より)
人形といけないことをする、という危うい人たちが多いんですが、その中でも「手のひらの中のやわらかな星」は、中学デビューに失敗し、クラスでも浮いてしまった、田舎の女の子の話で、中学生の痛々しさと必死さと自分が何かになれるかもしれないっていう希望の危うさが、本当に好きで!!!!! ドール愛好家の人たちはこういうところから始まる人もいるのかなあ、と想像してみたりした。
「サナギのままで」は昔探偵ナイトスクープでやってた、マネキンと結婚式を挙げた女の人を思い出した。

親方さまと邇々玉さまが奉公人とひっそりと住む山峡の隠れ里。皆んなが命を賭しても守りぬかねばならない重大な秘密——それは邇々玉さまの血脈を流れる不思議な遺伝子にあった。宿命の子、邇々玉、またその血を受け継ぐ子……。転生の命に繰り返しあらわれる悲劇の因子の消えるときはない。数奇な生涯を運命づけられた女たちの足跡を幻想の翼を伸ばして描く感動のSFロマン(カバー折り返しより)
隠れ里に住まう邇々玉(ににぎ)は、双子。だが、様子がおかしい。あちらの彼女が傷つくと、こちらの彼女が傷つく。まるで残像のように分かれる二人。
この不思議な少女が、庇護者である親方さまの子どもを身ごもる。生まれたその子を守ろうとする館の人々。だが、秘密を知られる危機のたびに、一人、二人と減っていく。ねえやの多瑞は、残された子を守るため、一生を捧げる。
秘められた娘と、彼女を理解し愛する男と、娘を託す庇護者と。三者の輪がくるくる回る、はっきりとは書かれてはいないけれど転生の物語。過去の人々が、亡霊のようにして子孫を守るために立ち現れるところは、因果というかすでに呪いに近いかもなあ、と思ったり。
佐々木丸美作品でも、だいぶと文章に癖があるんですが、単語の選び方やリズムがよくて、なんだか浸ってしまった。