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ひとしずくの星 (富士見L文庫)
 周期的に発生する天災『星の災禍』により、故郷と家族を失った少年・ラッカウス。今は聖都で神官としての教育を受ける彼だが、その心中には常に疑問があった。
「『星の災禍』とは何なのか」
 次の犠牲者が出る前に答えを知りたい。衝動的に禁忌の森へと忍び込んだ彼は、無垢なる少女シースティと出会う。彼女に惹かれ、人目を盗んで森に通うラッカウスは知らなかった。彼女が、触れてはいけない世界の秘密に繋がっているということを…。
「シースティ。君を悲しませたりしない。この先ずっと」

美しくて寂しくて、とても透き通った物語で、あとからじわっと沁みるようにして切なさを覚えて、それを大事に抱えて生きていたいような、ささやかなお話だったように思います。
巫女ヴィリヤの力の恩恵を受けて、小さな奇跡の力を用いる神官。星が降ることによって人が死に絶える『星の災禍』を生き残った者は、必ず強い力を持つため、神官となるべく修行を積む。そして、神官は、多くが孤児や、家族に見向きされない長男以外の子どもが多い。そんな、『星の災禍』を生き残った少年ラッカウスが、禁じられた森の塔に住む、感情や言葉を知らない少女が星を受け止めるのを目撃したことから、世界の秘密につながっていく。
ラッカウスと、シースティと名付けた少女の交流が、暖かいのに悲しい予感しかしないのがなあ……。一緒にどこかに逃げよう、という夢を、必死にあがいて抱えたラスト周辺も、その後の彼の選択も、悲しいけれど綺麗で。
この物語に登場するいろんな人が、それぞれの意味でひとりぼっちだというのが分かる瞬間に、ぶわっとこみ上げるものがありました。素敵な物語でした。
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