忍者ブログ
読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
[267]  [268]  [269]  [270]  [271]  [272]  [273]  [274]  [275]  [276]  [277
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)
優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度……。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく——全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。解説/柴田元幸

おおおおお、面白かったー! 面白かった。面白かった……。
ネタバレになっている可能性もあるので、以下注意。

キャシーたちがいったいどういう子どもたちなのかというのは最初から大体分かるように書かれていて、その匂わせるところから、さらっと当然の事実へと移行する書き方がすごい。主人公の視点から見える、寄宿学校の生活、人間関係、子どもが大人へと抱く感情の諸々が、特殊な設定を踏まえているのにごく当然のもの、ありふれたものなのに、感傷に満ちていて、最後に「やっぱりあなたたちは特別で、普通の人間ではなかった」と否定されたときの! どうしようもない痛み!
解説にも書かれていましたが、一人称なのに感情に走るところが見られず、きっとずっと何度も、テープを繰り返すように繰り返されてきた物語なのだろう、淡々とした語りが続く。その乾いているのにもの悲しい感じが、もうすごく好き。
映画も見ようと思いました。
PR
ユマニチュード入門
魔法? 奇跡? いえ「技術」です。
認知症ケアの新しい技法として注目を集める「ユマニチュード」。
攻撃的になったり、徘徊するお年寄りを“こちらの世界"に戻す様子を指して「魔法のような」とも称されます。しかし、これは伝達可能な《技術》です。
開発者と日本の臨床家たちが協力してつくり上げた決定版入門書!(帯より)

クローズアップ現代やあさイチで紹介されたと帯にある。認知症ケアの技法「ユマニチュード」について、イラストつきのカラーページでわかりやすく解説したもの。具体的な実践例ではなく、あくまで入門という感じです。もし勉強するんだったら、どうすればいいのかな。
ユマニチュードは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」を基本として徹底させたもの。介護職が本当に忙しくて大変で、人が足りなくて回らないのは分かるんだけれど、こうしてほしいなあと思うことが書かれています。ちゃんと目を見て話すとか、いきなり部屋に来て「○○しましょう!」と強制しないとか。治療なのか介護なのかいうバランスはかなり難しいと思うけれど、人間らしく扱わなければならないというのは先日読んだ『介護の基本』にも載っていたので、浸透していくといいなあ。
トラッシュバスケット・シアター (角川文庫)
サンデー洋画劇場の「ドラキュラ」に脅えて、台所のニンニクをチェックしたのも、レンタルビデオ店で借りた「ドリーム・チャイルド」を編集し直すという奇行に走らせたのも、渋谷で中年の婦人にただチケットをもらわなかったら、「トレマーズ」をこんなに人に勧めなかったのも、「キングコング」を観に行く約束の途中で、凍った路面で滑らなかったら、「ラヴレター」が生まれなかったかもしれないのも、すべては、必然だったのかもしれない。映像作家・岩井俊二の原体験的カルトムービーを絵と文で綴った、初めてのエッセイ集。(裏表紙より)

おお……面白いぞ……と思いながら読む。映画に交えて自分の子どもの頃の話をしているんですが、子どもの頃見た映画の特別感がわかる人には面白いと思う。どうしてあの頃、映画ってちょっと怖くて、ワンシーンとかが刻み込まれてずっと忘れられないのかな。「トレマーズ」観てみたい。
ダンボールハウス
ダンボールハウスと呼ばれるものを、実際にお宅訪問して、スケッチしたり聞き取りしたものをまとめた本。こんな本もあるのか……! とすごくびっくりしたし、興味深かった。小屋型、テント型、小屋+テント型、モノ構造体型、寝袋型、キャンピングカー型、無セキツイ型、ロープ型、などなどのタイプがあるとか、本当によく見たよなと。ただの卒業研究じゃないよこれ!
2005年の発行なので、今はまた行政とかの状況によって変わっているだろうけれど、人の住む家ってすごいなあ。
余談ですが、この本自体も、ジャケットがダンボールの色と質感に似せているので唸ってしまいました。
半翼の逃亡者 (富士見L文庫)
 翼を持つ民が住む北部と、翼なき民が住む南部。相争ってきた両国間でついに和平交渉が始まった。その席で、北部の女性外交官フェリータは、同じ和平への志を秘めた南部の大使アンドレアと出会う。
 立場を越えて信頼を深める二人だったが、その彼は今、物言わぬ姿でフェリータの前に倒れていた。
 捕縛された彼女の無実の訴えは北部への憎悪にかき消された。絶望するフェリータ。その前に現れたのはアンドレアの亡霊だった。
 戦争を回避するため、真実を求めて逃亡するフェリータとアンドレアが辿り着いたのは——(裏表紙より)

立場の弱いながらも才能を認められつつある女性外交官フェリータ。若いながらも人に好かれ人道を敷く大使アンドレア。目的を同じくする二人だったが、フェリータが目覚めた時、アンドレアは血にまみれて倒れ、フェリータの手には彼の血に濡れた短刀があった。真犯人を見つけようとするフェリータが遭遇したのは、殺されたはずのアンドレア、の亡霊だった。
有翼人と、彼らが人間へと分化した世界観。物語は、人間側から有翼人に対する差別が障害となって事件化している。根強い偏見や差別が、悲しみを生み、この事件を生むことになった。なんだろう、世界が悲しんでいてどうしようもないことがある中で、結局すべては、人の物語、人の生きることにすべて繋がってるんだなあ、と感じた物語でした。和平とか、壁がなくなる、そういったものはすべて私たちのすぐそば、今この瞬間に失われるかもしれない大切なものたちに関わっていることなんだ、と他人事じゃなくなったというか。多分、それが見えていなかったのかもしれなかったのがアンドレアだったし、そう思ってしまったのが真犯人だったのかな、と。そして、フェリータはアンドレアと関わることでそれに気付けた。
フェリータが、少年、青年っぽい爽やかで凛とした性格でありながら、ちょっと可愛らしいところもあったりなどして、たいへん楽しかった。アンドレアは、生きていたらもっと楽しかったんだろうと思って悲しい。二人が成す未来を見てみたかったものです。
増補版 アサーティブ
アサーティブとは、「言いたいが、言えない」自分から「言えるが、言わない」ことのできる自分にかわること、だそうな。コミュニケーションの上で、感情任せにならない、自制しつつ、よく考え、自分の意思をはっきり伝えるためには、どういう風に考えていけばいいのか、という本。
私は「言いたいが、言えない」タイプで、どういう風に言えばいいのか、どうすれば角が立たないか、というのは文章にするとはっきり分かるんですけれども、普段の口がな、うまくないのでな……。でも、私は本当に、外ではあんまり直情的に反応しないタイプでよかったなあと思うことが多々あり……。人って、結構みんな感情的に物を言うんだなあ、と社会に出て思うようになりました。
ただ単にコミュニケーションだけじゃなく、例えば「新しい職場に勤めるようになったが、前の仕事の半分も忙しくないのに、みんな忙しいと言っている。改革案を示したが、みんな難色を示したが、どうすればいいか」とか、「近所の会合に行ったら、初対面の人にあなた嫌いと言われた」とか、読んでるだけでイーッとなる事例が載っていて面白かったです。
銀河英雄伝説〈VOL.20〉落日篇(下) (徳間デュアル文庫)
決着の時が近づいているのか——。数々の陰謀を企ててきたルビンスキーは捕らえられ、皇妃ヒルダと胎内の皇子を狙った地球教団の地下組織は、新帝都フェザーンから一掃されたかに見えた。そしてついにシヴァ星域において、ユリアン・ミンツを首将とするイゼルローン軍と、皇帝ラインハルト自らが率いる帝国軍との間で戦端がひらかれる。激烈な戦闘の後に生じた奇妙な膠着状態のなかで、ユリアンは若き覇王ラインハルトが病に倒れたことを知る……。不朽の大河ロマン「銀河英雄伝説」正伝、ここに完結!(裏表紙より)

終わったー!! はあああ、すごかったー……!
ちょっと駆け足感はありましたが、最後の一文がすべてを物語っていました。
帝国軍と革命軍の最終決戦は、こんな力技でいいんか! という気もしましたが、時が流れて様々なものが変わっていったからこそ、ここにようやくたどり着いたんだろう。最初から犠牲なしにそうしておけばよかっただろうなんて言えなくて、それぞれがその時に譲れないものがあるからこそ戦うのであって、だからこそ、手に入れたものを守り続けようとしてくれるんだと思うな。
しかし、若すぎる……。終わってしまうには若すぎる命だったよ……。ラインハルトは、本望だったのかなあ。燃え尽きて、輝かしい光を投げかけて、いってしまった……。そして、やっぱり泣いたのは彼が自分の皇子に友を与えていったこと! 片割れの存在は、最後の最後まで、ラインハルトに根を張っていたんだな……。

長いことかけて読みましたが、面白かった! 再アニメ化するならぜひ見ようと思いましたし、これで関連作品を漁れるぞ! わくわく。
最愛のキャラは誰かと聞かれたら……うーんうーん、ヤン・ウェンリーかなあ。密かにマリーンドルフ伯も好きだったりする。メルカッツ提督は最後まで素敵だったし。ミッターマイヤーも好きだなあ。というわけで、決められません!
風立ちぬ [DVD]
公開時に見に行ったので、二回目の視聴。
風が吹いたから生きなくては。というのは、清々しいような、悲しいような気がして、風が吹かないということはほとんどないから、ずっと、ずっと、生きていかなくては、というどうしようもなさを感じるなあ、と思った二回目でした。
二郎という人が、喜びも悲しみも一歩引いたところがあるようなのがずっと不思議な感じがしたんですけれども、ずっと道の途中にあったからなのか、最後にだけ声を詰まらせて「ありがとう」と言ったのに、やっぱりずっと苦しかったのかと感じました。ものづくりの人の苦しみ、けれど、それが人生のすべてだったから、最後になるまでその苦しみが見えずに超然と見えたのかもしれない。全部が終わって、その喜びも悲しみも、犠牲も何もかもが飲み込めたのかも。
世にも美しい日本語入門 (ちくまプリマー新書)
七五調のリズムから高度なユーモアまで、古典と呼ばれる文学作品には、美しく豊かな日本語があふれている。若い頃から名文に親しむ事の大切さを、熱く語りあう。

画家と数学者が、美しい日本語について語り合う。対談をまとめたもの。それぞれが、子どもの頃から触れてきたものの中で、美しいなと思ったものなどを紹介したり。
意味がわからないまでも童謡を歌って、大人になってあっと意味に気付く、というのに、そうそうとうなずくことしきり。「ふるさと」とか「赤とんぼ」とか、そのまんま歌ってた。歌詞の意味が分かるようになって、なんだかしっくりくる感じが面白いと思います。
冒頭で出てくる、藤原さんがやっていると書いていた、本を買わせて読書会をするゼミ、やってみたいなあ。勉強という名目で本が読めるじゃないですか。羨ましい……。
銀河英雄伝説〈VOL.19〉落日篇(上) (徳間デュアル文庫)
皇帝ラインハルトとヒルダの婚礼の儀を迎えた銀河帝国では、ローエングラム王朝の繁栄を祝う歓声に沸きかえっていた。しかしその裏側には、拭い去れないいくつもの不安要素が存在した。間歇的にラインハルトを襲う発熱は、原因不明のままであり、潜伏中のルビンスキーと地球教の暗躍は、旧同盟領の各地に混乱をもたらしていた。そんな緊張状態のつづくなか、ある報告が届く。イゼルローン要塞に、不穏な気配あり——と。それは、民主共和主義の命脈を守るため、ユリアンがはじめて自ら仕掛けた戦いだった!(裏表紙より)

落日とか副題にするなよなー! そりゃ、いつか日は落ちるけれども! という19巻は、ラインハルトとヒルダの結婚式から。着実に、ラインハルトにも終わりが近付いてくるのが、もうな……。
いろんなものがまた新しく移り変わっていく中、ユリアンが今後どんな指導者になっていくのか。去ってしまうのは誰で、続けていくのは誰か。最終巻、大事に読もう。
Profile
Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
Search
Calender
10 2024/11 12
S M T W T F S
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
Archive
Shopping
Analyzer
Counter
忍者ブログ [PR]