読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
リィとシェラは進級して、中等部の二年生になった。二人とも去年に比べて背も伸びたしリィは髪も少し長くなったし、ちょっぴり大人びたのである。
「十四歳になったら課外活動を始められるんだよ。いい機会だから何か一緒にできないかなと思って」とルウが言い出した。
それはいい考えだとリィもシェラも思ったものの、二人は戸惑った顔を見合わせた。
——何をやればいいのかわからなかったからだ。
どうやったってその存在だけで目立つのに、「一般市民」を目指して果敢に努力する(すでにこの時点でかなり間違っているのでは)金銀黒天使が始めることとは? 新シーズン開幕!(裏表紙より)
クラッシュ・ブレイズの続き。進級したリィたちが、新しく始めること。課外活動。というシリーズですが、新キャラ登場で、どうやら彼絡みの事件が起こりそうな気配。ちなみに怪獣夫婦はこの巻では不在。
宇宙連邦の存在する、近未来世界だということを思い出す謎解きでした。一部チートはあるものの、機械やら人工知能やらはリィたちは門外漢だからか、ばっさばっさ切って捨てる! 暴れる! というのはなく、人のことをよく見たり話を聞いたり、と比較的落ち着いた巻でした。それでも、ライジャ危機から救出はたぎった! 理解できねー! ばかじゃねーのという悪い相手を、ぎゃふんと言わせるのがやっぱり楽しい。
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森の中で逃亡生活を続けるカリエ。途中で同行することになった伯爵と息子フィンルの存在は、厳しい旅をなごませてくれていた。だが、それも束の間、フィンルを追ってミゼーマ宮の兵士が現れた。なんでもフィンルは王太子ネフィシカの実の息子であったという。驚くカリエだったが、その兵士らを娘のセーディラが恐るべき力を放って撃退するのを目の当たりにして、さらなる衝撃を受け——。(カバー折り返しより)
ユリ・スカナの女王バンディーカの過去と、カリエを中心にした渦が刻々と姿を現し始めた最終章三巻目。バンディーカの過去編をやってくれるとは思わなかったのでびっくり。そして面白い。女王で名君で、けれどそこには軽蔑とかどうしても覆せない、手に入らないものが存在したりとかさー! たぎるよなー!
そしてカリエは、今度は修道女。ここでも、受け入れられたり愛されたりするんじゃなくて、どうしても憎しみを向ける存在がいるとか。もえるよなー。
本格的に王宮が関わってくるようなので、次。
勤め先は倒産、泊まったホテルは火事、怪しげな新興宗教には追いかけられ……。不幸のどん底にいた相沢真琴は、葉崎市の海岸で溺死体に出合ってしまう。運良く古書店アゼリアの店番にありついた真琴だが、そこにも新たな死体が! 事件の陰には、葉崎市の名門・前田家にまつわる秘密があった……。
笑いと驚きいっぱいのコージー・ミステリの大傑作!
コージー・ミステリーという文字を私は最近よく目にするんですが、改めて調べてみると、密なコミュニティの中で起こる、暴力的表現がなるべく排除された推理もの、現代では恋愛要素も含む、ということなのか。勉強になった。
というわけで、葉崎市を舞台に、地元の名家と古書店を舞台にした作品。登場人物が多いんですが、結構それぞれの行動や立場がはっきりしていて読みやすく、でも最後はシリーズ物のせいかちょっと散らかったままになったような……という印象でした。でも面白かった! お金と、人の悪意と、思いやりと。あとちょっとぞわっとする部分もあって、推理もので描かれる悪意が好きな身としてはぞくぞくしました。
ロマンス小説を知っているなら面白いところがあると思います。この古書店アゼリア、ロマンス小説専門の古書店。ノーラ・ロバーツとかリンダ・ハワードとか全然詳しくない私でも分かる名前が出てきて、面白かった。これを参考に海外ロマンス小説を読んでみてもいいかもなあと思った。
有紗がメイドとして仕える大企業CEO、優しくて美形で密かに恋心を抱いてる誠人。二人きりになった夜、甘く口づけられ、あやまちを……。初めてを捧げて幸せに浸る有紗。けれど言い放たれる「これはただの遊びなんだ」やっぱり身体だけの関係? 恋を砕かれショックを受ける有紗。でも彼には本気の恋が出来ない心の傷があると知る。癒してあげられるのは「有紗だけ」いうことも!!(裏表紙より)
亡くなった父親から「恩返しをしてくれ」と言われて、お屋敷に押し掛けた有紗。奥様(誠人の祖母)に気に入られ、お屋敷のメイドとして働くことに。それも、何故かミニスカートのメイド服で。童顔でお化粧をしてやっと年相応に見える有紗を、誠人は恋の相手とは見ず。しかしとある出来事で意識するように。
ヒーローが冷たいというか心の傷のせいで少々わがままであり、ヒロインはヒロインでどじっこ体質の多少ほわほわ系なので、じれったいというか、すれ違いではなくずれているところがちょっとイーッとなりました。ヒロインはもうちょっと強く出てもいいのよ!
と思ったのですが、これだけじゃヒロインは弱いよなあと思ったところでその事情だったので、おーっと思いました。でもやっぱり、もうちょっと強く出てもいいのよ!
カリエが産んだのは、女の子だった。ザカールの宿命に従えば、男児であったはず。これは新たな女神の思惑なのか? 戸惑いながらもカリエは我が子を守るため、再び逃亡生活に入る。一方、首都ガンダルクでは、女王バンディーカがその座を長女ネフィシカに渡そうとしていた。婚儀には妹グラーシカもルトヴィアより帰国し、国中が歓喜に沸き返る中、思いがけない謀略が着々と進行していた——。(カバー折り返しより)
まだまだ序盤ですが、回る渦の外側から取り込まれつつあるカリエ。運命が彼女を目指してやってくるというひたひた感を感じる巻でした。
カリエたちが逃亡生活を送っているところが、らしくて好き。というか、やっぱりおむつの下りとかリアルで! 大変だよなあ、洗濯物は特に……。
ユリ・スカナ王家の事情が回りだして恐い。これ、絶対大波が来るよね……血族の血で血を洗う争いになるんじゃないか。グラーシカが揺れているので頼むから裏切ったり自責の念でどうにかなったりしないでくれー! と叫ぶ。
大祭のザカールを襲った大地震により、囚われの身からからくも逃れたカリエは、その身を挺して助けてくれたエディアルドとともに新しい旅を始めていた。胎内には、千人目のクナムとなるであろうリウジールの子を宿し、癒しきれぬ心の傷を負って……。しかし二人の逃避行を容認できない王バルアンは、執拗なまでにその行方をさぐろうとしていく。
流血女神伝シリーズ・最終章スタート!!(カバー折り返しより)
ザカールを逃れたカリエは、ユリ・スカナのイーダル王子の屋敷に身を寄せることになる。ザカールが女神の加護を失ったため、ザカールの民をエティカヤは飲み込もうとし、ユリ・スカナでは身体の弱った女王と王太子の確執が感じられ、カリエはそれらにまた巻き込まれようとする、という序章の巻です。
出産のあっさりさがリアルだよ! えてしてそういうこともあるよね経験ないけど! と思いました。なんだろう、すべてのことが女神や運命の導きによって、仰々しく語られるのも物語なんだけれど、あくまで地に足をつけている普通の人(精神的にはありえないほど強い)カリエのそういう日常の延長上にある物語が、やっぱりとっても面白い。
戦争で街を焼かれ、家も学校もみんな失ったぼく。東京の中学校に転校する当日、ぼくを迎えに来たのは、桜色に輝く不思議な飛行兵器とそのパイロットの少女、桜子だった。「乗れ、おまえの翼だ」——桜とリンクした戦闘機の適合者として選ばれたぼくは、桜子とともにその超兵器《桜花》のパイロットとなり、色気過多の先輩や凶暴な空母艦長に囲まれ、新しい仲間と災難続きの訓練、そして激化する戦争に否応なく巻き込まれていく。時を止め、永縁に舞い散る桜とともに、戦空を生きる少年少女の、美しくもせつない物語。(裏表紙より)
気付いた時には人と深く交流を持つことができなくなっていたぼく、仁川裕樹。国を分断した戦争(動乱と呼ばれている)によって両親を失い、戦線の移動とともに施設を転々としていた。次の行き先は九段下中学校。迎えが来るというその日、迎えにきたのは花弁のような機体の飛行兵器。そのパイロット、桜子。主要な登場人物が主人公を除いて女子ばっかりなので、ハーレム要素が感じ取れるのですが、それにしても悲しくて美しい物語でした……。
桜の木との適合者のみが、飛行兵器《桜花》のパイロットになることができる。今のところ全員が揃っていないので続きが読みたいと思うのですが、それにしても少年少女の眩さと切なさが胸にきて……。国やら大人の事情で振り回され、戦うことについて自問しながらも、大事なものと手を取り合っていこうとする彼らが本当に……眩くて……。
ヒロイン周りの設定も好きです。少女がそんな重苦しいものを背負って、強くあるのはとてもよいです。いい少年少女の物語でした。
月読——それは、人が亡くなると現れる“月導”に込められた死者の最期の思いを読み取る特殊能力者だ。投身自殺した女子大生の月導に残されていた殺人の告白。それは若者たちの錯綜する思いが招いた悲劇だった——。表題作など4篇収録。月読・朔夜一心が活躍する傑作ファンタジック・ミステリー。解説・大矢博子
月導(つきしるべ)という、人が死ぬと現れる、物体・現象などが存在する世界。月導の存在によって私たちの世界から分岐して、科学の進歩が遅れたその世界で、月導とそれを読み取る能力者によるミステリの短編集。読み始めからなんとなく違和感だったのですが、これ前作があるんですね。読まずとも問題なかったですが、読んでいた方が分かりやすかったのかもと思います。
全編とも、なんとなーく後味が悪い!笑 人の死とその最後に思ったもの、というものを扱っているせいか、最後まで気持ちよくめでたしで終わらないところが、いい味でもあります。でもやっぱりいい話を読みたかったですよ! ないわけではないんだけど!
月導というものがとてもいいものだと思いました。ミステリアスかつ、ファンタジック!
自衛隊演習場で、新兵器の実験中に暴走事故が発生。的場一佐率いる第三特別混成団が約460年前の戦国時代に飛ばされてしまう。一方、その影響と思われる虚数空間が日本各地に出現し、現代世界を侵食し始めた。的場たちを救出するため組織されたロメオ隊の一員として、救出作戦への参加を決めた元自衛官の鹿島は、タイムスリップで戦国時代へ飛ぶが、そこで待ち受けていたものとは!? 圧倒的スケールで贈るSF戦国アクション。(裏表紙より)
福井晴敏作品を求める人にはちょっと軽かったかな、という作品だったかなと思います。もっとどっしりがっしり、正義やら善悪やら人の尊厳やらを語ってくれるのが福井作品だと思うのですが、登場人物が多いのと短期決戦であることもあって、さっぱり終わってしまった。特に女性たちの事情がなんだかとってつけた感があって、どうしてだろうと首をひねる。もしかしたら私は怜という登場人物が嫌いなのかもしれない。
平成の文明を持ったまま消失した自衛隊の一団と、それらを救出、場合によっては対処するために送り込まれた鹿島たち。戦国時代で繰り広げられる戦い。爆発、キノコ雲、ヘリのホバリング、ランチャー、ミサイル、とほんまやったらえらいことやで! という爆発と音のオンパレードです。少々チープな印象を受けるのですが、それでも書ききったことがすごい。正直、もっと長く読みたかったと思う作品でした。
女三の宮の降嫁により、紫の上は源氏との愛にも世の中にも諦念を持つようになりました。そして、ひとつの密通事件が物語の様相を変えていきます。不義の子を抱きながら、源氏は晩年になって巡ってきた宿命を思うのでした。(カバー折り返しより)
紫の上を中心に源氏物語を追う三巻目、最終巻。いい歳になった光君の周りでは、結婚する子どもたちを中心になっていく流れになりつつある……という、源氏の君の最後の話です。
人が死んだり尼になったりすると惜しむ光君はやっぱり嫌いだ! と思いながらも、彼の才能や栄華を讃える向きが、この巻になるとがらっと変わって、深い諦めや悲しみに満ちてくるのがすごい。これは源氏の君というヒーローを讃えるものなんだと思っていた自分が間違っていた。(荻原さんのあとがきにもありましたが)だめな人間を観察するための物語だったのか!
源氏物語というと永遠のように思えていたのですが、主要な登場人物も死んでしまうし、移り変わるのだなあと深く感じ入った三巻でした。紫の上が亡くなるなんて思ってもみなかったよ……! そうして暮らしていきました、で終わるのだと思っていた。そして、ラストが憎い。なんて上手いんだろう! と感心しました。