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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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島はぼくらと
母と祖母の女三代で暮らす、伸びやかな少女、朱里。
美人で気が強く、どこか醒めた網元の一人娘、衣花。
父のロハスに巻き込まれ、東京から連れてこられた源樹。
熱心な演劇部員なのに、思うように練習に出られない新。
島に高校がないため、4人はフェリーで本土に通う。
「幻の脚本」の謎、未婚の母の涙、Iターン青年の後悔、島を背負う大人たちの覚悟、そして、自らの淡い恋心。
故郷を巣立つ前に知った大切なこと——すべてが詰まった傑作書き下ろし長編。(帯より)

人間関係の痛さや光を描いてきた辻村さんが土地のことを書いたなあと感じた作品でした。『名前探しの放課後』などにも、過疎していく地方のことは描かれていたけれど、土地と人が強く結びついている場所の光と影がありました。
最初は、島育ちの四人の高校生の、痛がゆい繋がりの話だと思っていたのに、思ったよりも土地の事情の比重が大きくてちょっとびっくりしましたが、やっぱり面白かった。人間、大人の暗いところもあったし、繋がることの嬉しさもあった。そこに出てくる、ある作品のあの人が、本当に嬉しかった! 私は彼女が大好きなので、子どもたちの背中を押してくれて本当に本当に嬉しかった。最初から出てくるんじゃないかなーとは思っていたけれど、嬉しかったなあ……。
最後は駆け足な印象もありましたが、面白かったです。
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思い出を切りぬくとき (河出文庫)
萩尾望都、漫画家生活40周年記念! 20代の頃の貴重なエッセイ27本を数録。
——例えば20年前の日記を読みかえした時、自分の青臭さに、てれるでしょう。実に私もそうで、若いというか物知らずというか幼いというかピリピリイライラしているというか、困ったものです。四畳半と六畳の二間の下宿に住んで、黙々とマンガを描く日々でした。(「まえがき」より)◎解説=よしもとばなな

昔、様々なところで掲載されたエッセイをまとめた本。編集さんとのやり取りや、作家仲間との交流、漫画講座での出来事とか、旅行先で見たものとか。こうして読むと、萩尾先生は、とても品のよい方なんだというのが滲み出ている……。そうかと思うと、お姉様とのやり取りに、ちょっと心のささくれたところが見えたりして。
でも、一番気になる、「どういう風に話をつくっているのか」という内容はなかった。あのすごい話を、どうやって書いているのか、もっともっと知りたいのになあ。
光圀伝
なぜ「あの男」を自らの手で殺めることになったのか——。老齢の光圀は、水戸・西山荘の書斎で、誰にも語ることのなかったその経緯を書き綴ることを決意する。
父・頼房に想像を絶する「試練」を与えられた幼少期。血気盛んな“傾奇者”として暴れ回る中で、宮本武蔵と邂逅する青年期。やがて学問、詩歌の魅力に取り憑かれ、水戸藩主となった若き“虎”は「大日本史」編纂という空前絶後の大事業に乗り出す——。(帯より)

実は『天地明察』を読む前にこれを読んでしまったのですが、安井算哲が現れたところはそれでもおおっと思いました。水戸の黄門様の壮絶な一生。義というものを問いかけ続ける話。
「どうして俺なんだ」というのは、『マルドゥック・スクランブル』から連なる生きることへの最大の問いかけだなあという序盤。力や知識や人との繋がりを得ながらも、自分自身を疑うからこそ、上へ伸びていくのかもしれない。高みへのぼるにつれて、どんどん欲望が削ぎ落とされて、軽やかになっていく光國が眩しいです。ただ、その軽やかさには、失いたくないものを失ったこともある。友人、読耕斎や、妻、泰姫の喪失は辛かった……。泰姫の人柄が、この物語の重みの中の安らぎになっていて、光國はそこを愛したのだろうなあ……。
「義」という考えが、後の世の私たちに分かる形で、光國を解放し、苦しめていたところは涙でした。最後のあれは……泣くわ……。義であるけれども、義ではない。しかし、後の世になされることがある。光圀の知らない未来が、彼らが形にしようとした人の人生の続きなんだろう。
薬屋のひとりごと (Ray Books)
中世のとある東洋の大国。皇帝の側室が住む後宮を舞台にしたミステリー。主人公は花街で薬師をやっている少女・猫猫。薬採りに森へ入ったときに人さらいにあい、後宮に売り飛ばされて下女として働くことに。あるとき、猫猫は、持ち前の好奇心と知識欲に突き動かされ、後宮で生まれる赤ん坊の連続死をこっそり解決する。それを見抜いた美形の宦官・壬氏は、猫猫を皇帝の寵妃の侍女に抜擢する…………「毒見役」として。(帯より)

東のとある国の後宮を舞台にした物語。Ray Booksは大人向けの恋愛小説レーベルというイメージだったんですが、この前読んだ『ラブ*ハニー』のことも考えてみると、かなり軽めの話のレーベルなのですね? 思った以上に全体的にさっくり軽いのでちょっとびっくりした。もっと人間の暗部にずぶずぶ入って行く話かと思っていた……。
主人公、猫猫の冷めた態度が好き! 何事も我関せずという態度なのに、技術をしっかり持っているところがいい。隠し持っている人って好きです。そういう人がばさばさーっと事件を斬っていくのが好き。
皇弟の話がちらっと出たんであれーもしかしてー? と思ったんですがそんなことはなかった。残念。
終わる世界のアルバム (メディアワークス文庫)
杉井光が贈る切ない恋の物語。
 前触れなく人間が消滅し、その痕跡も、周囲の人々の記憶からも消え去ってしまう世界。人々は普段通りの生活を続けながらゆるやかに訪れる世界の終わりを待っている。
 そんな世界でぼくは例外的に消えた人間の記憶を保持することができた。そしてぼくは気がつく。人が消えていくばかりの世界の中、いなかったはずの少女がいつのまにかクラスの一員として溶け込んでいることに——。
 ゆるやかに終わっていく世界での、切ない恋を描く感動の物語。(裏表紙より)

人間が消滅し、記憶からも消えてしまう世界。人が死んで悲しい、という感情が失われて、人々はあまり悲しい顔をしなくなったけれど、確実に世界は終わりに近付いている。そんな終末的な世界なのに、現像しなくてはならない銀塩カメラや、ビートルズなどの名曲、ラジオ、今では時代遅れのCDプレイヤーといった小物が、古いものへの懐かしさと相まって、じわっと広がる切なさになっている。
世界が終わる物語の、主人公たちの本当の「世界の終わり」は、大事なものが失われる瞬間なのかもしれないなあ。世界が終わるなんて実感はないけれど、大事なものが失われた時の方がずっと痛いし苦しい、という。じわじわと一人になっていく、自分だけ覚えているという状況が、首を絞めるみたいに息苦しくなってくる感覚が、怖くて切なくてすごくよかったです。
小夜しぐれ (みをつくし料理帖)
季節が春から夏へと移ろい始める如月のある日。日本橋伊勢屋の美緒がつる家を訪れ、澪の顔を見るなり泣き始めた。美緒の話によると、伊勢屋の主・九兵衛が美緒に婿をとらせるために縁談を進めているというのだ。それは、美緒が恋心を寄せる医師、源斉との縁談ではないらしい。果たして、美緒の縁談の相手とは!?——(第三話『小夜しぐれ』)。表題作の他、つる家の主・種市と亡き娘おつるの過去が明かされる『迷い蟹』、『夢宵桜』、『嘉祥』の全四話を収録。恋の行方も大きな展開を見せる、書き下ろし大好評シリーズ第五弾!!(裏表紙より)

様々な出会いも形を変える五巻目。同じく叶わぬ恋をしている美緒の恋の行方は。身分差という言葉を強く感じる時代です。従順とは違う、生きていく覚悟というのか。手に手を取って逃げたいという気持ちを固める強さもあるけれど、しっかりと地に足をつけていく生き方もあるよなと思う。
種市とおつるの悲しい過去もあり、澪が再び迷うところもあり。何よりよかったのは、謎の浪人小松原のことが分かる『嘉祥』! そんな風にして生活してるのか! という驚きと、いい家族に恵まれている嬉しさと。妹の早帆さんが何かしてくれそうでわくわく。
パシフィック・リム ブルーレイ&DVDセット (3枚組)(初回限定生産) [Blu-ray]
異次元の裂け目からやってくる怪獣たちは、全世界を襲い、人類は危機に陥る。しかし、巨人兵器イェーガーの開発により、人類が勝利。怪獣との戦いは一種のショーとなり、パイロットたちは英雄的扱いを受けるようになった。ローリーは兄とともにイェーガーの操縦士をしていたが、ある戦いにおいて兄を失う。このことからイェーガーの対怪獣兵器としての価値が疑問視され、政府は支援を打ち切った。五年が経ち、対怪獣防護壁の作業員をしていたローリーは、かつての司令官から召集を受ける。

怪獣と巨人兵器! 迫力の戦闘シーンには手に汗握りました。「ロケットパーンチ!」にはキター! と喜びの悲鳴を上げてしまった。かっこいい。
ローリーとマコに焦点が当たっていますが、脇役の関係性を想像すると楽しいです。ニュートンとハーマンはつい「こいつら……かわいいぞ……」と呟いてしまった。「僕も一緒に」というのは熱いです。ドリフトしている時に、孤独だった少年時代が垣間見えて、それを共有した二人は、なんだかもう、言い表せないほどの愛おしさが込み上げてきて、よかったねえ……よかったねえ……! という気持ち。
ストーリーはもう少し長くてもよかったのでは、と思ったんですが、132分あるんですね。あっという間に決戦だったので、もうちょっと戦うところを見たかったり、仲間同士の険悪さや親密さを見てみたかった気もします。
いやしかし、イェーガーかっこいいなあ! 終盤には、イェーガーもまた一人の戦士になっていて、人工知能なんてなくとも一緒に戦ってくれた仲間だったんだと思うと胸が熱くなりました。面白かったです。
白竜の花嫁 愛の終わりと恋の目覚め (一迅社文庫アイリス)
「駄目だ。離さない」
始種の骨を略奪した黒竜を追い、古王国に向かった白竜のシュトラールとその“花嫁”である澄白。王宮の地下で、澄白は亡くなったはずのゴルト族の竜、アメテュストと出会う。人間の手により鎖で繋がれた“女神”の存在は、王国の運命だけでなく優しく穏やかだった澄白とシュトラールの関係さえも変えていく——。姫君と竜の青年が織りなすドラゴンラブファンタジー、人気作第五弾!(裏表紙より)

恋をしてぐちゃぐちゃになっているのが好きです。
自分でもコントロールできない感情に振り回されたり、理解し難い衝動に突き動かされたりすることは、全身全霊をかけて恋をしているように感じるからです。醜い思いを抱き、涙を流しながら、求めることを止められない人というのは、人生をかけていると思います。
というわけで、思いっきり心を乱し、迷い、立ち止まり、引き返そうとしては座り込み、ようやく少しずつ前に進もうとしていくのに、なかなか進めない、澄白が! 正しいことをしたい、善くありたいと願いながら、それを許さない状況という山場が、もう痛くて痛くて。前半は甘い雰囲気があるのに、段々とシュトラールの優しさが刺さるようになってきて、あのラスト。衝撃のあまり息ができず、「あうあう」言いながらうろうろ徘徊しました。
ヒロインは全肯定される(あるいはそっと毒を含ませる程度の)少女小説の中で、ここまで『間違いかもしれない』と思わせる話を、よく刊行しましたね!? と思いました。そういう苦しさを抜け出していく物語を、私は読みたかった! でもちゃんと幸せにしないと許さないんだからね!!!!(笑顔) という気持ちなので、続きをよろしくお願いします。
無償の愛に包まれていた澄白が、どんな形でシュトラールを愛していくのか。シュトラールは、絶対的な上位種であることから、どうやって人間である澄白を理解していってくれるのか。異種族恋愛って、本当に難しいなあ(でもそこが美味しい!)。
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ (下) (リヴィエラ)
グレイの豪邸を初めて訪れたアナに差し出された二通の契約書。それには秘密保持義務と、彼と付き合う女性が守るべき様々なルールがそれぞれ定められていた。食事、服装、エクササイズの方法から、愛の行為の信じられないような詳細まで。普通の恋人同士になることを夢見ていたアナは大きなショックを受け、悩む。それでもグレイを拒むことはできなくて……。世界的ベストセラー三部作、第一弾(裏表紙より)

下巻です。読んでいて、メールのやりとりがかわいいな! と思いました。結構ハードなので、他愛ないメールのやりとりでにやにやしてしまう。
お互いを思いながら、何かがずれている二人。恋を知らなかったアナの恋愛無知なところがそうさせるのだろうし、クリスチャンの複雑な過去と嗜好がすれ違いを起こさせる、という下巻でした。続きを引っ張る形で終わったので続きを読まなければ……。
しかし、お金持ちってすごいよなー。何でも可能にしてしまう。メール読んでたらそこにいないと知り得ない情報が書いてあって「彼が来てる!」とびくーんとするところはにやっとしてしまいましたよ……。そういう展開好き好き!
今朝の春―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-4 時代小説文庫)
月に三度の『三方よしの日』、つる家では澪と助っ人の又次が作る料理が評判を呼び、繁盛していた。そんなある日、伊勢屋の美緒に大奥奉公の話が持ち上がり、澪は包丁使いの指南役を任されて——(第一話『花嫁御寮』)。戯作者清右衛門が吉原のあさひ太夫を題材に戯作を書くことになった。少しずつ明らかになってゆくあさひ太夫こと野江の過去とは——(第二話『友待つ雪』)。おりょうの旦那伊左三に浮気の疑惑が!? つる家の面々を巻き込んだ事の真相とは——(第三話『寒紅』)。登龍楼との料理の競い合いを行うこととなったつる家。澪が生み出す渾身の料理は——(第四話『今朝の春』)。全四話を収録した大好評シリーズ第四弾!!(裏表紙より)

恋心を自覚した澪。小松原への思いを抱えたまま、彼の本当の姿の一部分を知ることに。もう切ない! 身分差というのはじれじれでたまらないなあ! すごく辛かったのに「誇りに思うたことはない」でどっと涙があふれました。澪の、料理人としての真っ直ぐさは、どんな身分であっても届くのだと思うと。「今朝の春」で、澪が培ってきた繋がりが集まってくるのは、やっぱり感動でした。
あさひ太夫のことも徐々に分かってきたり、澪が目指すべきものは何なのかという手がかりらしきものも見えたりと、今回も面白かった。

「勝つことのみに拘っていた者が敗れたなら、それまでの精進は当人にとっての無駄。ただ無心に精進を重ねて敗れたならば、その精進は己の糧となる。本来、精進はひとの糧となるものだが、欲がその本質を狂わせてしまうのだろう」
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Author:月子
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