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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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娘に語るお父さんの歴史 (ちくまプリマー新書)
「お父さんって子どもの頃どうだったの?」娘・セイコの素朴な疑問に、生きてきた時代を確かめる旅に出た父・カズアキ。「未来」と「幸せ」について考える物語。(裏表紙より)

セイコの祖父母は戦争を体験した世代、曾祖母は第一次世界大戦を知っている。だったらお父さんはどうだったの? おじいちゃんおばあちゃんに比べると、昔話、弱い。
弱い、という言葉がなかなかぐっさり来て、でもなるほどなあ、そういう捉え方も出来るか……と不思議に納得しました。そうして、カズアキさんは昭和という時代を振り返ることになる。
私にとって、昭和という時代は、やっぱり終戦を境にしている。終戦後の日本っていうのははち切れそうだったよなあ、という印象。どんどん経済成長していって、みんなぴかぴかに輝いた顔をしているテレビの映像を思い浮かべる。特に、万博の映像。お金である程度の幸せが買えるような時代だったのかというのを改めて思う。やっぱり、はち切れそうな時代だったんだろう。その裏側に、たくさんの問題を抱えていた。「速さ」というのは善し悪しだ。
自分たちは幸せだったのか。今の私たちは幸せなのか。はっきり言うことはできないけれど、未来を信じるからこそ家族はできるのかな、と思うと、じわっとした。
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暗き神の鎖(後編) 流血女神伝 (流血女神伝シリーズ) (コバルト文庫)
さらわれた最愛の息子アフレイムを救おうと、カリエはすべてを捨ててザカールへと向かった。だが、彼女を待ち受けていたのは、現長老であるリウジールの悪しき野望だった。彼女を守るはずのラクリゼも死んだと告げられ、屈辱的な仕打ちの数々に絶望の極限へと追い込まれるカリエ。一方、エドとサルベーンはカリエを追いかけてザカールへ乗り込むため、海賊トルハーンの協力をとりつけるが……(カバー折り返しより)

ザカールに囚われ、リウジールから責め苦を受けるカリエ。闇の中で繰り返される暴力に、カリエの心はどんどん死んでいく。やがて、カリエの前に死んでしまった実母、養母、サジェ、イウナが現れ、責める言葉を投げつけていく。
前編、中編に比べて、行間が狭く文字がぎっしり。そしてちょっとだけ本が厚い。
もうどんどん追い込まれて、ずたぼろになって、ここまでヒロインにひどいことばっかり降り掛かるのか! というかなり苦しい巻でした。しかもここで妊娠してしまうのに頭を抱えました。カリエ自身が、あまり実感がないらしいのと、ちゃんと産むと言ったことでちょっと緩和されているけれど、ひどすぎる……。
神に関わる部分がかなり多くなっている巻で、ザカリア女神、タイアス神、オル神が絡み合ってきたのと、人間がそれにかなり深く関わりつつある予感を残し、『喪の女王』へ続く。
木暮荘物語
薄い壁、漏れ聞こえる生活音、おんぼろの木暮荘に、少しだけ風変わりな住人とその周りの人々がいる。昔の男が突然姿を現した女性、セックスしたいという欲求を抱えた老人、秘密を抱えたトリマー、夫の深夜の不審な行動を見咎める花屋の女主人、住人を覗く男、赤ん坊を預けられた女子大生、かつての恋人を忘れられないカメラマン。連作短編集。

明るい方かなと思っていたら、どっちかというとちょっと変な方向で、暗めの話が多かった。それでもやっぱり妙なおかしみがあって面白いんだけれど、私が今読みたいのはこれではなかったー(『お友だちからお願いします』『本屋さんで待ちあわせ』の流れだったので……)しかし「柱の実り」は好きだった。幸せな結末が見えないけれど、その時々にぎゅうっと幸せな気持ちがするような恋愛ものが好きなのだ……。
最後の「嘘の味」のニジコが誰に繋がるのかなと思ったらそう来たか! というのがおかしかった。小ネタみたいなのだけれど、輪になってたーとちょっと嬉しかった。連作短編のそういうところが好きです。
2.43 清陰高校男子バレー部
東京の強豪校からやってきた才能あふれる問題児・灰島、身体能力は抜群なのに性格がヘタレな黒羽、身長163cmの熱血主将・小田、クールで謎多き副将・青木……。目指すは全国。地方弱小チームの闘いが始まる!(帯より)

どこかで心を傷つけてしまった天才と、彼に感化されていく秘められた才能の持ち主、そして彼らの仲間となって全国を目指していく高校生たちの、爽やかな青春小説。面白かった! 面白かった! かけがえのないものを見つけて、人との繋がりに楽しい気持ちを獲得して行く彼らが本当に泣けるほど爽やかでいとおしかった!
天才に引っ張られていく少年が、今度は逆に底から引っ張り上げられる、そういう関係性が熱い! こいつには見捨てられたくない、認められたい、という気持ちって、本当に何よりも強いよなあ。そういう関係があることが、すごく嬉しくて、大切に感じる。
このメインの二人だけではなくて、先輩たちの立ち位置もすごくいい。絶妙に、大人になりつつある青年たちの姿が、かっこいい。
私のお気に入りは棺野くんです! 大事な時に大事なものを間違えずにいられる男の子は最強だと思う。
もっと読んでいたいし、追いかけていたい男の子たちだった。面白かった。
金星特急・外伝 (ウィングス文庫)
フランス外人部隊の砦に調査潜入した白鎖五十二位の夏草は、瞳の中に虚無を抱えるルイという中隊長に出逢い……? 金星の残した不思議な力を回収すべく世界を旅する砂鉄とユースタス。純国普と戦いながら言語の研究を続ける王女達と、それを護衛する月氏達。そして金星との娘を育てる錆丸。錆丸と金星の世紀の恋の一方で語られなかったいくつかの物語と、彼らの旅の後日談を描いた、大人気シリーズ珠玉の番外編集。(裏表紙より)

発売間もないのでネタバレになるといけないから、続きにします。
暗き神の鎖(中編) 流血女神伝 (流血女神伝シリーズ) (コバルト文庫)
ヨギナ総督をつとめながら、エティカヤ王バルアンの妃として、王子を出産したカリエ。アフレイムと名付けられた王子も元気に育ち、カリエはエティカヤの女性として、これ以上望むべくもない地位に到達していた。だが、久々にカリエと再会したミュカは、その表情に意外な陰りをみとめる。一方、カリエを守ると誓ったラクリゼは、弟の圧倒的な力の前に、かつてない不安を感じていた……。(カバー折り返しより)

まだまだ序の口、という具合の中巻。カリエが決意するまでと、その否応ない運命が大口を開けて彼女を飲み込んでいく。リウジールという最強のクナムが、恐ろしい言動でカリエとラクリゼを翻弄する。これ本当に少女小説かよ! という、えぐい展開にうひょーあひゃーと悲鳴をあげてしまいます。
バルアンが若干小物化しているのは気のせいかなーとか、エドの男っぷりがどうして上がっているんだろう? とか、ミュカとイーダルはどんな駒になって女神の手を示していくんだ? とか、色々あるので続きを読む。
図書館の魔女(上)
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった——。(帯より)

この一冊だけで650ページ以上の長編。こんな風に分厚いのでとりあえる上巻までの感想を書く。メフィスト賞と聞いていたのでミステリーかと思っていたら、言語と文化と少年少女のファンタジーでびっくりした。
政治的思惑と独特の文化に対する価値観について語られながら、物語が進行する。上巻だけでは結局どうなるのかまだ見えないなあ。人間として他者に対する心が少しだけ欠けた少女がどうなるのかも、秘密を抱えた少年がどのように己の生き方を見出すのかも、この巻の最後になってようやく疑問を提示されたという感じで、どう結末するのか分からない不思議な印象の上巻でした。
とにかく世界観と文化が作り込まれていてそれを頭に入れるのが難しい! 作者の高田さんは言語学をやられているということでも、なんかもう頭の作りが違う! という書き込み具合。文章も美しく表現も多様で、読んでいるとぶわーっと世界が広がっていく感覚がすごい。繰り返し読みたい一冊だなあ。文章を噛み締めて味が変わるってこんなのかもしれない。
暗き神の鎖(前編) 流血女神伝 (流血女神伝シリーズ) (コバルト文庫)
カリエがバルアンの正妃となって一年が過ぎようとしていた。いまだ懐妊の気配はないところへ、バルアンの妾妃でもある親友のナイヤが身ごもったとの報せを聞く。ナイヤを祝福しながらも、複雑な想いにとらわれるカリエ。そんな時、彼女はバルアンから聖なる山オラエン・ヤムに一緒に登ろうと誘われる。頂上めざしてふたりで旅する中、バルアンは意外な思惑をカリエに告げるのであった…。(カバー折り返しより)

読書再開。前章のひいっと悲鳴を上げたラストから、作中時間は一年経過。一年はそれなりに平和だったのかなーと思うとちょっとほっとする。しかし、運命はカリエを離してはくれない。女性の結婚、妊娠、出産の巻で、それぞれ愛を手に入れたことによって変化していく様が、恐ろしい。ナイヤは味方だと言ってくれたけれど、ルトヴィア側の様子を見るとそうも言っていられなさそうで、どうなるかぶるぶるする。サラ変化が一番恐かったよー……。
しかし妊娠出産するヒロインって、コバルト文庫なのにすごいなー。
十二の嘘と十二の真実 (徳間文庫)
 美しい王妃は侍女ツルの言葉によって、しだいに圧政者となり、人の道から外れてゆく。そして現代の小さな街に住む老女との関わりは? 時代はうねる。物語が生まれる。寓意が深まる。「わたしは、人の心にとり憑いて、わたしにとり憑かれるような心を持った人間を滅ぼしてやるの。人間を滅ぼすほど面白いことはないものね。え? 恐ろしいって? わたしのこと?」毒のあるファンタジー!(裏表紙より)

ある国の后と侍女の物語と、現代の老婆の独り語りが交互になされる。一番とっかかりになるであろう現代パートが、独り語りの上に悪にも感じ取れる老婆の視点で、それも犯罪が行われていることが語られるので、得体が知れなくて恐い。
ツル、という存在がキーワードになっており、ツルに関わったものは何らかの悪を唆される。千年生きる、つまりとこしえに存在するものがツル=怨念、そして水と女に繋がる。さらっとした文体なのに物語はどろどろで、ちょっとえぐくて気持ち悪い。後味はよくない作品でしたが、こういうのも書かれるのねーと思いました。
本には短編「崖の上」も収録。森のものに育てられた人間の少年と、学者の娘の物語。これも後味はよくはないけれど、少年と少女の失われたもののきらめきが美しいものでした。
シスター・ブラックシープV  花嫁の聖戦 (角川ビーンズ文庫)
「会いたかった——私があなたを悪魔から攫ってみせる」冤罪で投獄された司祭ユリエルを救うため、悪魔の手をとった男装の少女コンスタンティン。豪奢な地獄で悪魔に甘やかされる日々の中、彼女は賭けに出る。自分自身を賭けて——「君が勝ったら僕をあげるよ」一方サクスでは、ユリエルがコンスタンティンを悪魔から奪い返し、自分の元へ取り戻そうとしていた。禁断のトリニティ・ラブ・ファンタジー、激動の完結巻!!(裏表紙より)

地獄へ行ってしまったコンスタンティンは、悪魔の秘密を知る。ユリエルはコンスタンティンを求め、サクスではサイラス院長と女伯グロリアとの決裂により、司教軍に攻められる事態になっていた。それぞれのラストバトル! という感じで、悪魔とコンスタンティンの繋がり方も変わり、とにかく悪魔が! 悪魔が最高にいい人になっていて苦悶しました。悪魔がいい人になるなんて消滅フラグでしかないのに、満ち足りた様子なのが切なすぎる。
すべてのものはあるべくしてあるように、世界には何の変わりもなかったけれど、たくましく地に足を着いて生きているコンスタンスやユリエルの姿が最後に見ることができてよかったです。面白かった!
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Author:月子
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