忍者ブログ
読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
[1276]  [1275]  [1274]  [1273]  [1272]  [1271]  [1270]  [1269]  [1268]  [1267]  [1266
十二の嘘と十二の真実 (徳間文庫)
 美しい王妃は侍女ツルの言葉によって、しだいに圧政者となり、人の道から外れてゆく。そして現代の小さな街に住む老女との関わりは? 時代はうねる。物語が生まれる。寓意が深まる。「わたしは、人の心にとり憑いて、わたしにとり憑かれるような心を持った人間を滅ぼしてやるの。人間を滅ぼすほど面白いことはないものね。え? 恐ろしいって? わたしのこと?」毒のあるファンタジー!(裏表紙より)

ある国の后と侍女の物語と、現代の老婆の独り語りが交互になされる。一番とっかかりになるであろう現代パートが、独り語りの上に悪にも感じ取れる老婆の視点で、それも犯罪が行われていることが語られるので、得体が知れなくて恐い。
ツル、という存在がキーワードになっており、ツルに関わったものは何らかの悪を唆される。千年生きる、つまりとこしえに存在するものがツル=怨念、そして水と女に繋がる。さらっとした文体なのに物語はどろどろで、ちょっとえぐくて気持ち悪い。後味はよくない作品でしたが、こういうのも書かれるのねーと思いました。
本には短編「崖の上」も収録。森のものに育てられた人間の少年と、学者の娘の物語。これも後味はよくはないけれど、少年と少女の失われたもののきらめきが美しいものでした。
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Profile
Author:月子
読んだものやら見たものやらの記録
Search
Calender
08 2024/09 10
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20
25 26 27 28
29 30
Archive
Shopping
Analyzer
Counter
忍者ブログ [PR]