読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

錆丸達の車両に新たに言語学者のアルベルトが加わった。頭の回転が早く口が達者な彼は、早速砂鉄と犬猿の仲になる。そんな中、金星特急が停車したのは草原のど真ん中、砂鉄の属する傭兵集団・月氏の幕営地。傭兵の入れ替わりの祭《羊追い祭》の開催期に居合わせた花婿候補達は、強制的に祭に参加させられることになる。傭兵の一人に挑戦しこれを倒せなければ、草原の彼方に追放され列車の出発に間に合わない。腕に覚えのない錆丸、この危機をどう乗り越える……?(カバー折り返しより)
何とも思わずにつるつる読んでいたんですが、三巻目になってはっと「私……はまってる……!」と気付く恐ろしいシリーズ。夜中に読んでいたんですが、三巻を置きながら「寝たくないよう……読みたいよう……」と言いながら眠る深夜二時。
二巻目が冒険ものっぽかったので、つい忘れていたんですが、そうですこれはサバイバルでした……というのをアルベルトの行いで思い知る。ひいっ! と悲鳴をあげました。面白いけどひどい! 何人か脱落しそうなのがいるなと思いながら、錆丸は大丈夫かなとどきどきしていたんですがここにきて「さび……まる……?」とおっかなびっくり名前を読んでしまう事件が発生。金星にまつわる過去については予想通りとしても、もしかして錆丸、永遠に子どもでいたいとか願ってないよね……? と恐ろしくて震える。
それぞれの思惑で協力関係を結んだ三人が、なんとなく別の感情でも繋がり始めたことが感じられてきました。一番予測不能っぽかった砂鉄にまつわることが明かされましたが、ユースタス、錆丸の謎がまだまだありそう。続きを読む!
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神霊の存在や自分の力と向き合うため、生まれ育った紀伊山地の玉倉神社を出て、東京の鳳城学園に入学した鈴原泉水子。学園では、山伏修行中の相楽深行と再会するも、二人の間には縮まらない距離があった。弱気になる泉水子だったが、寮で同室の宗田真響と、その弟の真夏と親しくなり、なんとか新生活を送り始める。しかし、泉水子が、クラスメイトの正体を見抜いたことから、事態は急転する。生徒たちはある特殊な理由から学園に集められていたのだった…!!(カバー折り返しより)
二巻。まだ怯えている泉水子ですが、一巻よりだいぶとましになってきたなあ。十五歳から十六歳くらいが一番いろんなものが恐い時期だよねと思いながら、相変わらず深行は余裕がないですが、真響や真夏が結構余裕がありそうなので、四人集まるとなんとか支えられているという感じ。本当に、ちょっと特殊な生まれ育ちをしているだけで、普通の子どもたちなんだなあと思う。二巻目はまだほとんどのことが分からないままなので、余計に普通の中で頑張っているように思える。
深行はなー。ヒーローとしてちょっとまだ子どもっぽくて。どっちかというと、真夏の方が泉水子と組んでいると安心するんですが! 真夏は少しだけ人と距離を置く子だし、真理をつく子だから相性はいいと思うんですよ! いやでも深行の成長をもっと見たい!

金星特急には途中乗車も下車もできない。強行すれば樹に姿を変えられる。次々と困難に襲われる中、錆丸は砂鉄とユースタスに助けられてばかりの己を腑甲斐なく思い始める。強くなりたい、せめて自分を守れるくらいに—―。金星特急の次の停車地は密林のど真ん中。金星の所望する《王の火》なるものを手に入れるため、密林の奥深くに分け入った錆丸達だが…!? 三人の関係も動き出す、人気シリーズ第二弾!!(裏表紙より)
上海を出発し、今度はインドシナ周辺のジャングルへ。ジャングルサバイバルは厳しい……が、砂鉄のサバイバルスキルと、ユースタスと錆丸の組み合わせは結構安定して先を進んでいる感じ。錆丸は子どもなので力がないのは当たり前なんだけれど、金星特急に乗った時点でスキルがないと進みにくいのは不利だよなあ。
棕櫚王とのやり取りは、ほっこり、しんみりした。錆丸と棕櫚王から見た砂鉄が完全に保護者なのでなんだかちょっと嬉しくなる。
ジャングルの後は、チベットへ。すんごいあっちこっち行ってるなこの列車。ユースタスの女性疑惑が出てきたけれど、どっちにしろ、誤摩化しても誤摩化してなくても何か秘密がありそうで気になる。

絶世の美女『金星』の花婿に選ばれれば、この世の栄華は思いのまま。だが花婿候補を運ぶ特別列車『金星特急』に乗って、帰ってきた者は一人もいない——。一目惚れした『金星』に会うため、入ったばかりの高校を中退して『金星特急』に乗り込んだ錆丸。やたらと腕の立つ正体不明の無愛想男・砂鉄と、天然大喰らいの美貌の騎士・ユースタスを仲間に、錆丸の途方もない旅が幕を開ける。胸躍る本格冒険活劇スタート!!(裏表紙より)
本読みの方々がベスト10を挙げるなら確実にランクインする(と勝手に思っている)『金星特急』をようやく読み始める。
どこかしら現代を引き継ぎながら異世界になっているその場所で、謎の列車、金星特急に乗り込んだ少年の物語。まだまだ旅は始まったばかりだけれど、容赦なく人がロストする。選ばれなければはじき出される無慈悲な金星特急の旅。金星とは何だ。旅の仲間になった砂鉄とユースタスは何者なのか。錆丸も気になるなあ。一目惚れが強調されていたけれど、そんな「俺が選ばれてやるぜ!」という熱い調子ではないので、「いつ」一目惚れしたのかっていう仕掛けがありそう。
最終巻まで読んでいきます。

山伏の修験場として世界遺産に認定される、玉倉神社に生まれ育った鈴原泉水子は、宮司を務める祖父と静かな二人暮らしを送っていたが、中学三年になった春、突然東京の高校進学を薦められる。しかも、父の友人で後見人の相楽雪政が、山伏として修業を積んできた自分の息子深行を、(下僕として)泉水子に一生付き添わせ(カバー折り返しより)
読んだのは単行本。
アニメも始まったことなので、長らく読んでいなかった単行本をようやく読みました。アニメは結構色々省いているんだなあ。でもちゃんと原作に添っているみたいでよかった。
泉水子のあれこれが、思春期の、世界の何もかもに萎縮する女の子っていう感じだなあと思いました。何かにつけてびくびくして、どうしようと不安に駆られている。友達との関係にも、自分のことを下に置いていたり、去られるのが恐ろしかったり。深行でなくとも苛々する女の子だなと思います。正直読みながら(アニメも見ながら)大丈夫なのかなこの子と不安になる主人公。
けれど、和宮と向き合ったときの泉水子は、言葉や態度は子どもっぽくて拙いながらも、凛とした印象で、この子は強くなるかもしれない、と感じさせる何かがありました。
泉水子もそういう風に、ちょっと不安な子だったんですが、深行もなあ。今時の子というのか、自分のことに手一杯で、世慣れない泉水子を何とか引っ張り出してやろうとも思わないのがなあ笑 守ってやるとまでは難しくても、もうちょっとちゃんと見てやれよ少年! ここから変化が見られるのが楽しみです。

身分を隠すための仮装をして楽しむ、10年に一度の賭博祭の最中、アジェンセン公国北部のナンセで領主の継承問題が起こった。その頃ジルとルシードはお互いを思いやりながら、秘密裡に進めていることがあった。つけ込んで来たのは隣国の若き王子オース。13歳の彼は野心家で策略に富んでいて、ナンセを自分の支配下に置こうと考えたのだ。ジルとオースの知力合戦が始まった! その時ルシードは…?!(裏表紙より)
前巻「恋とお忍びは王族のたしなみの巻」からの続き。賭博祭の最中に起こった継承問題、ジルとオースの計略戦、ルシードのトーナメント戦など。勝利を捧げるという儀式の大事さ。国を治める者としての知略。ファンタジーの見所をいっぱいに詰め込んだなあという。見所がいっぱいで、めちゃめちゃかっこよくてときめきもいっぱいあって大満足でした。でも更にジルの謎が深まったなあ……。
でも本当にルシードがかっこよくて! この人はいきなり大事なところでかっこよくなるからもう好き! ってなるな。統治者としての知略は持てないけれど、彼には神様からの愛があるんだろう。多分、どんなことでも最後に物を言うのはその部分だと思うので、これから先ルシードにどんな困難が待ち受けていても、ぎりぎりのところで勝利を掴めるのではないかなと思う。
「わたしを可愛がりなさい」が可愛すぎて。それに対するルシードの答えがばか! ばかばか! ちょっとずつ距離を縮めてるのがいいなあ。可愛い。

八咫烏が支配する世界で始まった、世継ぎの若宮の后選び。宮廷に集められた四人の姫それぞれの陰謀や恋心が火花を散らす。だが肝心の若宮が一向に現れないままに次々と事件が! 失踪する侍女、後宮への侵入者、謎の手紙……。后選びの妨害者は誰なのか? そして若宮に選ばれるのは誰なのか?(帯より)
和風ファンタジーの後宮争いもの。後宮闘争なんてとってもおいしいものを見逃せるはずはない。
春夏秋冬、四つの宮に集められた、それぞれの領を集める高貴な姫たち。春の宮の主になった二の姫は、登殿できなかった姉姫の代わりにやってきた。夏殿の姫は番外なほどの自由気まま、美しく派手好きな秋殿の姫は高慢で、冬殿の姫は無愛想で春殿の姫を嫌う。本当にここでうまくやっていけるの……? という、少女小説。
かと思うと、物語は後半から意外な展開へ。女の争いはもちろんですが、疑心暗鬼になっていくところがとてもよかった。どろどろというよりからっとしているのは、真犯人と、若宮本人があっけらかんとしているせいでしょうか。
設定がとても面白く、世界観が好きです。きらびやかな季節の描写がとてもいいなあ。
とても面白かったです。

本が手の届かないほど遠くにあると思っていたこと。
本が母と娘を繋ぐ絆であったこと。
本が祖父への畏れであり、忘れ得ぬ思い出であったこと。
そして、強すぎる願いゆえに、たった一冊の本すら手放せないこと。
そこにあるすべての本には数え切れない“想い”があり、そこに集うすべての読者にはその数だけの“物語”があった。
さえずり町のサエズリ図書館。
それは本の“未来”が収められた、美しく、不思議な図書館。
紅玉いづきが詠う、すべての書物への未来譚(ラブソング)――。
あなたにとっての大切な一冊は、きっとここでみつかる。(裏表紙より)
無料公開していた一話を読んで、ぼろっぼろに泣いてから、なんだか恐くてしばらく遠ざけてしまっていた一冊。サエズリ図書館という私立図書館の特別探索司書ワルツさんと、利用者の人々の物語。
一話で、やられたー! と思ったんですが、二話からその世界が、一度終わりを迎えた時代だとはっきり分かるようになっています。どうやら首都は機能しておらず、地方ごとに運営がされているらしい。けれど、汚染された世界では確実に終わりが近付いている。
けれどそれをはっきり、本という形で「死なない」と言ってくれるのがワルツさん。終わりをひたひたと感じながら、「みんな、本を愛している」からと言ってくれる。それがなんだかなあ、胸をぐっと掴まれたように感じました。
もっとこの図書館と本の物語を読みたいなと思いました。

ケトア平原の屋敷には、領主と契約しようと森の住人が大挙して押し寄せていた。そして、ムイはフィンドルとラーシェンを意識してしまい、まともに顔も見られない状態が続いていた。そんな中、キハネをそそのかし契約書を盗み出したティッセは、アーレン達を使い、メージェレに攻め入ろうとしていたのだ! クライマックスへ向けて、シリーズ急展開!! 番外編『星祭りの夜に』も収録。(裏表紙より)
ピクテ・シェンカの不思議な森シリーズ第七巻。ティッセとの戦いの決着巻。新しい契約書にサインをしていく中、ティッセとキハネが決定的に決別、やけになったティッセは王都メージェレへ攻め入ろうとする。本編は短めですが、三角関係のにやにやが佳境です。二人もムイの理由に気付いたようだし、次が最終巻なのでどう決着をつけるか楽しみ。