読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

アダルシャン王国の辺境・グラーレンの地で、王弟・アレクシードは自分の出生の秘密を知る。驚く彼に、真実を告げた男は、兄王を裏切るようささやきかける。
「あなたこそ、この国の真の王。玉座を、全てを、あなたへ」
兄王への誓いと、王都で囚われている幼い妻・ユスティニアを思い苦悩するアレクシード。そして決意のもとに、兄の待つ王都へ攻め上るが…!? アダルシャン・シリーズ衝撃の第4弾!!(裏表紙より)
実はこの感想を書く時点で完結まで読んでしまったので……感想が色褪せているんだが。
エリアスの思いが非常に痛いのでした。彼ほど過去にとらわれている人はいないだろうなあ……。幼い子ども相手というのが彼の後悔の元なんだろうなあ……。しかし完全な悪役になるには、彼はアレクに忠実すぎたわけで。
この巻の非常に萌えたところは、夫婦二組の図ですな! 気になっていたユーゼリクスとアゼリアの関係が、やっぱりそうかー(ニヤニヤ)なのでした。妻に弱いユーゼル……。アゼリアは普通の女性だけれど、心の支えなんだよな……。多分政略結婚の意味合いが強い夫婦なんだけれど、でも絆が強くて非常に好きなのだ。
この巻で王都編に決着がついて、アレクとユティの行く末も決まる。アレクが帰ってきてユティはまず平手を一発、というのがいいなあ。どっちも相手がすごーく大切なんだ。
兄弟は相変わらず食い違って不器用であるので、にまにました。無理強いできない(多分己のプライド9割相手を思って1割くらいで)ユーゼリクスがいい。
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直木賞作家となった桜庭一樹のムック。新作小説、インタビュー、対談、直木賞のドキュメンタリー、著作解説、単行本未収録作品など収録。そして、中学二年生当時の幻の作品も。
面白かった! 特に直木賞のドキュメンタリーが。偶然情熱大陸(テレビ番組の)を見ていたので大体分かっていたけれど、桜庭さんの視点からというのがとても面白かった。ご家族総出というのが、温かい感じがしていいなーと思った。
著作を結構読むようになったので手に取ったのだけれど、今とても「赤朽葉家の伝説」と「青年のための読書クラブ」が読みたい! 今まで読んだ中で(少ないけど……)「私の男」が今のところ一番の衝撃で、桜庭さんの作品は作品内の何かが危ういところがあって、それを執拗に追って逃さない、ぶれない感じがすごく素敵だと思う。
そしてブルマー三部作が衝撃的でした。面白いよこれ……! 中学2年生で書いたっていうのがすごい。第1部が一番好きだ。アホで(褒めてる)
とても興味深さが増す一冊でした! 面白かった!

綾音、戸崎、箱崎の三人は、学生時代を思い出している。それぞれに、それぞれのものに情熱をかけた、大学生の頃。告白する者、今まさに走る者、思い出す者……。三つの視点で語られる「別れるための物語」
いつもと文体が違ったので読み始めてぎょっとした。大丈夫かなと不安になりながらも、第三部の「陽の当たる場所」の締め方は恩田さんの好きなテーマっぽいなーと思った。
物語としては面白みにかけるかもしれないけれど、みんな大人になりかけた頃に感じたもの、がかなり細かく描かれているように思う。私は非常に随所でどきっ、どきっとした。
特に第一部。「あいつと私」は、小説家になりたいとは言えない気持ちが分かった気がしてぎくっとした。
小説家になりたい、なんて、口が裂けても言いたくないし、そう心の底では思っていることを認めたくなかった。
第一部は小説家、二部は音楽、三部は映像という創作物に絡めているけれど、詳しい話は語られない。まるでそれはこれを読んだ自分が作るんだというようだった。

東京、下町の老舗古本屋「東京バンドワゴン」。営む堀田家は今は珍しき八人の大家族。伝説のロッカー我南人60歳を筆頭にひと癖もふた癖もある堀田家の面々は、ご近所さんとともに、またまた、なぞの事件に巻き込まれる。赤ちゃん置き去り騒動、自分で売った本を1冊ずつ買い戻すおじさん、幽霊を見る小学生などなど……。さて、今回も「万事解決」となるか? ホームドラマ小説の決定版、第2弾!!(裏表紙より)
今とてもドラマで見たい小説のシリーズ。相変わらず個性が強い!
今回は前巻と比べるどちらかというとつなぎな印象なのは、ひとつひとつのお話の関係がちょっと薄いせいなのかも。藤島さんの話をずっと続けたら良かったのにーと思ったけれど、それは多分私が彼をとても好きなせいなので、偏った意見だと思うから、はっきり言う。非常に今回も面白かった!
これ家族増えたらまたどったんばったんなるよな! と続刊に期待をしています。新しい家族はきっとサチさんが見えると思うんだ! と思うと私きらっきらしてしまう。そして池沢さんもどうなるのか非常に楽しみ! これだけ明るく楽しみな小説ってそうそうないなと思う!

アダルシャン王国の南・グラーレン地方で起こった領土問題のため、戦地へ行くよう兄王から命じられた王弟アレクシード。そのことで幼い妻・ユスティニアと言い争い、気まずいまま別れてしまったせいで、彼は彼女のことが気になって仕方ない。やがて訪れたグラーレンの町に、妙な既視感を覚えるアレクシード。そして敵軍からの、裏切りへの誘い…。そこに王都から、驚くべき報が――!? アダルシャン・シリーズ激動の第3弾!!(裏表紙より)
アレクとユティが離ればなれになる。というのはもし普通のカップルだったら辛い別離なんだけど、なんだかこの二人を見ていると非常に安心感があって、大丈夫大丈夫と思ってしまう。どちらかというと大丈夫という印象を抱くのは十歳のユティの方が強い感じが。情けないアレクシード。
政略結婚、王国物の王道なのにこの作品が非常に好きでどうしようかと! 兄弟、妾腹の王子、政略結婚、幼い妻、陰謀、戦争……。この巻では特に兄王ユーゼリクスと、ユティの会話が非常にたぎった。
「義兄上は、誓いの価値を御存知ない」
「…………」
「わたしは誓ったぞ。アレクと夫婦になると、誓った」
これ十歳が言うんだ。もえずにどうする。
5/3「99%の誘拐」
5/4「ハルシフォンの英雄」
5/7「彩雲国物語―はじまりの風は紅く」
5/8「少年陰陽師 異邦の影を探しだせ」
5/10「チャイルド44」下巻
5/12「穴」
5/15「作家の食卓」
5/19「作家のおやつ」
5/21「真紅の式使い」
5/23「ファミリーポートレイト」
5/26「うさぎ、うさぎ、どこいくの?」
5/27「シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン」
5/28「ブラザー・サン シスター・ムーン」

親子、だもの。呪いのように駒子は繰り返す。あの時世界は溢れる文字と二人だけで完結していた。ママだけがすべてだった駒子の幼少期と少女期。けれど少女期の途中で引き戻された現実の世界。どこへ行くの。どこへ行ったの。辛くはないが息苦しく生きる駒子から生まれるものは一体なんなのか。
一章ごとに物語が変わるような印象だった。最後まで読んで最初に戻ってくると、最初の駒子の幼い語り口や、陶酔しているような感じが伝わってきてぞくっとした。段々と駒子が現実に馴染んでいくのも分かって、少しずつ理性的になっていくようなのが不思議だ。どうしてこんなものが書けるんだろう。桜庭さんに重ね合わせてしまうんだけれど、こういう生みの苦しみを感じているんだろうなあと思ったりした。
最後周辺は感極まって泣いてしまった。あの、サイン会で少年が泣くところ。
テレビで芸能人とか憧れの人と同じ空間にいることで泣いてしまうファンの女の子の映像が流れることがあるけれど、最近それを見ていた父が思いっきり吐き捨てるような声で「泣くなやぁ!」と言っているのを聞いてしまったので、そして結構自分でもそれに傷付いてしまっていたみたいなので(「いいやんか泣いても!」と噛み付いたけれど)、こういう、駒子みたいに思ってくる人がいるんなら、この人が好きでよかったなと思えるというか。
ラストのために辛い時代(章)を乗り越えるのもいいなと思いました。
作り手が死んだ後も、本だけが残って未来の誰かを救うことがあるかもしれない。
(略)
あたしは、世界は確かにあたしの苦しみだけではできていないけれど、あたしたちの苦しみでできているかもしれない、と思う。

「私のものになれ、彰」
死んだ者の魂を呼び戻し、式神として使役する《式使い》。孤独な式使いの少女・彰は、幼なじみの天帝・基に突然求婚される。師の仇である基の執着から逃れるために彰が降ろしたのは、強大な力を持つが記憶のない、美青年の式神・司。優しく真摯な司に、次第に惹かれていく彰だったが…。彰を想い彼女のためだけに戦う式神と、激しく彰を求める帝。二人の愛に翻弄される彰の運命は!?(裏表紙より)
ごちそうさまでした! 一人の少女に二人の男性が迫るというのは大変美味しいシチュエーションでございました。
彰がいい子で、やっぱりこういう女の子はいいなあと思う、芯の強い、瞳の強さが見えるような娘さんでした。そしてやっぱりツンデレ女子(仲良し)の存在は外せない! と思うのでした。女の子の仲良しいいな(にやにや)
最初に読んだ印象に『狂気と憎悪というには愛情の部分が強い』と書いたのですが、こうしてもう一度めくってみても同じように思いました。なんかあらゆる方向に矢印が散ってしまっていて、だからこういうことが起こってしまって……という感じ。だから非常に色んなことが切なかった。
ラストはびっくりしてしまったのですが、色々考えてみると梅の木があるよなあと思ったので、幻視という可能性も否定できないわけですよね。彼女は多分非常に意思の力が強かったと思うし。いや、そりゃ逢えたのならそれは幸せでいいんですが! でも行間を食い入るように読むのが本読みの宿命なのですよ!
そして表紙の赤が非常に綺麗だ。赤い本ってあんまり見ない気がする。