読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

欲望の発露する瞬間を考察し、友人と特異な「萌えポイント」について語り合う。伝説の名作漫画『愛と誠』再読でその不可解な魅力を再検証。世界の名作『嵐が丘』を読み乙女のテイストを堪能し、女同士でバクチクライブ旅。独自の見所発見の映画評、旅先の古書店の謎を探索。物語の萌芽にも似て脳内妄想はふくらむばかり——小説とはひと味違う濃厚テイストのエッセイをご賞味あれ!(裏表紙より)
水が萌えポイントとか、墓場で妊娠とか、「将軍っていうのは孤独なものなのよ……」から始まるエッセイ。濃い。濃すぎる。私的に「孤独な将軍」と言い出したぜんちゃんに爆笑した。他にオムツのキャラクター、パンパにお熱を上げるあんちゃん。結婚式で花嫁の思い出(ひどい内容)をみんなで語ったり。
しをんさんの本棚をとても見てみたい。きっとえらいことになっているのだろうと思わずにはいられないから。それで、最も妄想を膨らませた作品について語ってもらう。一体どういう状況で執筆活動をしているのだろうと妄想してみることにする。
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あらゆるテロや犯罪が多発する国際都市ミリオポリス。そこに「黒犬」「紅犬」「白犬」と呼ばれる三人の少女で構成される警察組織MBPの〈ケルベルス〉遊撃小隊がいた。「なんか世界とか救いてぇ――……」呟く「黒犬」涼月、スナイパー「紅犬」陽炎、歌い踊る「白犬」夕霧らによる、”死に至る悪ふざけ(オイレンシュピーゲル)”
かなり面白かった……。なんというテンポ。ぐいぐい引力を感じて、一気読み。
出てくるのはまさに表紙裏のあらすじ通り、クールでキュートでグロテスク。プラス、かなりブラックジョーク連発。しかしそれが妙に物語を彩っていて愉快。しかし三人それぞれの過去にはトラウマを覚えそうだった。
それでも格好良く強い三人の少女。貶し合っているようで、その実、絶対的な信頼関係で結ばれている辺り、とてもわくわくする要素だった。
ビジュアル的に三人ともかなり好みです。でも今後一番成長具合が大きく見られそうなのは涼月かな、と。でもやっぱりみんなが好きだー!

アドニスとの最終決戦、エピローグ。
「そんなに多くの人間は乗れないんだよ、あの船は!」
ベルの最初の記憶にある、悲しみみたいなもの。神代に何があったのか分かる気がする。
最終決戦後のアドニスが異様に優しくて泣ける。
この作品で好きなのは、言葉遊びみたいなもの。当て字、ルビ振りが、別の世界を見ているようでわくわくする。想像するのが楽しかった物語だった。
ベルがどんな種族の特徴も持ち得ない、という辺りにどんな姿かすぐに見当がつくけれど、それがどうしてこうなったのだろう、と探す物語だったのかなとか。とにかく、物語の今の「世界の形」を見る、という物語だったように思う。
濃い物語だった。しかしやっぱり鈍器に近いハードカバーも欲しかったなあと思うのだった。

シェリーとの出会いからベネディクティンとの別れまで。
好きなんだよなあ、キール戦とその前後。
「確かに私は介者だ。粗にして野ではあるが、しかし卑ではない。覚えておけ」
から始まって、ベルが飾り立てられる辺りが乙女心をくすぐる。言い寄ってくる人間に対して、「喰い殺すよ」と笑えるベルが本当にかっこいい。
そしてキティ=ザ・オールが大好きだ。あのベルをエスコートできる唯一の人間だと思われる。踊るシーンはときめき度数がぐーんと上がった。
シェリーが神言を口にして「ラブラック=ベル、ただ一名のみ!」と告げてから「逃げてベル、逃げてーっ!」と言う辺りが何故かとても好きだ。
しかしその盛り上がり(私の)に反して、後のアドニスとのことがベルを深く沈めて「ああああ」となる。アドニスは肝心なところでへたれで、だめなやつだ。

人々は皆、蛙、鼠など様々な動物の特徴を持つ、空に青い聖星が輝く世界。そこにただひとり、どんな種族の特徴も持ち得ず生まれたラブラック=ベルは、自らの由縁を探すために旅に出ることを決めた。旅の呪いを帯びながら、〈都市〉において剣士として、試練を受けることになったベルは、やがて世界と神を問うことになる。
オープニングからカタコームのティツィアーノ戦まで。
一番最初に読んだときは、私はシアンはベルによって死んだと思っていたなあ。それからアドニスには恋はしていないように思っていた。恋慕に近しい、強い思い入れだったわけで。
ベルが育ての両親と再会して、妹に会うシーンが好き。しかし一番の盛り上がりはやっぱりカタコーム戦だなあ。感応といえるのなら、きっとそれだと思う。戦いの思考に入り込んでいるような気分。
一巻はあんまり好きシーンがないかも。剣楽はかっこいいし、盛り上がるけれど、後の巻の方が盛り上がってる気が。
「オイレンシュピーゲル」と比べると、やっぱり最初期作なんだなあという感じ。こっちもかなり好きです。自分の頭の中で映像化して勝手に音楽を付けたりするのが楽しい。でも、オイレンの鋭さには敵わないなあと思う。

聖マルグリット学園の図書館塔の最上階に座るひとりの少女、ヴィクトリカ。彼女と関わりを持つようになった留学生の少年、久城一弥。二人は郊外に住まう占い師の老婆殺害事件に関わることとなり、そして客船〈QueenBerry 号〉の謎に足を踏み入れることに。
面白かった! 最初の事件から最後の事件の真相のつながり方がうまいと思った。でもひとつひとつはかなり簡単に真相が分かる。それでもひとつにつなげているのは、やっぱりうまいなと。
しかし、挿絵のせいかイメージが幼い感じなのでときめき成分が薄い。もう少し年齢を上げてほしかったかな。一弥がもうひとつしっかりしてほしいな。抜けすぎててちょっとがっくりする。機微とか身につけろ少年! ヴィクトリカはかわいいが、老成しているところがあって少々悲しいところが。
話の内容としては、怖いところがしっかり怖かった。トラップが発動するところや、殺し合いが始まってしまうところ、エレベーターのところ、斧男が迫ってくるのがぞーっとした。
でもエピローグはかわいかったー! にやにやした。
そしてあとがきが面白いです。何故そんなおもしろ話が転がっているのか……。

奈緒子は加地君が好きだった。加地君と付き合っていた。しかし突然の事故が二人を引き離し、一年後、奈緒子は巧君と付き合っていた。巧君は加地君の友達だった。半年が経って、二人の間では、加地君のことは決して口にしないようになっていた。それでも、二人で星を見るとき、ようやくその時が来る。
なんか、思った話と違った。思ったより感情的にならずに、淡々と日々を越えていく感じだった。
巧が、加地君と奈緒子の関係が好きだったんだろうなーというのが滲んでいた。奈緒子はとても好きだったんだろうというのが泣くシーンで爆発していた。それでも、何故か親身には来ないというか。その辺り不思議な空気感だった。
何にも解決しないように見えて、これから解決していくんだろうという、日々を少しずつ越えていく感じ。私としては恋愛小説というにはときめきポイントが少なくて少々薄い気がした。なので、この小説は、「生きる」日常を書いたものなんだろうと思う。忘れない思い出を持った人のための物語だ。

憧れの存在だった上級生の香澄と芳野に誘われ、舞台背景画を描くために三人の合宿に参加することを決めた毬子。しかし合宿前に「九瀬に関わるのはよせ」と香澄に対する忠告を見知らぬ少年から受ける。待っていた合宿が始まり、三人だった香澄の家「船着場のある家」にやってきたのは、忠告をした少年月彦と、毬子に思いを寄せてくる暁臣。五人の合宿は、やがて夏の日に起こった二つの事件を暴こうとしていく。
恩田陸成分補給。久しぶりに底知れないところで怖かった。
少女たちの幻想というのか、一枚の絵を見ているような。ちょうど、表紙の酒井さんの作品のような、絵がずっと連続して続いている感じ。
恩田さんの視点みたいなのをずっと感じる作品だった。あとがきにもあるように、恩田さんの、少女たちを見た時の思いがずっと滲んでる。それが多分、一人称で語られながらも、第三者が見ているような、絵を見ているような不思議な感覚を引き起こすんだろう。
一番好きなのは芳野の章「ケンタウロス」。香澄の「愛してるわ」の意味がラストでぐっと迫ってきて良かった。少女から少女へ、という愛なので、少々倒錯的と言えるのだけれど、暗黒さはないので、とても良かった。
最初のページの文は、意思みたいなのが語りかけてる感じなのかな。
夏に読む童話的小説。でも読み終わるとやっぱり怖い感じ。

羊飼いの少年サンチャゴは、ある夢と占い師と老人の導きに従って、エジプトのピラミッドに待つ宝物を求めて旅立った。「前兆に従うこと」「大いなる魂」の存在を学んでいく少年は、やがて「大いなる魂」に到達する。そして最後にたどり着いたものは。
世界のひとつひとつを見て大切なものを学んで、世界と自分のつながりを感じる、という物語。教えというか、祈りというか、こうあって欲しいという願いが込められているように思う。
はっきりと言えないけれど、きっとこうだったら幸せなんだろうな、と思ってじんわりする。同じ系統の気がする「星の王子さま」みたいに死ではなく、より良い生について書かれているような。
少年が風を呼ぶところが感動する。自分まで風や太陽やすべてを書いた手と会話しているような気になる。
三人称で名前が最初に出ただけでほとんど出ないのは、童話や昔話を意識しているのかな。口伝えの物語となるように、という想いがあるなら、すごい。
これ平成9年が初版なのか。平成19年で29版。長く読まれてるんだなー。
