読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々

混血の少年リンツの国では事件が起こっていた。怪盗ゴディバが富豪たちの宝物を盗むという事件である。ゴディバを追う探偵ロイズは少年少女のヒーローだった。ある日父が買ってくれた古びた聖書から風車小屋のマークが描かれた地図を発見したリンツは、これはゴディバの隠れ家の地図ではないかと推測し、ロイズに手紙を書いて。
子どものためのミステリーランド、という複数の作家によるシリーズものなので、王道を行きつつ綺麗に終わるのかと思ったら、そうでもなかった。さすが乙一といった感じ。
怪盗の正体は父さんかなと思ったんだが死んでしまったし、もしかして隣人か、とも思ったら両方だったなんてすごいトリック。ロイズが悪者というのもすごい。人死にが出るのもびっくりした。最初のロイズに会うまでは児童文学っぽく、ドゥバイヨルと共闘するのは青春小説! という感じがしてわくわくした。ロイズが人質にしたリンツ母にキスするシーンはマフィア映画みたいだし、ラスト、両親と子のシーンは厳かになった。くるりくるりと回って色んなチョコレートを味見したみたい。良かった!
神林長平「ライトジーンの遺産」下
高里椎奈「フェンネル大陸偽王伝」闇と光の双翼・風牙天明・雲の花嫁・終焉の詩
森博嗣「地球儀のスライス」
樹川さとみ「グランドマスター! 呪われた女騎士?」
「それでもあなたに恋をする」「女ぎらいの修練士」「最後の封印」
「箱のなかの海」
畠中恵「おまけのこ」
2007年に読んだ小説本は159冊。どうも分厚い本を読み終わる月はたくさん読むという傾向にあるような気がする。10月からどんな本も感想文を書くようにしたので、また溜まっていくと思う。
高里椎奈「フェンネル大陸偽王伝」闇と光の双翼・風牙天明・雲の花嫁・終焉の詩
森博嗣「地球儀のスライス」
樹川さとみ「グランドマスター! 呪われた女騎士?」
「それでもあなたに恋をする」「女ぎらいの修練士」「最後の封印」
「箱のなかの海」
畠中恵「おまけのこ」
2007年に読んだ小説本は159冊。どうも分厚い本を読み終わる月はたくさん読むという傾向にあるような気がする。10月からどんな本も感想文を書くようにしたので、また溜まっていくと思う。

独身で建築家の、ちょっと風変わりなぼくのおじ——カズおじさんが、ある日、黒くて不格好なラジオをくれた。大きなダイヤルと立派なアンテナがついた年代物のやつだ。すっかり夢中になってダイヤルをいじっていると……不思議な物語が聞こえはじめたんだ。妖怪ラジオから流れる珠玉の連作メルヘン・ファンタジー。『理想宮——K氏の一日——』を新たに加え、貴方の琴線(アンテナ)に夢を送信する。(カバー折り返しより)
樹川さとみ作品で現代物って珍しい感じがした。97年の作品らしい。やっぱりファンタジーとか、習慣などを書かせるとこの人は活き活きとするなあと思う。だから一話ごとに挟まるファンタジーはすごく面白かった。
「もしもあの花がすべて鈴だったら」が一番好きだ。願いを叶えました、そしてその後は? という、あとがきにも書いてある疑問を実践するのはすごく好感が持てる。

一人が寂しくて泣きますか? あの人に、あなたの素顔を見せられますか? 心優しき若だんなと妖たちが思案を巡らす、ちょっと訳ありの難事件。「しゃばけ」シリーズ第4弾は、ますます味わい深く登場です。鼻つまみ者の哀しみが胸に迫る「こわい」、滑稽なまでの厚化粧をやめられない微妙な娘心を描く「畳紙」、鳴家の冒険が愛らしい表題作など全5編。じっくりしみじみ、お楽しみ下さい!(裏表紙より)
しゃばけシリーズの第四巻。短編集。
「こわい」の悲しさよりも若だんなと栄吉の男伊達の話の方がときめいた。はっきりと言える栄吉も、誰かの為にと考えられる若だんなも素敵である。
「動く影」では子供がきゃいきゃいしているのが可愛かった。
一番好きなのは「ありんすこく」かな。まだ全然疎い若旦那。そういえばあんまり人とも接しないんだよな。でも心の動きが読める若旦那は男伊達があるよ! と思った。
若旦那がもし様々な事に接するようになったら、どうしてこんなに一生懸命なんだろうと考えたりするんだろうか。恋模様とかあったらいいなと思う。そうすればときめき成分が大量だ。

赤ん坊からおばあちゃんにいたるまで、美人でも不器量でも女性という存在そのものをとにかく無条件で愛する船乗りヒューリオン。そんな彼でも唯一苦手とする女性がいた。治療師シーリアだ。ある時、見知らぬ老婆に親切にした彼は、西の森の泉に行くことをすすめられる。そこで目にしたのは、カカシよりも無愛想なシーリアが、地面に両ひざをついて傷ついた獣のように泣いている姿だった!!(裏表紙より)
エネアド三部作の三巻目。
無愛想なシーリアと船乗りヒューリオンの話。ヒューの設定がいまいち書き切れていなくてもうちょっと! だったんだけれど、シーリアの設定が他二巻で上手く書かれているのでそれは十分だった。
やっぱり微妙に危うい濃い恋だった。一歩間違えばヒューの執着は病気っぽい。シーリアの恋愛下手さは、べたべたの展開だったけれどやっぱり良い! ちょっと大人向けな巻だったと思う。
終章の手紙は、昔シーリアがヒューに宛てたもので、多分ヒューの家族はその手紙の事を知っているんだろうと思う。母親が会いたいと言っているのは良い気持ちがあるからで、多分その手紙を知っているからではないかと。
外国の逸話なんかを樹川さんは詳しく知っていて、それがすごく上手くいかされている。楽魔女の時も思ったけれど、精霊と魔法をすごく不思議に、とても綺麗に書いている。すごく波長が合う。

ある事件を起こして宮廷を去ったセインは、修道士になることを決意した。そのためには、見習いの修練士として誓いを立てなければならない。——それは二年間口をきかないこと。誓いを守り続けて、一年以上がすぎた頃、修道院長に遣いを頼まれ、領主オーフとともにコウシェに向かう。とちゅう立ち寄った場所で、オーフの妹ララと出会う。まさかこの出会いが誓いを破らせることになるとは……!?(カバー折り返しより)
エネアドシリーズ二作目。主人公は美少女ララ。
はすっぱな口調で辺りを翻弄する人間だけれど、一番寂しがり屋であるというのが前面に押し出されている。セインは切れると何をするか分からない。一歩間違えば、この二人はちょっと危ない道に進んだんじゃないかと思う。
名前の秘密、恵まれない出生など、ライト的な要素が盛りだくさん。記憶喪失が出て来た時に「あ、これは本気でべたで恥ずかしいものを書こうとしているな」と感じた。
「わすれものを——してきたの。すぐにもどるわ」のシーンは感動的なまでにドラマティックだった。こんな展開大好きなんだよー。
ララがフォリスタ氏を妻として呼ぶ。そのシーンは切なかった。ララはあまりにも優しい。そして自分の意志を貫き通そうとする強さがある。ここが一番感動した。

ミシアは復讐するために王宮にやってきた。八年前、自分を子ブタ扱いした少年はアドルファ・オレン。屈辱をバネにミシアは美しく生まれ変わった。だがいま目の前に立つその彼も腹が立つほど綺麗なオトコに成長し、面差しには陰りをたたえる。「むかし、あなたに対してひどいことを言った」再開に際してアドルファはミシアに謝罪した。幼いころとはまるでちがう彼にミシアの心は波うった。(カバー折り返しより)
三部作の一巻。
見返して惚れさせてこっぴどく振ってやる! と思い成長した少女が主人公。少女小説としてはとてもときめきがあるストーリー。だけれど、簡単にはいかないところがすごく良い。アドルファの馬鹿みたいな恋愛下手、不器用さ、彼が好きだった女性の存在、王からの婚約者候補、エネアドを狙う陰謀など、盛りだくさん。
何より会話がふるってるなあ! すごくテンポが良い。
ミシアがただの田舎の美少女じゃなくて、頭が良くていざとなれば凛とする事が出来るというのが格好良すぎる。
緋色の椅子



ニオルズから旅立っていった幼馴染みのルカに会いに、セツは王都バーゼンへ。ルカは国王の息子で、王位を継ぐ為に王都に向かったのだ。しかし披露目の際に王として現れたのは、ルカではない全くの別人だった。
ルカを探すセツたち。セツたちの思いが辿っていこうとするルカの思いは、やがて多くの人々の思いの強さを問うていく。
一番大切にしたい漫画。
こてこての恋愛物より、心の繋がりを大事にしたいと夢見ている私には、ラストが泣けて仕方がなかった。
モノローグが祈りに満ちていて綺麗。
この言葉が二人のどちらでも意味が取れて、胸がぎゅっとする。
一話一話の細かい所が繊細な大きな物語を作っていて、あの伏線この伏線とラストに向けて綺麗に重なっていくのがたまらない。
巻末にある、物語の断片のたくさんの絵が好きです。ちょこちょこ小ネタが効いていてとても嬉しいし胸がときめく。こういうシーンがあったんだよと想像を巡らせるのが楽しい。
残念な事に好き嫌いが分かれる絵なんですが、私は好きです。話はもっと好きです。緋色を布教し隊。これは二回以上読んで伏線を探してにやにやすると良いと思う。



ニオルズから旅立っていった幼馴染みのルカに会いに、セツは王都バーゼンへ。ルカは国王の息子で、王位を継ぐ為に王都に向かったのだ。しかし披露目の際に王として現れたのは、ルカではない全くの別人だった。
ルカを探すセツたち。セツたちの思いが辿っていこうとするルカの思いは、やがて多くの人々の思いの強さを問うていく。
一番大切にしたい漫画。
こてこての恋愛物より、心の繋がりを大事にしたいと夢見ている私には、ラストが泣けて仕方がなかった。
モノローグが祈りに満ちていて綺麗。
さみしい時は
空をあおぎ
あの人の暮らす地の
空を想う
きっと幸せに
笑っていると
唱えて日々を
越えてきた。3巻・LAST ACTより
この言葉が二人のどちらでも意味が取れて、胸がぎゅっとする。
一話一話の細かい所が繊細な大きな物語を作っていて、あの伏線この伏線とラストに向けて綺麗に重なっていくのがたまらない。
巻末にある、物語の断片のたくさんの絵が好きです。ちょこちょこ小ネタが効いていてとても嬉しいし胸がときめく。こういうシーンがあったんだよと想像を巡らせるのが楽しい。
残念な事に好き嫌いが分かれる絵なんですが、私は好きです。話はもっと好きです。緋色を布教し隊。これは二回以上読んで伏線を探してにやにやすると良いと思う。

外国のスケベオヤジに売り飛ばそうと美少女たちをのせた”人さらい船”に、総長シアシーカもとらわれの身となっていた。団長ハルセイデスを筆頭に〈黎明の使者団〉は船を急襲! 無事、救い出すことに成功する。解放された人質の中に、男装した女騎士もいた。その名はアスティル。プラチナブロンドに印象的なブルーの瞳をもつ美しい女性。しかし”自分は女性ではない”と主張しだして…!?(カバー折り返しより)
「グランドマスター!」第二巻。
「楽園の魔女たち」の初期と比べて、文章が軽くなったように感じる。その分想像を掻き立てる、くすっと笑える所がかなり盛り込まれている。
ネタ的にはありがち。けれど細かい所、決闘の描写なんかが書き込まれていて面白い。
シアシーカの能力発揮は今回はなし。けれどちょこちょこフォローしているみたい? ハルセイデスとシンクロしているのか、この辺りは伏線だろうか。
ハルセイデスはすでに無意識にシアシーカに「そんな顔させたくない」と思うほど感情移入しているらしい。にやにや。ついでに休日になると妙に口調が砕けている。ラストの包帯巻きのシーンは嫌がっていないのがポイントだと思われる。