読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
SEとして働く望は、疲れていた。飲み会の帰りの電車で座ってしまったのもまずかった。寝過ごしてしまい、気付けば鎌倉……。
途方に暮れる望に、一匹の黒猫が近付いてきた。人懐こい黒猫に導かれるように辿り着いたのは、一軒の古民家。「営業中」の看板しかないが、漂う温かくいい匂いに惹かれ、勇気を出して入ってみると——
「うちの店にメニューはない。あんたに必要だと思うものを作る」
故郷の味、家庭の味。ホッとする料理が、いつの間にか元気をくれる。お代は言い値でかまいません。(裏表紙より)
ブラック企業に勤めていて少しずつ自分が磨耗しているのに気付かぬふりをしていた望は、寝過ごして鎌倉まで行ってしまって途方に暮れていたところ、料理店にたどり着く。故郷の味を食べたことをきっかけに新しい一歩を踏み出し、その店「めし屋」で働くことになるが。
その人が必要としている料理を出すことや、それをすっと出せてしまう店長の高羽の存在など、ちょっと不思議感がありつつも鎌倉の街を楽しんでほしいと思わせるような軽やかな作品だなあと思いました。優しい話なのでそれだけに、望を陥れようとした後輩をやっつけってほしかったかもと思わないでもないのですが、もう関わり合いにならないというのも一つの選択肢かなあ。
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