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黄蝶舞う黄蝶舞う (PHP文芸文庫)
源頼朝の娘・大姫。その今際「空蝉」。因縁は巡る頼朝と呪詛の物語「されこうべ」。一度死して戻ってきた頼家の最期「双樹」。三代将軍実朝と不思議な女童の正邪と裏表の物語「黄蝶舞う」、実朝を暗殺した頼家の嫡男・公暁の物語「悲鬼の娘」。呪詛と因業の時代短編集。

私が読んだのは単行本版。
うおお、すごかったー! 歴史物はほとんど読んだことがないのですが、『君の名残を』の浅倉さんだったので手に取ってみたけれど、この一冊、五編の流れいいなあ! 面白かった。
一貫して、呪いは巡り、人を苛み、因縁は断たれず、悲しみと死をもって巡るという一冊になっていて、清盛と頼朝から始まったものがお家断絶まで続くとは、なんとも言えない嫌な感じながらも、この生温いほど狂おしい情念が嫌いではない私です。
大姫と義高の物語はいわばプロローグで、「されこうべ」から黒々とした冷たい話が始まっていく。物の怪とか怨霊とかそういったものが入れ替わり立ち替わり現れて、呪詛のありかを源家の者たちに囁いていく。それにそそのかされるものもあれば、救いを見出す者もいる。「黄蝶舞う」の最後はよかったなあ……。何もかも悟ったような清々しさが現れていて、源家の最後、という感じが重く染みました。
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