読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
「嫁いできてくれ、雪緒。……花の褥の上で、俺を旦那にしてくれ」
幼い日に神隠しにあい、もののけたちの世界で薬屋をしている雪緒の元に現れたのは元夫の八尾の白狐・白月。突然たずねてきた彼は、雪緒に復縁を求めてきて——!? ええ!? 交際期間なしに結婚をして数ヶ月放置した後に、私、離縁されたはずなのですが……。
薬屋の少女と大妖の白狐の青年の異類婚姻ラブファンタジー。(裏表紙より)
おおー美学の世界だなあ! 糸森さんの書きたいものやこれが面白いでしょうという要素がいっぱいに詰め込まれた和風もの。しかも甘いだけじゃなくて怖い。ホラー要素めいた民俗学的なものもあって、あと「嫁」は「夜女」という意味で、という言葉のあれそれが好きな人にはたまらない世界観だと思いました。
ここに異類婚姻譚のときめきと怖さが入っていて、面白すぎる……と唸ってしまった。会話のテンポや次から次へと起こる事件という緩急が独特で。最後の種明かしが、雪緒自身が「こういうことなんだろうなあ」と思うに止まったのがちょっと残念だったのですが、とても楽しく読みました。
PR