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ブランコ乗りのサン=テグジュペリ
20世紀末に突如都市部を襲った天災から数十年後、震災復興のため首都湾岸地域に誘致された大規模なカジノ特区に、客寄せで作られたサーカス団。花形である演目を任されるのは、曲芸学校をトップで卒業したエリートのみ。あまたの少女達の憧れと挫折の果てに、選ばれた人間だけで舞台へと躍り出る、少女サーカス。天才ブランコ乗りである双子の姉・涙海の身代わりに舞台に立つ少女、愛涙。周囲からの嫉妬と羨望、そして重圧の渦に囚われる彼女を、一人の男が変える。「わたし達は、花の命。今だけを、美しくあればいい」(帯より)

いやあ……少女はいい……という気持ちになる少女の物語でした。
舞台に立つこと。パフォーマーであること。少女であること。矜恃。そうしたものがぎゅっと詰まって、最後にそういうラストに持っていくのかあと感心してしまった。面白いなあ。いいなあ。好きだなあ!
語り手は、サン=テグジュペリの身代わりである愛涙、動物使いのカフカ、歌姫アンデルセン。サブとしてパントマイムのチャペック。名前だけ登場する人もいますが、またこの名前がいいんですよね! 名前をまとう感じがいい。
自分の才能がわからずふさわしくないと思う愛涙、動物に寄り添い人間でいたくないと思うカフカ、サーカスを死に場所と定めているアンデルセン。そして死に物狂いでブランコ乗りであることに矜恃を持ち続けてついに舞台へ至る涙海。痛くて苦しくて、でもだいすきだという気持ちでひいひい言いながら読みました。少女はグロテスクでもあるというのがラストにつながった気がして鳥肌がたった。すごく好きな一冊でした。
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Author:月子
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