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暁の王女 名を持たぬ聖女と紫の王 (コバルト文庫)
エインズレイ王国の第二王女アイリーンが幼い頃に恋心を抱いた相手は、姉の婚約者ヴェンツェルだった。いつまでも捨てられなかった恋心は実ることもなく、ヴェンツェルは姉と結婚してしまう。初恋に破れたアイリーンは、戦場で敵味方問わず治癒活動をする「名を持たぬ聖女団」の一員として活動を始めるが、どこかの国の兵士に捕まり、傷付き臥せったひとりの青年を癒やせと言われ——!?
私が自分の意志で、彼に付いていきたいの!(裏表紙より)

『最後の王妃』の子ども世代のお話。最初「王族でありながら臣下の養女になるってどんな状況だ?」と思ったんですが、『最後の王妃』を読んでいたら納得。ルクレツィアとメルヴィンの娘として生まれたアイリーンは、ルクレツィアの恩人でもあるティアナとクラウスの養女となる。王と王妃が最も信頼を置く二人の娘として育てられ王籍から外れるものの、実の兄妹たちとは仲がいい。けれど姉の結婚相手であったヴェンツェルへの思いを捨てきれないでいたところ、すべてを忘れるために「名を持たぬ聖女団」の聖女(国境なき医師団のような活動をする女性)の一人として活動を始める。
さすがアイリーンの娘として育てられただけあるというか、ちょっと世間知らずなところはあるものの前向きで行動的な娘さん。思い込みが強くて生真面目なところはルクレツィアそっくり。
自分に何ができるのかを考え、自分の幸せを最後に選べてよかったなあという気持ちはあるんですが、できれば聖女としての仕事をまっとうしてほしかったなあというところもあり……。本当に逃避として人を救仕事をしていたように思えて、少し残念かも。彼女の聖女としての行動が何か実を結んだのかどうか知りたかったです。
しかし随所にいいシーンがたくさんあってよかった! ティアナとクラウスの出会いに介入していたということもそうだし、何よりラストシーン。末妹のマーガレットと幼い頃のアイリーンが重なるようなシーンはとても素敵でした! 読後の余韻が素晴らしかったです。
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Author:月子
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