読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
両親を失い、伯父の家に引き取られた綾乃。村祭の夜、サーカスから逃げたアナコンダに襲われた彼女は、危ういところを箒に乗った魔女に助けられる。魔女の正体は、村に来ていた女性民俗学者。怪我を負った綾乃は、救い主の母校で治療を受け、そのまま入学することに。だがそこは、妖怪たちが魔女と一緒に魔法を学ぶ奇妙な学校だった。第2回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。(裏表紙より)
閉塞感を感じる地方の暮らしの冒頭、そこから飛び出して生き生きと動き始める物語の面白いこと! 前半を過ぎたらぐいぐい読んでいました。
確かにこれは「RDG」で「ハリーポッター」だ。私たちが愛する物語を読んできた人が書いたお話だ、と思ってすごく嬉しかったです。
伯父夫婦に引き取られた綾乃はわがままを言わず、本を読むのが好きな少女。みんなに内緒だけれど山に住む白蛇のアロウという恋人もいる。ある日村の祭りで巫女役をやったことからアナコンダに狙われ、村に滞在中だった民俗学者の由希恵に助けられる。実は彼女、横浜にある人ならざるものたちの通う特別な学校を出た魔女だったのだ。
かくして人ならざる「妖魅」なるものたちが通う学校の一員となった綾乃。そこでの常識を知らない綾乃なので飛び交う専門用語なり決まりなりに戸惑うけれど、どんどん目覚めるようにして活発になって、できることが増えるようになるのが楽しい。
冒頭で白蛇のアロウと婚約を交わすのも異類婚姻譚好きとして大変どきどきしたんですが、学園生活での特別な男子生徒となる雪之丞がどのように絡んでくるか構えていたものの、彼、本当にいいやつでな! 意地悪かと思ったら、本の話で綾乃と通じ合えるところが微笑ましくて。
学校生活から一転する第三部、ものすごく意外な展開でびっくりしつつ、全部そこに収束するかあああ!!! と叫んで叫んで、最後はにっこり、幸せなため息をついて読み終わりました。第三部の重要な要素であるタイムスリップ、盛り込みすぎじゃないかと思ったんですが綾乃とアロウ、そして雪之丞の関係の決着としては最高の展開でしたね。こんなにきれいに、面白く決着した三角関係も珍しい。
楽しかったです。続編読もうっと!
PR