読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
老舗ホテルの一人娘として生まれた「眠り姫」は、経営不振の実家を救うためにお見合いをすることに。「ヘンゼルとグレーテル」は廃屋から届くケーキの注文に戸惑っていた。自分こそが学年一の美少女だと思っている「白雪姫」は、同じくらい美しい無愛想な少女の存在が気になっていて……。誰もが知る“グリム童話”を大胆にアレンジ! 人気作家の作品、全六編を収録。(裏表紙より)
谷瑞恵「なくしものの名前」ルンペルシュティルツヒェン
白川紺子「白雪姫戦争」白雪姫
響野夏菜「二十年」かえるの王様
松田志乃ぶ「のばらノスタルジア」眠り姫
希多美咲「お菓子の家と廃屋の魔女」ヘンゼルとグレーテル
一原みう「A Cinderella Story」シンデレラ
以上六編の短編集です。甘いばかりだけでなく苦い話もぞっとする話もあるけれど、とてもいい短編集だと思いました。
いちばん好きなのは「のばらノスタルジア」。老舗ホテルの一人娘である寧々(通称のばら姫)は、経営破綻しかけているホテルを救うために政略結婚前提のお見合いをする……んですが、経営破綻の理由が飽き性で数字に弱いけれど魅力的な男性である恋多き父親と、未亡人になったことで破格の資産を持ち手腕を振るう黒蜘蛛夫人こと三輪夫人、そして王子様役であるワーカホリック気味の厳つく手厳しいことを言う直人、というキャラクターがすごく面白くて、ふわふわしたお嬢さんである寧々も実は数字に強くて未来の経営者たる才能が眠っている……という「この続きを読みたい!」と思わせる素敵なロマンスだったんですよね。三十歳の直人とまだ十八歳の寧々、このふたりが進展するところはきっともだもだするんだろうなあ! という可愛らしさで、とても好きなお話でした。
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