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神殺しの救世主
これは、世界を拓く物語——。
長年に亘る戦で荒廃した世界。そこでは語り継がれる終末神話があった。「この世の命数が尽きる時、『邪神』が現れ、世界は終焉の時を迎える。しかし、創造神は一人娘をこの地に遣わし、その『救世主』は五人の『守護者』と共に人々を新世界に導く——」と。終末の到来を予感した少女・ノト。かつて『守護者』の責務から逃げた彼女は、王と、国と、神と、そして運命と斬り結ぶことを決断する!!(カバー折り返しより)

滅亡と再生の異世界ファンタジー、だけではなくてSF要素も含む。情動を持たない娘、ノトは、終末神話に語られる五人の守護者の一人『真実』であった義兄ホリディが死んだことで、彼の預言を知り、彼の意思を継いで守護者を集めて邪神と戦うことを決意する。
ノトは果たして救世主、それとも邪神? 預言の通りになれば仲間の守護者たちがみんな死んでしまうのは本当なのか? 笑うことも怒ることも泣くこともないノトがひたすらに自分のすべきことをやりながら、仲間たちを失いたくない、一緒にいたいという思いを育て、運命に立ち向かう。
ノトの淡々とした語り口と立ち回りの上手さで、ストーリーは王道、問題ごとも基本的にはすんなり片付く軽い読み心地なのですが、最後に登場する「生きていることは素晴らしいのか?」という問いやテーマはとても多崎さんらしいなあと思いました。途端にノトが不器用で、本当は弱いただ人でしかなかったことがわかってぶわっときました。いいファンタジーでした。
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Author:月子
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