読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
若美谷中学1年5組の塚原マチは、自分の意見を主張できない、頼み事を断れない、そんな性格を直したいと思っている。ある日、図書室で本をめくっていると、一枚の紙が滑り落ちた。そこには、丁寧な文字で『サクラチル』と書かれていた。貸出票には1年5組と書いて、消された跡がある。書いたのは、クラスメイト? その後も何度か同じようなメッセージを見つけたマチは、勇気を振り絞って、返事を書いた。困っているはずの誰かのために——(「サクラ咲く」他2編収録)(カバー折り返しより)
中学生から、と書いてあるちょっと児童書っぽい雰囲気の辻村作品。いつものぴりっとした刺々しさはなく、すいすいと読める話が三編収録。「約束の場所、約束の時間」「サクラ咲く」「世界で一番美しい宝石」これらにはすべてどこかに繋がりがあるというのが、いつも通りで嬉しかったです。
SF、真面目で気弱な中学生が大きく成長する友情もの、そして青春ものと、心にすとんと落ちてくるような素敵な中編ばかりで、やっぱり好きだなあ……と思いました。「サクラ咲く」は長編になるともっとずっと痛い話になるんだろうけれど、春が来る、花が咲く、生き生きとした、未来への展望が感じられるいい話で、すごく好きです。
そして、みんなちゃんと大人になって、友人との繋がりを持ったままなのがすごく嬉しかった。
PR
この記事にコメントする