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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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「子どもたちは夜と遊ぶ」(上)
(下)

浅葱と狐塚、恭司と月子は同じ大学へ通う友人同士。大学の主催する論文コンクールに応募していた浅葱と狐塚だったが、最優秀者には留学が贈られるとあって、月子は離ればなれになってしまうかもしれない狐塚と別れる決心をしていた。しかしコンクールで最優秀を取ったのは浅葱でも狐塚でもなく、謎の人物「i」。数年後、起こり始めた連続殺人事件、その犯人は「i」と名乗る。巻き込まれていく彼ら。果たして「i」とは。彼らの思いの果ては。

悲しかった。いつも思うのだけれど、この人の作品は登場人物の心理描写が上手くて、いつも溜め息を吐きながら読んでしまう。彼と月子の擦れ違う片想いとか、月子と紫乃の歪んだ悲しい友情とか、月子と真紀ちゃんとの穏やかな関係とか、私はずっと月子の視点で見ていました。月子が彼の為にあれを飲み込み、事件の後目が覚めてああなってしまったのは、とても悲しかった。苦しかった。彼女の存在は彼らにとって光であったんだと気付くと、悲しくてしょうがなかった。子どもたちは彼らであり、彼女はそれを照らす月だった。
個人的謎。冒頭と末尾にある「あい」に対する言葉遊び。結局「藍」とはなんだったんだろう。
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「凍りのくじら」

藤子・F・不二雄を愛するカメラマンの父・芦沢光が失踪してから五年。病に倒れた母の死が近付き、壊れそうになっていく家庭を支えていた理帆子。深く人と関わらない自分を「少し・不在」と呼ぶ彼女の前に、青年・別所あきらが現れた。しかし、昔の恋人の存在が理帆子を苦しめていく……。

すごく素敵な作品でした。この方の作品はいつも静かな印象を与えるのですが、今回もそう。人が正直に描かれていて、いつも読んでいて胸に痛い。藤子・F・不二雄が言った「SFは少し・不思議(Sukoshi・Fushigi)」という言葉から、理帆子が人に対して「SF」という言葉で的確に表現していくのが、とても面白かった。
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Author:月子
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