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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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絵巻物語 フェアリーテイル―シンデレラからアラジンと魔法のランプまで
非常に豪華な一冊。全ページ絵がある。絵はどこかアジア系というか、異国っぽい人物が描かれてある。そして箔押し? 金の印刷が入っていてきらきらしている。非常にバブリーである。
収録作品は「シンデレラ」「眠れる森の美女」「美女と野獣」「ルンペルシュティルツヒェン」「ラプンツェル」「白雪姫」「アラジンと魔法のランプ」「赤ずきん」「火の鳥」「ヘンゼルとグレーテル」「カエルの王子」「白鳥の王子」。
「ルンペルシュティルツヒェン」は多分ルーン@西魔女の元ネタだな……と思いながら読んだ。ルーンは名前がなかったものなあとか。
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ビルマの竪琴 (新潮文庫)
ビルマの戦線で英軍の捕虜となった日本軍の兵隊たちにもやがて帰る日がきた。が、ただひとり帰らぬ兵士があった。なぜか彼は、ただ無言のうちに思い出の竪琴をとりあげ、戦友たちが合唱している”はにゅうの宿”の伴奏をはげしくかき鳴らすのであった。戦場を流れる兵隊たちの歌声に、国境を越えた人類愛への願いを込めた本書は、戦後の荒廃した人々の心の糧となった。(裏表紙より)

染み入りました。読みやすかったし、理解もしやすくて。
読み終わった後、うたう部隊のみんなが一斉に空を見上げたような気がしたのは、きっと色々なものを巡る心を解き放つように、堪えるような気持ちになったからだなあとか、詩人的に考えたりしました。
最初の戦闘の緊迫感から、水島上等兵を待っている焦燥、部隊の人々の苦肉の策など、ドラマがたくさん詰まっていて、素晴らしい小説でした。けれど一方で、その当時の現実を恐らくかなりリアルに書いていたように思います。私たちは想像でしか知らないけれど。でもこの作品を読んだら、澄み切った人々の瞳が浮かんでくるようで、やはり最後に空を見上げたくなるのでした。
グリム童話の世界―ヨーロッパ文化の深層へ (岩波新書)
魔女や小人、魔法の鏡、そして継母によるいじめ、動植物への返信……。「シンデレラ」「白雪姫」など19世紀ドイツのグリム兄弟が編んだメルヘンは、今も世界中で愛されている。だが、それらは本当は何を語っているのだろうか。キリスト教が広まる以前の神話・伝承にまで遡り、民衆の習俗や信仰、夢や恐怖に迫る、発見に満ちた案内。(カバー折り返しより)

非常に面白かった。ほうほうほう! となった。
触れている作品は「シンデレラ」「眠れる森の美女」「ホレおばさん」「白雪姫」「ラプンツェル」「蛙の王さま」。どれも馴染みのある作品ばかりで、文章も分かりやすかったし、何より知らないことがたくさん書かれてあって興味深かった。
「シンデレラ」の類話に関してが特に興味深かった。世界中のシンデレラに触れてあるところがあった。
そういえば全然関係ない話だけれど、「鵞鳥番の娘」、小学校低学年の時にすごーく好きだったのを思い出した。確か髪の毛を梳いている時に近付いて髪を取ろうとする少年に、主人公は風よ吹けと唱えて、というシーンを思い出した。
TOKYO STYLE (ちくま文庫)
豪華な写真集や分厚い雑誌に出てくるようなインテリアに、いったい僕らのうちの何人が暮らしているのだろう。でも小さい部屋にごちゃごちゃと気持ち良く暮らしている人間ならたくさん知っている。マスコミが垂れ流す美しき日本空間のイメージで、なにも知らない外国人を騙すのはもうやめにしよう。僕らが実際に住み、生活する本当の「トウキョウ・スタイル」はこんなものだ!話題の名著文庫化!(裏表紙より)

1990年くらいの日本の、アパートやマンションや寮などの普通の人々が暮らしている部屋の写真集。非常に面白かったです。みんな結構雑然と暮らしているものだよなあ!
綺麗なお屋敷の写真集も非常に楽しいのですが、こういうごったごたの、何が置いてあるか家主にしか分からない部屋というのも大変面白いです。
書斎の部屋の写真があったのですが、本棚写真集があればいいのにと思いました。あと大学の寮の写真集とか。この本に掲載されていた芸術大学の寮の写真が非常にカオスで面白かったです。
エバーグリーン (双葉文庫)
漫画家になる夢をもつアヤコと、ミュージシャンを目指すシン。別々の高校に進学することになったふたりは、中学校の卒業式で、10年後にお互いの夢を叶えて会おうと約束する。そして10年。再会の日が近づく。そのとき、夢と現実を抱えて暮らすふたりの心に浮かぶものは……。
単行本刊行時、大反響を呼んだ青春小説の傑作がついに文庫化。恋と夢と現実のはざまで揺れ動くあなたに贈る物語。(裏表紙より)

すごーくすごーくすごーーーく良かった!
少女と少年が、十年後にお互いの夢を叶えて会おうと約束する。中学生の二人は、相手が自分に力を与えてくれる存在だと知っているものの、大切すぎて恋人とかそういうものではない、というシチュエーションにまず悶えた。ピュア! ピュアすぎる!
十年の月日が流れて、シンは現実を目の当たりにして夢を諦め、アヤコは夢を叶えながら現実を遠くにしている、という相反する二人の状況がすごい。そこから二人がそれぞれに遠くにしていたものを見ようとして、掴もうとして、もがいて、その後にようやくやって来た二人の再会、というのが盛り上がりすぎてもうぼろっぼろ泣いた。シンクロしすぎた。
感動した。バイブルにする。オススメありがとうございました!
カーリー ~黄金の尖塔の国とあひると小公女~ (ファミ通文庫)
——ヴィクトリア王朝時代の面影薫る英国領・インド。14歳だったわたしは、祖国イギリスを離れ”国王の王冠にはめられた最大の宝石”と謳われた東洋の地で、一人の少女と出会う。オニキスの瞳に神秘的な雰囲気をあわせもつ彼女の名前はカーリー。彼女は、遠い異国の地で出会った、わたしの運命そのものだった——! 激動の時代に、イギリスとインドのはざまで描かれる運命の恋を描いた、高殿円のヴィクトリアン・ラブ・ストーリー、遂に開幕!(裏表紙より)

すっごく良かった! これは世界名作劇場でアニメ化してほしい……。
後妻の厄介払いでインドの寄宿学校に放り込まれることになったシャーロットは、教会の天辺の十字架に座るオニキスの瞳の美しい少女を目撃する。彼女は寄宿学校で同室となる少女、カーリーガード=アリソン。カーリーは言う。この身分社会という枠を取り払いましょうと。しかしシャーロットは、それは寄宿学校での身分上下、小さな王国(ステーション)であるオルガス女学院でのことだと思っていたのだが。
女の子ばっかりでかわいいなあとほわほわしていたら、少女漫画的要素ががーんと放り込まれて、すっごくかわいいと思った! ときめき、じゃなくて、いいなあかわいいなあというニュアンスを汲み取っていただきたい。とても良かったです!
盗神伝〈2〉アトリアの女王(前篇)―復讐盗神伝〈3〉アトリアの女王(後篇)―告白
「神よ、やめてくれ!」
アトリアの女王にとらえられた盗人ジェンはあまりにも残酷な刑を受けなければならなかった——。
アトリア、エディス、ソウニスの三国間の緊張が高まるなかは以後からせまりくる強大な帝国メデアの影……!?
戦いの渦は、それぞれの思惑を巻きこみ、さらに大きくなっていく——。(前編、折り返しより)

アトリアに侵入したジェンが、惨い刑を受けるところから物語開始。
わくわく冒険ものっていう児童文学おなじみな感じがあんまりなくて、政略がメインな感じがした。1の一人称から、2は三人称へ変わっているけれど、相変わらずしっかりした足取りで進む物語。
もし子どもから大人になることへの物語だとしたら、これほどきつい話はないなあと思う。右手を切り落とすのは、主人公としてはあまりに過酷だ。前編ラスト「……いかせてくれ」の辺りは、なんか暗く笑っているジェンが浮かんだ。
後編ではアトリアの女王を盗むと決めたジェン。ジェンのアトリアの女王に対する思いが告白されて、ぶっ飛んだ。でもなんとなく、ジェンは寂しいと感じている人、自分が不足していると思っている人などに感情を寄せている気がする。つまり放っとけない感じ。
アトリアの女王が『ひとり』である、ということをうまく使っているオチだったなと思った。そんな気はしていたのだけれど、もしこれでアトリアの女王に信頼される家臣がたくさんいたなら、このオチはあっというものになっていなかったかも。
アトリアの女王とエディスの女王の、名前呼びの周辺がとても好きだ。女王の仲良しは良い。
不思議な印象の物語だなあ、本当に。軽い感じはしないし、とことんファンタジーなわけではないし、冒険でもない。でも輪郭が濃く太い感じがした。
盗神伝〈1〉ハミアテスの約束
「なんだって盗める」
代々、盗人の家系に生まれついたジェンは町中で、そういいふらしていた。
彼にはある重要な目的があったのだ——。
アメリカで話題の冒険ファンタジー、日本初上陸!(カバー折り返しより)

主人公ジェンの一人称で語られる。でも、子どもらしい浮ついた感じはなくて、ものすごく頭の良い落ち着いた、それ故に生意気の少年、という感じ。
旅の途中のちょっとした小競り合いは、普通の物語だったらもっと大げさに書かれていたように思うんだけれど、基本あっさりと終わる。なんだかすっきりしないなあと思うところもほんの少しあったんだけれど、読み終わった今思うと、読者に考えさせるためなんだなあと思った。
ラストもそういうラスト。淡々とした語り口としっかりした足取りの不思議な印象の物語でした。なんだか好きです。神話とか絡めてあるのも素敵だけれど、物語の形がとても。
夜市
夜、森の中で開かれる市『夜市』。異界の住人たちが行き来するこの場所に行こうと言い出したのは、同級生の裕司だった。親切な老紳士と話し、彼に案内された場所で買い求めるものとは。「夜市」「風の古道」の二編。

ホラーに馴染みがないのでよくわからないけれど、しっとりとしたいい文章だなあと思った。個人的にはもっと書き込みが欲しい感じがしたけど、それは私感。
夜市の意外な結末と、風の古道の結末の流れがどうも似ている気がするけれど、私は風の古道の法が好きだなあ。ラストページの締め方がとても好きだ。
 これは成長の物語ではない。
 何も終りはないし、変化も、克服もしない。

その後も続くのが感じられる。物語後の諸々の事情はどうなったんだろうなあ。
名前探しの放課後(上)名前探しの放課後(下)
依田いつかが気付いた時、そこはいつかの知る時間から三ヶ月前の日だった。何が起こってタイムスリップをしたのか分からず、話している間に、終業式の日に自殺したクラスメートのことを思い出す。だが同学年のどのクラスの誰が自殺したのかからないと、いつかは、相談した同級生坂崎あすならと放課後の名前探しを始めた。

さすが辻村深月という感じのすごい話の組み方だった!
上巻は泳ぎを教えるまでの話。上巻を読んでいたときは、いつかとあすなの視点が交互するのが辛いなと思っていた。その理由はちゃんと下巻で明らかになる。
いつかのキャラクターがいいなあ。チャラいけれど馬鹿ではない感じ。秀人が親友っていうのもなんか分かる気がする。椿ちゃんがかわいくて、天木はかっこいいけどこんな高校生いるのか! と思いながら楽しく読んだ。一番感情移入したくなるのはあすなで、派手な面々を遠巻きにする時のちょっと苦しいときの思いがよくわかる。
自殺者を探すという名目だけれど、仲良しが本当にいいなあ! いつかやあすなが、関わらないと思っていた人たちと日々を過ごしていくっていうのがすごくいい。
このままでは終わらないだろうなと思っていたら正にその通りで、自殺者が○○だったというのは衝撃だった。私はてっきりいじめっ子が自殺するんだと思ってた。でもよくこんなことを考えついたよな、みんな。いつかに引っ張られたってことかな。いつかとあすなの視点が交互するのは、真実を知る台詞の裏側を隠すためだったわけだな。本当にすごい。
ラストの始業式のシーンはぞくぞくした。息を詰めて読んだ。せつない。すごく、胸が詰まった。今まで何のためにやってきたかということが分かって、すごく泣いた。
「ぼくのメジャースプーン」再読推奨と言われていたので、人物だけぱらっと読んでいた。もしかして「ぼく」と「ふみちゃん」が出るのかと思っていて推理していたら、やっぱりのあの二人だった。二人とも素敵な青少年になったなあ。でもオチのつけ方はやっぱりこれを読んでいないといまいち分からないというのが不親切かも。郁也と理帆子も出てきて、総集編みたいな形で辻村信者としてはとても良かった。これはオススメ! でも「ぼくのメジャースプーン」と「凍りのくじら」必読。
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Author:月子
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