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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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世界小娘文學全集----文藝ガーリッシュ 舶来篇
文藝ガーリッシュの、外国作品版。一作品につき、2〜3ページで紹介。この紹介文が、とても好きだなあ! と思う。すましたかわいい文体だ。読みやすいし、好きだ。相変わらず、装丁がとても可愛いです。
中身は章立てて、テーマに沿って紹介。「をさなごころが終わるとき。」「結婚の毒と蜜。」など。外国作品にはあんまり触れてこなかったので、面白そうなものをたくさん発見できました。
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青空チェリー (新潮文庫)
ゆるしてちょうだい、だってあたし十八歳。発情期なんでございます…。第一回「女による女のためのR-18文学賞」で読者賞受賞した「青空チェリー」。戦時下、「教授」と「ダーリン」の間で揺れる心を描いた「ハニィ、空が灼けているよ。」。そして文庫書き下ろし「誓いじゃないけど僕は思った」。明るい顔して泣きそな気持ちがせつない、女の子のための三つのストーリー。(裏表紙より)

私が読んだのは文庫版。単行本版から、「青空チェリー」以外の作品はかなり改訂してあるそうです。好きだなあ、豊島さんの作品。ちょっとふてくされているような、すましているような、けれど折れやすくて、破裂しそうな感情をめいっぱいに抱えた人たちが主人公だからなのかな。こういうのを、少年少女というのかもしれない。
一番好きなのは、収録作で一番長い「ハニィ、空が灼けているよ。」。主人公の頭の良さや、結末にちょっと物足りなさを感じるけれど、たった二十一歳の女性は、やっぱりまだ揺れ動く少女なのだなあと思う。「教授」と「ダーリン」に抱く感情はそれぞれ違うけれど、このどちらを選ぶかが、子どもと大人の境目なのかもしれないな。
底辺女子高生 (幻冬舎文庫)
「本当の私」なんて探してもいません。みっともなくもがいてる日々こそが、振り返れば青春なんです——。「底辺」な生活から脱出するため家出した高校二年の春。盛り下がりまくりの地味な学祭。「下宿内恋愛禁止」の厳粛なる掟。保健室の常連たち。出席時数が足りなくて、皆から遅れた一人きりの卒業式。最注目の作家によるホロ苦青春エッセイ。(裏表紙より)

分かる分かる! というエッセイでした。そうだから、胸が痛くてたまらなかった。これは封印したい過去にぐさぐさ刺さる……。何が悪いでもなかったけれど、自分がそこに馴染んでいない浮遊感や、人の反応が怖かったり、「ユニット」があったり。それらすべてが大嫌いで、世界が嫌いで、自分が嫌いで。読んでいて笑えるんだけれど、すごく苦しい。これは私なんじゃないかと思ったりする。
しかし豊島さんがすごかったのは、家出したことだな! 自殺するでもなく、家出を選んだのはすごい。色々ぼろはあったけれど、出て行こうとしたのはかっこいいなと思いました。
花咲く丘の小さな貴婦人 林檎と花火とカエルの紳士 (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)
イギリスに来て半年。寄宿学校生活に慣れてきたエリカは、ガイ・フォークス・デイの祭りに参加したいと思いつき、外出許可を得るため、万聖節のバザーへの出品を計画する。しかし協力をたのんだ男子寮の監督生ジェラルドはいい顔をしない。おりしもエリカは、男嫌いの新入生キャロルが起こす騒動に巻き込まれる。グレイ校長は、これらの解決策としてエリカを女子寮の監督生に指名するが!?(カバー折り返しより)

男子校と女子校が隣り合った寄宿学校を舞台にした、準男爵の血を引くイギリスと日本のハーフの少女エリカと、レディズ・カレッジの友人たち、男子校の生徒たちの学園もの。一巻と変わらず乙女できゅんきゅんしました……! かなりときめきのシリーズです。「カエルはいつか王子様になる?」って! かわいすぎて! もう!
前回は三人だったカレッジにも、わけありな新入生が三人入ってきた。女子同士身分差の諍いがあり、男嫌いの下級生がいたりと、少女たちの関係性も大変おいしい。男子は男子で、エリカに対するロジャーとジェラルドの位置も一巻に比べてはっきりしています。ジェラルドが本当に不器用な俺様でかわいいな!
チョコレート工場の秘密 (ロアルド・ダールコレクション 2)
チャーリーが住んでいる町に、チョコレート工場がある。
世界一広大で、世界一有名なワンカの工場。
働く人たちの姿をだれも見たことがない、ナゾの工場!
そこへ、五人の子供たちが招待されることになった。
招待状の入ったチョコレートは、世界にたったの五枚。
大騒ぎになったけれど、チャーリーには望みがない。
貧しいチャーリーがチョコレートを口にするのは、
一年に一度、誕生日に、一枚だけなのだから……。(カバー折り返しより)

映画の方の印象が強すぎて、脳内ビジュアルがハリウッドスターだけれど、映画は結構忠実に作ってあったんだなあと思いました。
貧乏なチャーリーが誕生日のチョコレート一枚だけというのもどきどきしましたが、おじいちゃんのへそくりでもだめ、でも空腹に耐えかねて拾ったお金で買ったら、見事招待状を引き当てた。拾った、というところがちょっと「ん?」と思いましたが、父親の働いていた工場が閉鎖し、食べるものにも困っていたのだから仕方ないのかな。この辺り、拾ったお金の行く末は外国ではどうなんだろう。日本と価値観が違うのかな。
ワンカの工場はすごい。楽しいなあ! 子どもたちが次々と懲らしめられていくところが気分がいい。訳がものすごく素敵で、ウンパッパ・ルンパッパの歌の詞が、韻を踏んでいて面白い。
チャーリーの大逆転も楽しかった一冊でした。
カミングアウト! (ヴィレッジブックスedge)
携帯電話の数だけ自分を使い分けている孤独な少女、さちみ。
職場でお局となりつつ、ロリィタ趣味を隠し続ける29歳OL、リョウコ。
子育てを終え、もはや母親でも妻でもなくなった女、史緒。
結婚できないまま人生の終盤を迎えようとしているサラリーマン、臣司。
そして、定年になる横暴な夫に復讐を誓う妻、初恵。
心に抱えた秘密をカミングアウトするとき、人はどう変わるのか?
人気作家、高殿 円が現代ものに初挑戦、注目の清涼ストーリー。(裏表紙より)

私が読んだのは新装版じゃなくて、ヴィレッジブックスの方。
世界観人物リンクの連作短編。それぞれのお話が別のお話に繋がって、一番最後の章で「カミングアウト」するストーリー。面白かったー。それだけじゃなくて、みんな何かしら秘密を抱えている、その秘密は本当に秘密にすべきことなのか、そのルールは誰が決めた? と問いかけているところも、深いなあと思う。
臣司のお話がいいなあ。四十六歳と十七歳女子高生。最後にさちみが乗り込んでいくところは、やっぱり青さっていいなあと思う。世界に問いかけるのは何故かいつも未成年なのだ、と思ったりする。

新装版の徳間文庫のものも貼っておく。
カミングアウト (徳間文庫)
十一月の扉 (新潮文庫)
中学二年の爽子は、偶然みつけた素敵な洋館「十一月荘」で、転校前の数週間を家族と離れて過ごすことになる。「十一月荘」の個性あふれる住人たちとの豊かな日常の中で、爽子は毎日の出来事を自分の物語に変えて綴り始めた。のんびりしているようで、密度の濃い時間。「十一月にはきっといいことがある」——不安な心を物語で鎮めながら、爽子はこれから生きて行く世界に明るい希望を感じ始めていた。(裏表紙より)

再読。最初に読んだ時、あまりの素敵さにいつか絶対もう一度読みたいと思っていたのですが、今年ようやく読めました。読み始めたのは十一月だったのですが、読み終わる頃には十二月になっていました。
学生は喫茶店に入ってはいけないというようなことがあったので、書かれている年代は昭和くらいだと思うのですが、爽子の瑞々しい感覚がまったく古臭くなくて、読んでいると、以前よりずっと綺麗に、すうっと馴染んで、こういう目を持った登場人物に会えることをずっと望んでいたように思いました。母親との小さなすれ違いを感じていたり、友達に対して後ろめたいと感じることがあったり、年頃の少女たちを一歩引いたところで見ていることなど、本当に、たまらなく愛おしいと思う。少女というものを、この作品では瑞々しい、しなやかな植物のように描いているよなあと思ったのでした。文学少女というところにきゅんきゅんきていただけかもしれないけれど。
登場人物は、ほとんど女性ばかり出てきます。様々な人々のおしゃべりや、関わり合いが心地よくて、以前より、ずっとずっと大好きな一冊になりました。
オススメです。
花咲く丘の小さな貴婦人 寄宿学校と迷子の羊 (花咲く丘の小さな貴婦人シリーズ) (コバルト文庫)
両親をなくしたエリカは、唯一の身寄りの祖母に会うため父の故郷イギリスへやってきた。だが日本人を母に持ち地主階級(ジェントリ)の自覚なく育ったエリカは、孫と認められず祖母に会わせてもらえない。途方にくれた彼女は、祖母の知り合いが校長をつとめる寄宿制の女子校を訪れ、貴婦人(レディ)となるための教育を受けることになる。決意を新たにするエリカだったが、そこは男子校が隣接する少し変わった学校で!?(カバー折り返しより)

面白かったー! 主人公エリカの真っすぐなところはとても好感を持てる。物怖じしないところがかわいい。頑張る女の子がきらきらしてる。新しい女性像が生まれつつある時代の、眩しいところを見た気がしました。寄宿学校の色々や、家柄、女の子の仲良しや、男の子たちのプライドなんかも、すごくきゅんきゅんでした。
結末にはもう、家柄の良い家の当主に認められる、というところの美味しいところがぎゅっぎゅっと詰まっていて、とてもいいお話を読んだと思いました。
おすすめされた本だったのでした。面白かったです! 続きも揃えるぞー!
遠征王と秘密の花園 (角川ビーンズ文庫)
最愛のいとこどの(ゲルトルード)の結婚にショックを受けるアイオリアのもとへ、さらなる衝撃報告がもたらされる。第一寵妃のオクタヴィアンが後宮を“卒業”するというのだ。彼女の引退をなんとしてでも阻止したいアイオリアに、オクタヴィアンは交換条件を申し出た。曰く、「《花園》に殿方を入れてくださいませ」……。
後世に遠征王と名高いパルメニア王アイオリアI世(注:♀)の後宮《花園》をめぐる、必笑ファンタスティック・ストーリー!(裏表紙より)

『運命よ〜』の前ぐらい、後宮が解体されていく少し前のお話。いきなりとてもファンタジーになっていましたが、とても楽しかった。扉を開けた向こう側、というのはとても好きです。この世界、すごく深くて果てがないのだなあ。しかしそろそろ過去の人の名前とどういうことをしたのかというのが一致しなくなってきたので、まとめが欲しい。
番外編という位置づけでも、大きなお話の一部なのだというのが、最後のゲルトルードとソフィーの会話で分かって、幸せな気持ちで本を閉じた。こういう、回想とか、邂逅とか、時間を越えて何かを思うというのに弱いんだ。
遠征王シリーズ、とても面白かったです!
運命よ、その血杯を仰げ―遠征王と隻腕の銀騎士 (角川ビーンズ文庫)
敵国ホークランドの地で、ミルザ将軍のもとに囚われてしまった女王アイオリア。一方パルメニアでは、大公ゲルトルードの命をうけた銀騎士ナリスが、主君奪還のために動き始めていた。
「……わたしはただ、あなたを守る剣でいたかった」
「そんなふうにおまえに側にいてほしいわけじゃない!」
消えゆく命、ほどける糸、そして闇の中で見失い、光の中でふたたび手に入れるものとは?——遠征王、その最後の遠征!(裏表紙より)

コメディでライトな陰謀ものだった一巻がここまでシリアスになろうとは! しかしどっちも好みです。すごいシリーズだったなあ(もう一巻あるけれど)。登場人物たちがそれぞれ闇を抱えながら、大切な光をそれぞれの胸に宿し……その結末。
光を手にしたかったというのは共通してあるだろうけれど、女性陣は母親になりたかったのだなあと思いました。子ども、母親、血縁あるいは血というキーワードがものすごい因縁をまとってシリーズで語られているような気がして、ぞくぞくとしました。特にベルディナッドのくだりは恐ろしすぎた。人間はどこに立っているのかというベルディナッドの叫びが。

「自分の作り出した闇の上だ。おまえたちは、生きている以上、光の上を一歩も歩くことはできぬ!」
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Author:月子
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