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読んだ本とか、漫画とか、映画とか、色々
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淀川でバタフライ (講談社文庫)
“日本一おもろい旅人OL”てるこのルーツ、ここにあり! 50歳を過ぎて、腹話術師になったおかんとの爆笑バトル。石仏の如く動じないおとん。「ガンジス河でバタフライ」の前に泳いだ元祖は淀川だった! ハチャメチャで痛快な、抱腹絶倒の日常エッセイ第一弾。〈『お先、真っ白』に新作エッセイを加え、改題〉(裏表紙より)

関西弁満載なエッセイ。破天荒なおかんと石仏のようなおとんと、たかのさんのやり取りが、こんなの本当にあるの? というおかしいやり取り。大阪のおかんの無茶苦茶さは知っているつもりだったけれど、これはちょっと迷惑レベルでは! なんて思いながらも楽しく読みました。おかんの無謀さに恥ずかしい思いをする時期って、あるよね……。
友人たちのキャラもすごく、特にいい間違いはすごい。コントでしか見ないよ!
かと思えば、青春時代のきらめきと静かな影の出来事を書いていたりして、しんみりもする。
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陰翳礼讃 (中公文庫)
人はあの冷たく滑かなものを口中にふくむ時、あたかも室内の暗黒が一箇の甘い塊になって舌の先で融けるのを感じ、ほんとうはそう旨くない羊羹でも、味に異様な深みが添わるように思う。(本文より)
——西洋との本質的な総意に眼を配り、かげや隅の内に日本的な美の本質を見る。(裏表紙より)

日常にある、日本的な陰翳と明るさを西洋のものと比較した随筆。昭和初期から半ばくらいにかけてのものなので、西洋に傾きつつある日本、開発されていく日本の町の風景が覗く。
最初の「陰翳礼讃」の章がすごくて! そうそう、そうなんだよ! と頷くことしきり。読んでいて思い出したのは、自分の塗り物に関する記憶。私は、塗り物があんまり好きでなくて、どうしてこうぎらぎら光を跳ね返すものがもてはやされるんだろう? と思っていたのですが、多分蛍光灯の下で見ているせいでしょうね。元々、蝋燭や灯籠の側で見るものだから、もっとしっとりと影に触れるようなものであると思うのです。建物や内部の濡れたような黒さや、灯りに照らされる闇という言葉。そういうものを知っている人がいるんだ! と思いました。
わが王に告ぐ―エヴァリオットの剣 (角川ビーンズ文庫)
「わたくしのアルフォンス陛下が、男と——結婚!?
そんなのぜったい認めませんわ。ぶっツブしてくれます!」
お妃候補(だったハズ)のじゃじゃ馬姫・アンナマリアが、真相究明のためにとったトンデモナイ行動とは?
「わが王に申し上げます(エスト・ミ・デルタ・ロジェンダス)」……至上の存在に、そう語りかけるものは誰か。国王の結婚と、炎の宝剣エヴァリオットをめぐって、いま公私混同陰謀劇の幕が上がる!(裏表紙より)

前二巻に対して、後日談的な印象のある、陰謀なども若干ライトな三巻目。ファリャ宰相の娘アンナマリアの大騒ぎと、アルフォンスとマウリシオ、キースのその後。
キースは成り代わりをしていた頃は王様らしかったのに、すっかりすれた大人の男になっていました。対して、アルフォンスは挿絵の威力もあるのですがとても可愛らしいお嬢さんに。王と国という物語から、この巻は非常に女性陣が強く、コメディっぽくなっていてそれが嫌かというとそうじゃないんですが、なんだか軽い巻になっていていい後日談だったと思います。
遠征王やパルメニア史にまつわる色々もあり、他の作品を読んで関連を探したくなる。
しかし、何故か異様に誤字脱字が多いんだよな……。改行も変だし。意図してやってるのかな。
ミゼリコルドの聖杖 永遠はわが王のために (角川ビーンズ文庫)
キースに裏切られ玉座を追われたアルフォンスは、反貴族派レジスタンスに加わりながら、“王を戴かないパルメニア国”の進むべき道を模索していた。一方、偽王の疑いをかけられ進退窮まったキースは、ついにアルフォンスとの接触を図って——。
「……わが王に、永遠の忠誠をお誓い申し上げる」
侍従マウリシオが膝を折るのは、果たしてどちらの王の御前か。パルメニア物語最大の謎がいま明かされる。衝撃の結末を見よ!(裏表紙より)

偽物の王キースか、レジスタンスにいる正統な王アルフォンスか。他国からの侵略と貴族たちの思惑のもと、国は動き、未来へ漕ぎ出す。アルフォンスはすごく大人になった。知恵と力の使い方を知って、誰かのために動くことができるようになった。
しかし、パルメニアシリーズの主従の「従」の人って、どうしてこうもおかしい方向にねじくれてるんだろう! お前はまったくいい従者だよ! っていう気持ちと、この朴念仁が! という。手のひらで転がされた怒りは分かる。なんか変だなーと思っていた人物も、実はそうでしたという事実にあっと言わされたのは悔しいなあ。そして初恋をこじらせた人たちの歪みが。高殿作品! って感じだ。
バルビザンデの宝冠 王の星を戴冠せよ (角川ビーンズ文庫)
重大な秘密を抱えたまま王位に就いたアルフォンスは、ある日偶然にも、自分と同じ顔を持つ少年・キースと出会った。
王の責務から逃れたいアルフォンスは、かりそめの自由を満喫するために“互いの立場を入れ替える”という悪戯を思いつく。それが、従順な協力者のふりをしたキースの策略とも知らずに。
「……アルフォンス、お前に王の資格はない!」
パルメニア物語の原点がここに! 高殿円、渾身の衝撃作!!(裏表紙より)

パルメニアシリーズ。時代的にはプリハー、遠征王より後。無性体のアルフォンスと、そっくりな少年キースが入れ替わりと、王制と貴族支配、市民の革命が起こる物語、でいいのかな。プリハーを読んでいると、剣と魔法と精霊、伝説が生きるあの時代から、やがて一般市民が立ち上がる革命の時代が来るのかととても感慨深い。
才能を持ち、王子に生まれながら、力を腐らせるアルフォンス。かたや、入れ替わりの国王になりながらもあのエヴァリオットを従えてしまったキース。生まれついた星、というのは罪深いというか、運命的だと思わずにはいられない。そうして国を支えよう、変えようとしている若者たちがいる一方、腐敗した貴族たちがいるわけで。
面白いよう、面白いよう、と言いながら読みました。続きが気になるところで引いたよ!
“本の姫”は謳う〈4〉 (C・NOVELSファンタジア)
姫とともに文字を回収する旅も終わりが近づく。しかし世界の滅亡を望むレッドはバニストンに災厄の種をまき散らした。懐かしい街、恩ある人々の危機に必死に闘うアンガスに彼は言い残す。「オレを殺す覚悟が出来たら第七聖域まで来い」追い詰められていくアンガスは「希望」を捨ててしまうのか? そして〈俺〉という語り手によって紡がれたもう一つの物語が交錯する時—―! 多崎礼の手で緻密に織られた世界がここに完結する。(裏表紙より)

二巻、三巻で、だんだんとこれは「巡る」物語なんだと分かっていましたが、分かっていただけに、辛さも喜びもひとしおでした。みんな、「希望」のもとに寄り集まって、再びこうして手を貸してくれたんだと思うと、光ってすごいなあ。
バニストンで起こった災厄、しかしそれは絶望への一歩でしかなかった。結果、大切な人が失われ、憎しみに取り憑かれるアンガス。しかし、そんな彼を救ったのは、セラを始めとした、希望を求めた人々の存在。アザゼルの物語もまた終局を迎えていき、アンガスという存在が何者であったのかが明かされる。
世界の運命の観測、という実はすごく壮大な設定があるんですが、そういう大層なものではなくて、アンガスが、アザゼルが、足掻いてもがいて旅をしたり何かを得たりする、多分希望を見つけるための話だったと思います。
最後は、どうせだったらみんなと未来を語り合っているアンガスが見たかったなー! と思いながらも、ハッピーエンドを観測するアンガスとセラを見ることができて本当によかった。私も彼らの世界が希望に溢れていることを祈る。
面白かったです。
“本の姫”は謳う〈3〉 (C・NOVELSファンタジア)
声と記憶を取り戻したセラと、文字の呪縛から解かれたウォルターを加え、旅を続けるアンガス一行。歌姫だったセラの無事を伝えるべく、彼女の故郷カネレクラビスへ向かう彼らだが、ついにそこにも文字禍が及んでしまっていたのだった!! いっぽう、文字の回収が進み、記憶が戻るにつれ、姫の表情は曇る—―この私が文字を撒いた張本人なのか、だとすれば、私は何者なのだろう、なぜ世界の滅亡を望んだりしたのだろう―—(裏表紙より)

文字回収の旅は仲間も増え、できることも増えてきて、アンガスは本当に楽しそう。けれど、アザゼルの物語は次第に、天使と地上の戦争、そして世界への滅亡へと歩み始めていく。
段々とアンガスとアザゼルが重なってきたような気がします。彼の周りにいる人たちは、みんな彼を目指して集まってきたのではないかと感じ始めると、「来世で」という言葉に涙腺が大打撃を受けてしまうんですが!
文字の災厄は、ついにアンガスの大切な人たちがいるバニストンにまで及ぶ、ところで終わったので、四巻早く!
“本の姫”は謳う〈2〉 (C・NOVELSファンタジア)
病に倒れた母のため、一度は捨てたはずの故郷へ、七年ぶりに〈姫〉と帰るアンガス。記憶を失い、やがては死に至るという〈忘れ病〉は、母だけでなく、すでに町全体を蝕んでいた。初めて見る不吉な病に文字の気配を感じる二人だが―—!? 一方、バニストンで彼の帰りを待つセラに、エイドリアンは語り始める。アンガスの過去を、そしてその背負う運命を……。シリーズ急展開!(裏表紙より)

本格的に文字回収の旅となってきて、呪われた大地と人の、悲しい欲や絶望を次々に取り戻していくアンガスと姫。その一方で聖域から落ちてきた「俺」はアザゼルという名を貰って、大地の民として暮らし、運命の恋をする。
アンガスと姫の文字回収が、何者かの意志が働いているのではという疑惑がはっきりし始めてくる第2巻ですが、気になることを言い残していきやがりましたので、まだ何かありそう。
しかし、美少女セラはすごかった。ド肝を抜かれた。そのせいで声優がかないみかさんになってしまった……笑
“本の姫”は謳う〈1〉 (C・NOVELSファンタジア)
「滅日」によって大陸中に散らばった、世界を蝕む邪悪な存在——文字。天使の遺跡を巡り、本を修繕する少年アンガスは、文字を探し回収するために、〈本の姫〉と旅を続けている。ある日、無法者たちから救い出した少女に、文字の気配を感じた彼は―—。圧倒的な筆力と緻密な世界観を持ち、第2回C★NOVELS大賞受賞作『煌夜祭』で話題騒然の多崎礼が満を持して放つ新シリーズ、堂々開幕!!

『煌夜祭』を読んだと思っていたんですが、どうやら記憶違いらしく(なんでだろう……? すっごい面白かった記憶があるんですが記憶だけねつ造……?)初、多崎さん。『〈本の姫〉は謳う』の中には、堅実で、風や土や空と海を感じる世界が広がっていました。
天使族が存在していた世界が一度滅んで、文字(スペル)という魔法の言葉が散り散りになり、人間に悪影響を及ぼしているソリディアス大陸。銃と鉄道、新聞が存在している世界で旅をする、隻眼の少年と本の中の住人である〈本の姫〉。その旅の合間に、過去らしき、ある天使の墜落までが挟み込まれる。
とりあえず文字を集めようという第1巻なので、謎といえば何故世界がそうなったのかということと、主人公アンガスや少女セラの過去や〈本の姫〉の謎なのですが、こういう謎がすごく均等に配置されていてとてもわくわくさせてくれる。すごい。文章が巧みすぎてするする読んでしまった。いいなあこういう文章書きたい。
プリンセスハーツ―初恋よ、君に永遠のさよならをの巻 (ルルル文庫)
身分を隠すための仮装をして楽しむ、10年に一度の賭博祭の最中、アジェンセン公国北部のナンセで領主の継承問題が起こった。その頃ジルとルシードはお互いを思いやりながら、秘密裡に進めていることがあった。つけ込んで来たのは隣国の若き王子オース。13歳の彼は野心家で策略に富んでいて、ナンセを自分の支配下に置こうと考えたのだ。ジルとオースの知力合戦が始まった! その時ルシードは…?!(裏表紙より)

前巻「恋とお忍びは王族のたしなみの巻」からの続き。賭博祭の最中に起こった継承問題、ジルとオースの計略戦、ルシードのトーナメント戦など。勝利を捧げるという儀式の大事さ。国を治める者としての知略。ファンタジーの見所をいっぱいに詰め込んだなあという。見所がいっぱいで、めちゃめちゃかっこよくてときめきもいっぱいあって大満足でした。でも更にジルの謎が深まったなあ……。
でも本当にルシードがかっこよくて! この人はいきなり大事なところでかっこよくなるからもう好き! ってなるな。統治者としての知略は持てないけれど、彼には神様からの愛があるんだろう。多分、どんなことでも最後に物を言うのはその部分だと思うので、これから先ルシードにどんな困難が待ち受けていても、ぎりぎりのところで勝利を掴めるのではないかなと思う。
「わたしを可愛がりなさい」が可愛すぎて。それに対するルシードの答えがばか! ばかばか! ちょっとずつ距離を縮めてるのがいいなあ。可愛い。
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Author:月子
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